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第21話 戦いの真相2

白い光が地面にあたり、砂埃が舞った。

「成功したかな」

大きな翼をもった魔物がぼそっと呟き、砂埃を見る。

この魔法はまだ未完成だが、当たればあの勇者でもひとたまりもない。

「ん?」

砂埃の中でほんの一瞬何かが動いた気がした。

「まさか」

その途端いきなり地面が近づいてきた。体が動かない。.....いや頭が落とされたのか。

「やっと油断したな。メルトール」

目の前に足が現れた。見えなかった。いや見える、見えないの次元じゃない。まるで時間がとんだような...


「俺の勝ちだ。お前はすぐに消滅する。」

「なぜ、生きている。当たった感覚はあった。いかにお前でも、あれを食らったら間違いなく....あ」

勇者の足の奥を見ると、1人の女が倒れていた。

全身が痙攣しており、目は白目を向いている。

「もしかして、お前...あの女を身代わりにしたな」

「.....そうだ。役立たずだったからな。最後に俺の役に立って、あいつも嬉しいだろうよ」

男の顔を見上げると、笑っていた。まるであの女に対して、なんとも思ってないかのように。

本当は、あの勇者が欲しかったがしょうがない。

まぁあの女も何か違和感を感じる。結果往来と行こう。

私はその瞬間、右目に力を込める。

「おい!!何をした。」

「...何もしてない。まぁ少しイタズラしたまでだ。」

「チッ、さっさと死ね」

最後に秘策が成功してよかった......

そう思いながら私の意識は消えていった。




「チッ、最後に何をしたんだ。」

俺は自分の体の傷を直しながら、剣をしまって周りを見渡す。モルトもライルも全身から血を流しているが生きている。問題はないだろう。問題があるとすればあいつだ。

そうして、元俺ががいた場所を見る。

「...死んだか」

そこにはラフィリアの姿はなく、帽子と壊れかけの杖だけがあった。あの攻撃を喰らったから体が消し飛んだのだろう。

「目的は達した。さっさと王都に帰ろう。」

俺は、気絶している2人に回復魔法をかけて、王都に向かった。

ラフィリアの杖と帽子はその場に置いたまま......






「龍王様!!」

暗い森の奥の城で2人の魔物が話している

「どうした?そんな焦って、何かあったのか。」

下を見ると、頭を下げている秘書がいた。

「それが、メルトールの魔力の気配が消えました。」

「ほう」

あいつが死んだか。

「例の女勇者がやったのか?」

「いえ、時の勇者です」

時の勇者......聞いたことがある。異世界からきた勇者で世界最強とも言われているやつか。俺はそうとは思わないがな。

「なら一旦は女勇者を探すのはやめて、あの獣人を殺すことにする。報告は以上か?」

「いえ、もう一つ報告が。とりあえずこれを...」

秘書が手を叩くと後ろの扉が開き、1人の人間が投げ飛ばされてきたて地面を転がった。

「この女は?」

「城の前に倒れていました。様子を見てみたところ、メルトールが死に際にこっちに転送してきたようです。」

その女を見ると、体がぴくりとも動いておらず、目には感情がないように見える。まるで人形のようだ。

「殺しますか?龍王様」

「いや、殺すな」

左目の魔眼を開いて、再度その女を見る。

......やはりな。この女にはスプリアルブレイクの効果がついている。成功させていたようだな。しかもこの女、凄い魔力量だ。量だけで言うなら、我の配下のやつらの魔力量を超えている。これは、面白い。

「この女に、あの獣人を殺してもらうことにする」

「!!この女では手も足も出ないですよ。それに途中で逃げ出しますよ」

「嫌、大丈夫だ。その女には精神破壊魔法がかかっている。メルトールの秘策だ。もうその女にはまともな意思は残っていない。」

「しかし、力が足りない」

「それも、問題ない。この魔眼を与えろ。」

右手に力を込めると、一つの小さな球体ができた。

人の目のように見えるが、赤色と黒色で目が構成されている。

「その、魔眼は...」

「この魔眼は、簡単に言うと魔力に関する力が向上するものだ。それをその女に与えれば、最強の魔法兵が誕生する。」

秘書が魔眼を受け取り、その女の目に無理矢理入れたその瞬間。


「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」

城中に痛々しい声が響く。さっきの感情のないような様子が一気に代わり、今では暴走した獣のように転げ回っている。

「龍王様、この女大丈夫ですか?」

「問題はない。その女が魔眼に適応しようとしているだけだ。まぁ死より苦しい痛みを感じるがな。数ヶ月もしたら、適応する。その間この女を地下に監禁しとけ。その女が適応したら、あの獣人を殺しに行かせる。」

「.....了解致しました。」


その日から旧魔王城の地下では、女の絶叫が響き続けた。

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