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第23話 少年の手伝い

お手伝いの内容は店の前で接客することだった。

お客さんがきたら商品を売ったり、おすすめしたりする。それだけなら簡単だと思っていたが違っていた。

「これを5つとそこのりんごを3つくれ。」

「は、はい」

「そこの坊や、山菜セットはあるかい」

「す,少しお待ちを〜」 

あわわわ。想像以上に人がきて困っちゃう。どんどん人がくるから終わりが見えない。

「すごいな〜」

横を見ると、サライアさんが接客していた。どんどん商品を渡している。流石慣れているだけあるな。

「ん?」

人混みの中を見てみると、大人の足の中から、腕が伸びてきた。そして......商品を取って行った。

「サライアさん!盗まれました」

「え、」

その瞬間、僕は人混みを抜けて走り出した。

なんで僕はこんなにも盗み関係に巻き込まれるのだろうか。

「待て!」

人混みを避けながら、追いかける。相手も僕に気づいているのか、走って逃げている。

路地裏に入っていく姿を目に入れて、僕もその後ろを追いかける。そしてついに追い詰めることができた。

「くっ」

目の前の少女が短刀を向けてきた。その後ろには少年もいる。

「大丈夫だ!僕は味方だ。だからその短刀を下ろしてくれ。」

自分よりも年上か、同じくらいだろうか。うぅ昔の自分を思い出す...

「おりゃーー!」

少女が僕をめがけて短刀を振り上げる。この程度なら問題ないが、少女に怪我をさせないようにしないとな

「ふん」

「きゃあ!」

短刀を避けて、少女の後ろに立って腕と足を拘束する。

「離して!離して!」

少女が無理矢理拘束を抜けようとする。しかし力が弱いからこれなら大丈夫そうだ。

「落ち着くんだ。できるだけ危害は与えたくない」

「いやー離して!」

そうしてしばらく拘束していると、だんだん動きが弱まってきた。横を見てみると、少年が震えている。

こうして僕は、少女を座らせて話しかけた。


「なんで盗んだんですか?」

できるだけ優しい声で、攻めないように。

「......弟がお腹が減って......お金がなくて....ママもパパも帰ってこないし...」

少女はゆっくり涙を流しながら話してくれた。

「このままじゃ...弟が死んじゃう!」

「大丈夫、大丈夫。」

少年は服の上からでも分かるガリガリな姿で、いかにも死にそうな感じがしていた。イレイスさんに助けてもらってなかったら僕もこうなっていたのだろう。

「大丈夫だ、大丈夫」

僕は少女の頭を手でよしよしする。イレイスさんが僕にやってくれたように。

......とりあえず僕の力だけじゃ出来ることは限られている。イレイスさんのいる冒険者ギルドに行こう。

僕は2人を連れて、冒険者ギルドに向かうことにした。少年の方は僕が背中に背負うことにした。

途中でサライアさんのお店に行き、事情を話したところ快く許してくれた。

その流れで冒険者ギルドに行き、受付の人にミリスさんの名前を出すと、ギルドマスターの部屋まで全員、連れて行ってもらえた。



「ーーでーーよければ」

ドン!!

あっやば。つい勢いよく扉を開けてしまった。

「びっくりした!シュン君か」

「なんかようか?ぼうず」

イレイスさん達は椅子に座りながら向かい合って話していた。僕は2人を椅子に座らせて、自分も座った。

「この2人は?」

イレイスさんにそう問われて、僕は話し出した。



「......ということなんですけど、どうにかして欲しいと思って来ました」

イレイスさんはその話を聞き、2人に常備してある干し肉を渡していた。

「そうか、丁度いいところだったな。」

「え?」

「この町には王都よりも少ないが、住処のない子供がいる。だからその解決法のために、ミリスさんと話し合ったんだ」

イレイスさんの方を見ると頷いていた。

「その結果、漁港で働いてもらうことにしたんだ。漁港なら住む場所もあるし、人数不足も解決される。いい案だと思うんだ。」

ギルドマスターが、2人をみて問いかける。

「お前らがいいなら試しにしてみるか?」

2人が干し肉を食べながら、向かい合う。

「......それはご飯食べられますか」

「もちろん。働いてくれるなら住処も提供する」

「でも弟は.....」

「体調良くなるまで休んでもいい。不安なら、しばらくは一緒に休んでいろ。」

「......」

少女の方がしばらく弟を見た後、決意を固めたかのようにギルドマスターを見た。

「お願いします!漁港で働かせてください!」

「よし、それじゃあ早速準備するか」

「はい!」


2人は職員に連れて行かれて、部屋から出て行った。まずは体を綺麗にするらしい。

部屋には僕とイレイスさんとギルドマスターが残った。


「ところで、もう一つお前達に頼みたいことがあるんだ。」

「あれ、今の件だけじゃないのか。」

イレイスさんもまだ聞いていないようだ。

「こっちが正直本題だ。お前らにも関わることだからよく聞いて欲しい」

部屋の空気が変わった気がした。イレイスさんもさっきまでの笑顔が真面目な顔になっている。

僕も顔を引き締めて、ギルドマスターを見た。

一体どんな要件なんだろう...


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