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第3話 勇者の帰還2

武器や食料、宝石が入ったカバンを背負い、街を歩き始めた。

「あまり、変わってないな」

イレイスは何年も王都にはきていなかった。

前回きたのも王に呼ばれてきたときだった。

「あれってイレイス様じゃない」

「帰ってきたのか!」

街中を歩いていると、横を通り過ぎる人たちの声が聞こえてくる。

「イレイス様、これをどうぞ」

ピンク色の服を着た、背丈の小さな少女が花を手の上に乗せて渡してきた。

「ありがとう!」

少女の手から花を持ち上げる。

その花は花びらが白く、中央が黄色の小さな花だった。その花を頭につけ、また王城を目指して歩いた。


民家や武器屋、商店を見ながらイレイスは王城の前に到着した。太陽は、空高く輝いている

イレイスは門の前にいる騎士に話しかけた。

「すみません、王に会うことはできますか」

騎士がイレイスを睨みながら、聞いた。

「...冒険者カードを出せ」

「わかりました」

次からはしっかり最初に出そうと反省する

「勇者...イレイス様だな」

「はい!」

イレイスは明るい声で話す

「少しお待ちを」

騎士の男は、別の騎士に要件を話しているそうだ。

しばらく経ち、その騎士が城の中に入っていった。

私は空を見上げて、待っていた。



数十分たったころだろう

城の中の騎士が出てきて、目の前の騎士と話し始めた。

「イレイス様、謁見の準備が完了しました。着いてきてください」

「わかりました。」

イレイスは騎士の後ろについていきながら、城の中に入った。


城の中には煌びやかな美術品が壁や天井に飾ってあった。横を通り過ぎる騎士や魔法使いも、金色や、銀色の鎧をつけている。

「早く終わってくれないかな」

彼女は誰にも聞こえないように呟く。

彼女は正直、王が嫌いだった。

態度に関しては位が高いからしょうがないとしても、その見た目や私に対しての関わり方が許せなかった。


騎士が大きな扉を開ける

そこにはとても広く、煌びやかな部屋が広がっていた。

「よくぞきた、勇者イレイスよ」

彼女に声をかけたのは例の王だった。

その見た目は全体的に太っていて、見下すように座っている。

「イレイス、無事帰還しました」

イレイスは膝をついて、頭を下げた。

「魔王は倒せたのか」

王が話し出す

「ギリギリでしたが、倒すことができました」

「そうか、よくやった」

「ありがたき、お言葉です」

彼女は、心の中で終わったあとの事を考えていた。

今までできなかったことやしたかったこと、のんびり過ごす、自分の姿を想像しながら。

「お疲れであった。しばし休んだ後、龍王を倒すために、もっと励めよ」

イレイスは思考が停止した。

「龍..王?」

彼女の戸惑いをよそに王は言葉を続ける

「実は魔王の上には、龍王と呼ばれる存在がいるのだ。」

彼女は知らなかった。最初に王と話したときは、そんな話しされなかった。

「それは、最初の謁見のとき話しましたか?」

「話しておらん。女の勇者である、貴様には期待してなかったからな」

...は?期待してなかった?じゃあ何故いまになって...

彼女は怒りが溢れそうになるのを抑えながら、話す。

「なぜ、最初のとき教えてくれなかったのですか」

「...何回言えば分かる?期待してなかったからだ。貴様以上に優秀な勇者はいるのだ。」

周りの配下の奴らも、口々にいい始める

「冒険者上がりのガキが期待されるわけないだろ」

「さっさと倒しに行け」

「チッ」

彼女はこいつらを全員殺そうかと本気で思った。

実際、彼女の力なら皆殺しは容易いことだった。

「貴様の代わりなどいくらでもいる。さっさと倒してこい」

王は彼女の前に茶色の袋を投げる。

「これは?」

「魔王を倒した礼だ。受け取れ。そして龍王を倒してこい」

イレイスは静かに袋を拾い上げ、立ち上がる。

「やっぱり嫌いだ」

彼女は小さく呟き、踵を返して扉から出て行った。

王や配下の奴らは何か言っていたが、無視して歩いた。


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