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第14話 時の勇者と龍王

少し時間は遡り、イレイス達がクエストをしている頃、王都ペルケースの王城では4人の人影があった。


「王よ、何かありましたか?」

王を見上げて、1人の男が口を開く。

銀色に染まった髪が顔の良さを引き出している。

「大事な用があって、お主達を召集したのだ」

「その要件とは?」

「少し待て、そもそも魔王が倒されたことは知っているな」

「もちろんでございます。あのひ弱な女勇者が倒したらしいですね。あの程度の女でも倒せるなら魔王もその程度なんでしょう。」

「そうだ。実際、お前たちが行けばもっと早く倒せていただろうな」

「それが今回の召集と、どのような関係が?」

男が訝しげな顔で王を見上げる。

「それがな、龍王の配下の1人が王都近郊の森に出たらしいのだ。」

「龍王の配下......」

時の勇者は、勇者の中でもトップクラスの実力を持っている。3年ほど前に異世界から召喚され、勇者となった。

「何故私が呼ばれたのですか?配下程度なら、あの女勇者に行かせればいいではないか。」

王が眉を寄せている。あの女に何かあったのだろうか。

「それがな、数週間前から姿を消しているのだ。」

!?姿を消しただと、まぁ姿を消した理由はなんとなく分かる。

「......龍王にびびって逃げたのでしょうな」

「そうだ!我達もそう思っている。本当はあいつに行ってもらう予定だったのだかな」

実際、あいつは弱い。剣術の腕前に関してはトップクラスだが魔法が使えない。龍王と戦ったら間違いなく死ぬだろう。


「それで私達を召集したという訳ですね。」

「あぁもちろん受けてくれるよな?」

「当たり前です。準備ができたらさっそく行って参ります。」




「本当に、大丈夫なんですか?」

勇者の隣にいる小さい女性が勇者に聞いた。

その小柄な体型ながら、体内の魔力が凄まじい。

俺には劣るがな。

「何をそんなに心配している?」

その女の後ろから、低い声が聞こえてくる。

「だって龍王の配下なんですよ!弱い訳ないじゃないですか」

「配下程度、このパーティーなら余裕だろ。」

後ろから言い合いをする声が聞こえてくる。そんなに不安なら逃げればいいだろうに。ここは俺からこいつらに言うか。

「おい、ラフィ。そんなに不安ならあの女勇者のように、逃げればいいだろう!!」

「ひぃ。すみません」

少し強く言えば、こいつはすぐに従う。やっぱり見た目通りの子供だな。

「出発は、3日後にする。各自準備をしてこい」

「はい」「おう」「...はい」

こうして、俺達は龍王配下と戦うのだった。



同時刻、旧魔王城にも2人の影があった。どっちも凄まじい魔力を放っている。

「龍王様、お知らせに参りました。」

「......」

龍王と呼ばれる男が無言で見る。その目線の先にいるのは,1人の女の魔族であった。その見た目の美しさは種族関係なく魅惑してしまうほどだ。

「魔王様を倒したあの女の居場所を見つけるために、あの者を送りました。なので今頃王都の付近を探しているでしょう。」

「あいつか...」

魔法に特化しており、強力な魔法によって我の配下まで上り詰めた奴だ。魔法が使えないと聞くあの女と最も相性が良いと言えよう。


「わかった。報告は以上か?」

「いえ、もう一つあります。長い間行方不明だったあの獣人が見つかりました。情報によると、大陸の南側の森の中に潜んでいるそうです。」

「やっぱりな。」

あいつは昔からそうだ。獣人としての本能に従って、自由に暴れている。自分よりも強い奴に従い、動く暴れん坊だ。長い間、居場所がわからなかったが、そうか見つかったのだな。

「どうしますか。捕らえますかそれとも殺しますか?」

あの暴れん坊には手を焼いているし、周りの奴らも奴に感化されて、軍をめちゃくちゃにされかねない。なら選択は一つだ。

「殺せ。裏切り者には罰を与えなければな。しかし先に女の方を殺せ。その後でいい。」

「わかりました!」


こうして龍王軍と勇者の戦いは着々と始まり出したのだった。


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