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第11話 拠点探し1

冒険者登録も無事に終わった。まだまだ日が落ちるまでには時間もある。ならやることは一つだ。

「シュン君、ご飯を食べに行こう」

「はい!」

先に拠点となる家を買わないといけない気もするが、まずはお腹を満たすことが優先的だろう。旅の間、まともなご飯は食べれていないのだから。

「この町は、海から取れる海鮮類が有名なのでしたよね」シュン君には旅の最中にアルストラについて話してある。

「よく、覚えているな。えらいぞ」

頭を撫でてあげるととシュン君は嬉しそうにした。

「せっかくならいろんな物を食べてみるか」

この町にはまだ来たばかりで、どこに何があるか細かくは分からないから、道の横にある商店で買いながら食べることにしよう。

「イレ...ミリスさん!いい匂いがしてきました」

...まだしばらくは名前に慣れなそうだな。


そこから私達は今まで食べたことのないものをたくさん食べた。

貝を焼いて味付けをした物や、硬い殻をもった魔物の出汁が聞いた汁、魚と山の山菜を使った煮物など、とても美味しかった。

「ミリスさんあそこの串焼き、いい匂いします!」

「確かにいい匂いがするな。行くか!」

「はい!」

シュン君も美味しい物をたくさん食べれて、嬉しそうだ。やっぱり旅の最中に食べた干し肉は嫌だったかな。

「キャーーーー」

「!?」

前の方向から女の人の叫び声が聞こえてくる。

「盗人よーー」

盗人だと、、やばいシュン君が。

横を見ると、シュン君が汗をかいている。若干顔色も悪そうだ。

「あ、あ、あ、」

「シュン君!大丈夫だ。君じゃない。」

「は、はい」

声が少し震えている。やはり思うところがあるのだろう。

「ん」

目の前の群衆から、がたいがいい男が人を押しながら走ってきている。周りの人達もびびって道の端に寄っている。......あいつがそうだな。シュン君の気分転換もかねて、がんばってもらうか。

「シュン君、君が盗人を捕まえるんだ」

「え、僕がですか。無理です、無理です」

「大丈夫だ。君ならできる」

実際旅の間、鍛えたかいがあってシュン君は強くなっている。才能もあるだろうけどな。

「君は強くなった。自信を持て」

「え、え」

私はそういうと、シュン君から離れて道の端に移動した。男とシュン君が一対一の形になる。

「どけー!そこのガキ!」

「あっあ」

「シュン君!しっかり相手を見るんだ。稽古を思い出せ!」「はい!」

シュン君が短刀を抜いた。あっ、鞘がついたままだ。

「どけー!」

男がシュン君に殴りかかろうとする。しかしシュン君の目はしっかり相手を捉えている。

「おりゃーー!!」

シュン君が相手の殴ってきた手をよけ、男の横に移動した。相手の体制は前屈みになっており、崩れている。

「ここだ!!」

シュン君の持っている短刀が相手の首元にあたる。

「がはっっ」

男がシュン君の一撃によって、地面に倒れた。鞘が抜かれてなかったら死んでるかもな。

「イレイスさんー!勝ちましたよー」

シュン君がこちらを向いて喜んでいる。てか私の本名言っちゃってるし。

そのとき、シュン君の後ろから男が立ち上がった。

「...まだまだ甘いな」

私は足に力をいれて、地面を蹴る

「え、イレイスさん?」

シュン君の言葉を聞きながら、横を通り過ぎる。

「死ね、クソが...は?」

男の顔面に向けて、拳を振り上げ殴りつけた。

「ぶは」

男が鼻や口から血を流して、倒れた。完全に意識はとんでいるな。

「惜しかったな。シュン君」

「え、え、は、はい」

シュン君は私を見ながら困惑していた。

しかしその瞬間、周りから声が聞こえてきた。

「やるなーそこの坊主!」「いい動きだったぞー」

シュン君は周りを見ながら戸惑っている。

そのとき、男が走ってきた方向から1人の若い女性が走ってきた。

「はぁはぁ、盗人がぁ」

この女性が最初の叫び声の人か。

「もう大丈夫だ。そこの少年が捕まえてくれた」

「え!」

女性が驚いて、シュン君を見た。そして横に倒れている男の姿も。

「君が捕まえてくれたの?!」

「は、はい。」

シュン君が女性の迫力に押されている。

「ありがとうございます」

「いえ、でも...」

シュン君が私の方を見上げて、目をみてくる。助けを求めているようだ。

「君が捕まえてくれなきゃ、逃げ切られていたわ。ありがとうね」

シュン君の手を女性は強く握り、腕を振った。

シュン君はずっと戸惑っていた。



その後、少し経ってから冒険者ギルドの職員がこちらに向かってきて、男を拘束して運んでいった。

騎士がいないこの町ではギルドの職員が治安維持しているらしい。

私たちはその後軽く質疑応答をして解放された。



「...ひどいですよ」

「何がだ?」

家を探すために、私達は専門店を探して町を歩いている。

「何がだ。じゃないですよ。いきなり戦わせるなんて酷いですよ!」

「...ごめんな。つい稽古の成果を見たいとおもったんだ。でも無事勝てたじゃないか。」

「でもミリスさんがいなきゃ、やばかったんですよ」

「それはそうだか...惜しかったな、シュン君!」

「惜しかったじゃないですよ!!」

こうして私達はまた拠点を探すために町を歩くのだった。しばらくシュン君の機嫌は戻らなかったが、串焼きを買ってあげると、機嫌がよくなった。


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