第32話 買い物に行こう!
シルフがうちに住み始めてから1週間がたった。部屋はシュン君の部屋の前になった。
「シュン君、シルフ。明日は買い物に行くよ。シルフの服とかも買わないと行けないし」
「この服でもいいですよ?」
「私の服がなくなるからダメだ」
「いいですね!是非行きましょう。シルフにもっとこの町を知って欲しいです!」
「流石、主様!私のためにそこまで考えているなんで」
無事みんなの賛成を得られたところで、眠りにつくことにした。シュン君が私と寝ようとするとシルフもついてくるので、ベットがきつきつになってしまった。
「シルフ!ここが冒険者ギルドだよ」
「すごいですね!」
「それであっちは野菜や果物を買う所だよ」
「えー野菜は嫌いです」
シュン君がシルフに教えている。人に教えることが今までなかったから楽しそうだ。
「シュン君、着いたよ」
「はい!行きましょうシルフ。」
そういえば、この町の服屋に来るのは初めてだったな。私は元々服を持っているし、シュン君の服は王都で買ったものがあるし.....せっかくなら新しく買うか。
「あ!シュン君とミリスさんじゃないですか」
扉を開けると1人の女性が立って、こっちを見てきた。初めて来たはずなのに何故私達の名前を知っているんだろうか。
「こんにちは。アリスさん」
アリスさん?どっかで聞いた名前だな。
「この人は誰なんですか?主様」
「この女性の名前はアリスさん。この町に来たときに盗人を捕まえたときに初めて会った人だよ」
シュン君にそう言われて思い出した。あの盗人を追いかけていた女性か。まさかここで働いていたとは。
「シュン君。こちらの獣人さんは?」
「この人は.....」
「私の名前はシルフです!!シュン様とイレイス様に仕えてます!」
シュン君の声を遮ってシルフが自己紹介をした。シュン君は戸惑っているが、シルフは誇らしげに語っている。
「ん、イレイスさんって誰?」
「え、イレイス様はこち.....むぐぅ!」
咄嗟にシュン君がシルフの尻尾を引っ張る。
そして思い出したようだ。一応、シルフには出発するときに伝えてあったんだかな。微妙にシルフは抜けているからな。
「イレイスって言うのは、私のお母さんのことだ。昔仕えていて、間違えてしまったようだ。」
「そうなんですね!」
横を見てみると、汗をかいて目を泳がせているシルフがいた。別に怒ってないから、そんなに焦らなくていいのに。
「それでは今回はどのような要件で?」
「あぁ。私達の服を買いたいんだ。もうすぐ、冬もくるからな。」
「そうですね!ここら辺は寒くなりますからね。しっかり取り寄せていますよ。」
「それじゃあ、お願いします」
「はい!」
私は服についてはよく分からないから、アリスさんに任せることにした。
「ミリスさん!どうですかこの服。似合っていますか?」
「いいね!動きやすそうで撥水性も良さそうだ」
「冒険者の目線だ....」
「それでは、次にミリスさん。」
「わかった。動きやすくて、暖かいのを頼む」
「わかりました!」
こうしてみると、私は服のセンスがないようだ。そもそも3着しかないから、いつも大体一緒だが。
「どうかな?」
「はい!とても似合っています。いつもと違って女の人らしさがありますね!」
あっ私女の人らしくなかったんだ。それもそうか、いつも適当だったからな.....これからはもう少し意識しないとな。
そんな感じで無事、私とシュン君の服を選び終えた。
「それでは次はシルフさんどうぞ。どんな服がいいですか?」
「もう決めてある!これがいい!」
シルフが指をさす方向を見ると一着の服があった。
白と黒で構成されており、ひらひらがついている。私も王都のときに何回も見た服であった。
「え!?これですか。」
「そうだ。私は知っているぞ!これが支える者の正装だとな。」
「そうですけど....」
その服はメイドが着ていた服であった。確かに王城に行ったときも、着ている人が多かったが...
「ミリスさんはいいですか?」
「え、私!私は別にいいです」
シルフを見ると満面の笑みを浮かべていた。てかなんでメイド服を知っているのか。
「とりあえず着てもいいか?」
「わ、わかりました!」
アリスさんがメイド服を持ってきて、シルフに渡した。どうやらメイド服を選ぶとは思っていなかったようだ。
「どうだ?主様。イレ...ミリス様」
銀色の長髪にかっこいい顔がメイド服にピッタリあっており、想像以上に似合っている。
「似合ってますよ!シルフ!」
「確かにそうだな」
「ですよね!ですよね!これ、買いましょう!」
シルフが尻尾を揺らしながらくるくる回っている。
そんなに気に入ったなら買うか。
「わかった、アリスさん。お願いします」
「はい!」
アリスさんが脱がせようとするとシルフが断った。
このまま着て帰りたいらしい。アリスさんも了承したのでシルフはメイド服を着たまま店を出た。メイド服が思った以上に高くて、買うのを渋ったが、シルフには戦いのときにやりすぎたからな。買うことにした。
「どうだ!どうだ!似合っているだろう」
「はい!似合ってますよ」
お会計を終えて店を出ると外で2人がはしゃいでいた。楽しそうでなによりだ。
「それでは次はどうしますか?」
「夕方頃にリレイさんのところに行かないと行けないから、そこまでは食べ歩きでもしようか」
「やったーー!」
「私もお腹が減りました!肉が食べたいです!」
「それじゃあ行こうか」
こうして私達は夕方まで食べ続けたのだった。




