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99話 新年初日の吉報

騒動解決後、国王より報奨を頂いた私達はレジティアに戻り我が家で年を越した

新年初日には教会の礼拝堂へと足を運び祈りを捧げ、その後お世話になっている人達への挨拶回りを行った

その間にラミアスは学校の友達と鉢合わせて一緒に出店を見て回りたいと言ってきたのでお小遣いを渡してから別れ、私達は新年会の為の材料買い出しをしてから帰路についた


家に着くと私宛ての手紙が一通届いていた

宛名を見てみると両親の名前が書かれている。封を開けて中の手紙を読んでいくと新年の挨拶とこちらの様子を気にするような内容で何でもないただの近況報告の手紙。最初はそう思っていたが最後の行に驚きの内容が記されており、私は見間違いではないかと思い何度も読み返してしまった

その様子を見て手紙に悪い知らせでも書いてあったのかと思ったフィオナが心配して様子を窺ってきた




「どうしました?手紙に何か良くない事でも書いてあったんですか?」


「いやその逆なんだけど・・・えっと、できたみたいなんだ・・・」


「へ?なにが出来たんですか?」


「子供。私に・・・弟妹ができたみたい」




私の言葉を聞いた途端、全員が面をくらったような顔をして暫く時が止まった

そこからは大騒ぎだったが私自身もたった今知ったばかりで混乱していて整理がつかなかった

けど間違いない。手紙には確かに母の妊娠の報せが書かれている。しかも文面からすると妊娠したのはここ最近の話ではないようだ


手紙には今月辺り産まれると書かれていた。逆算すると大体・・・・皆で実家に帰省した頃には既に子が宿っていたのか。それで帰って暫くしてから妊娠が発覚したという感じだろうか

私を産んだ時両親はまだギリギリ10代だったからまぁない話ではないが・・・まさかこの歳になって家族が増えることになろうとは夢にも思わなかった

私は母の容態も気になったので急遽実家に戻ることを決め、様子を見に行くことにした

転移で家の前まで移動すると暖炉の横の椅子に座りながら編み物をしている母がいたので扉を開けて声をかけた




「ただいま母さん」


「あらっ、エレナじゃないの。おかえりなさい。どうしたの急に?」


「どうしたの?じゃないよ。今日手紙届いて読んだら家族が増えるって書いてあったから急いで様子を見に来たんだよ。本当に子供が?」


「嘘なんかつかないわよ。ほらこの通り、触ってみる?」




母がお腹に掛けていた毛布を捲ると、確かにお腹がかなり大きくなっていた。手紙の通り産まれてくる日は近そうだ

お腹に手を添えてみると胎動している音が聞こえてくる。その音を聴いて本当に弟妹ができるんだなと改めて実感した

家の中を見てみるといつ産まれてきてもいいよう赤ちゃんを迎える準備が整っていた

編み物をしていたのは産まれてくる子の着る服を編んでいたそうだ

2回目ということもあって用意周到。何か出来ることがあったらと思ったが余計な心配だったみたいだな


母と一通り話した後今度は父の仕事場に行って新年の挨拶をし、今回の件ついて話をしていると知りたくなかった事実を知ることとなった




「いやぁ、エレナが作ってくれた薬のお陰で母さんが元気になっただろ?それで夜の回数が・・・・な?」


「ちょっと娘の前で何言ってるのよ恥ずかしい!」




親の夜の営み事情など聞きたくなかった・・・そういう目的で薬を作ったわけじゃないんだがな

なんにせよ母が妊娠中だから家事に仕事と父の負担も増していることだろう。大したことはできないかもしれないが出来る限りのサポートはしなくては

そういうわけで私は一時的に両親と共に実家で生活をする事にした

金銭面は報奨金がたんまりとあるから当分は問題ないし家の方も皆がいるから問題ないだろう




「それにしても子供産まれるんだったらもっと早く手紙くれても良かったんじゃない?」


「ごめんなさいね。あれから色々・・・・ゔっ!」


「母さん!?大丈夫?」




話をしている途中に突然うずくまる母

まさかもう産まれてくるのかと慌ててしまったが、少しして母が笑顔になり動揺している私を落ち着かせてくれた




「大丈夫大丈夫、お腹の中の子が暴れただけだから。エレナがお腹にいた時は心配になるくらい静かだったけどこの子は元気一杯ね」




ビックリした・・・こういうのがよくあるんだろうか。大変だな

そんな事がありながら約1週間、私は家の事をこなしながらいつ産まれてきてもいいように本で出産の事を学びながらその時に備えていた

ちょこっと転移で家の様子を見に行った時にはフィオナ達が挨拶がてら母の容態を見にきてくれた

そのようにしながら産まれてくるのを待っていたある日、特に何事もなくいつものように家事を済ませ、ベッドで休んでいた母と話をしている時にその時はやってきた




「そういえばまだ聞いてなかったんだけど子供の名前はもう決めてあるの?」


「そうだった、その事を話していなかったわね。この子の名前はねエレナ、あなたにつけて欲しいの」


「えっ、どうして私が?」


「あなたは私達の自慢の娘よ。立派に育ってくれたお姉ちゃんに名前をつけてもらったらこの子も嬉しいかなって」




親から面と向かってそう言われ照れてしまった私は思わず顔を逸らした

名前・・・名前か。シエルの時は髪の色で何となく決めたけど産まれてくる子にもそんな感じで決めちゃっていいんだろうか

もっと大事な意味を込めてあげたりした方がいいのか?

男の子か女の子かも分からないから両方考えておかなくては

母からいきなり産まれてくる子の名付けを任せられて頭を悩ませていると、突然母が苦しみだした

最初はいつものようにお腹の中子に蹴られでもしたのかと思ったが、今日はいつもと様子が違っていた




「はぁはぁ・・・きたみたい」


「えっ!?まだ予定より早いのに」


「早く会いたがってるのかも・・・あゔっ!」


「今父さんに助産師さん呼ばせてくるからちょっと待ってて!」




私は急いで仕事をしている父にこの事を伝えて助産師さんを呼んでくるよう頼み、私は私で出産の準備を進めていった



読んでいただきありがとうございました!

「よかった」「続きが気になる」など思っていただけたら幸いです

少しでも気に入ってくれた方ブクマ、評価、感想等々頂けると大変励みになります

次話投稿時間はTwitterの方で告知させて頂きます。よろしくお願いします!

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