表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

93/224

93話 地中に潜む魔物

見張り交代の時間がやってきて4時間見張りを行った後、フレイヤの組と交代して再度休息を取った

その際に私のテントにまたケイティが何食わぬ顔で入ろうとしてきたのでそれを阻止して追い出し、外から開けられないようテントに鍵をつけて1人でゆっくりと眠りについた


そしてフレイヤの組の見張り時間も終わり私達は再びダンジョンに挑む。セーフティエリアを出て前回と同様に下層を目指していく




「下層は魔物の種類が変わって強くなってくるので気を引き締めるように」


「「「はい!」」」




たっぷり休んだ事で生徒達の体力も問題ないな

下層に到着すると早速魔物が次々と襲ってきた。以前来た時に遭遇した魔物とほぼ同じ魔物で、その存在を事前に生徒達に伝えてあったので容易に対策する事ができたので難なく倒していけた

これも前の生徒達とした経験と探索の賜物だろう

前回のようなミノタウロスが現れるというイレギュラーな事も起こることなく、私達は順調に下層を攻略していった


そして気がつけば昼前には下層を攻略してしまっていた

想定していたよりも生徒達の戦闘への慣れが早く、恐ろしい程順調に進んでしまっていたようだ

当初予定していた過程を終えてしまいどうしようかと考えた結果、時間もあったので生徒達の能力、意見を踏まえて私達は前回より更に下層を目指すことに決めた

ここからは私も未経験なので今まで以上に警戒を怠らないようにしなくては


昼食の時間を挟み休息を取ってから更に下層へと続く道を進んでいく

先程は下層に入るなり襲われたがここは逆に不自然な程静か。魔物の気配も全く感じられない

魔法で周囲を探しても魔物の存在は確認できなかった

その異様な雰囲気を生徒達も感じ取ったらしく、今まで以上に緊張しているのが分かった


暫く進んでいくと目の前には魔物の死骸が無惨に転がっていた

それも1つや2つではない。無数の魔物の死骸が辺りに散乱している

今このダンジョンにはいるのは私達だけなので他の冒険者の可能性はない。魔物の死骸を観察してみると噛み千切られたような跡が残っている

明らかに魔物が襲撃した後だ。しかも襲われてから時間もさほど経っていないのでまだ近くにいるかもしれない

瞬時に生徒達を後方に退らせて全方位に意識を巡らす。すると地面が僅かに揺れ始めたのを察知した

その揺れは段々と大きくなっていき、こちらに向かって来ているのが分かった

地震のような揺れが続いた後、ピタッとその揺れが突然止んだ。だが気配は感じる・・・地中からだ




「気をつけて!下から来るよ!」




私が生徒達に向けて叫んだのとほぼ同時に地面に穴が空き、そこから魔物が現れた

蛇のように長い図体で体には削られて鋭利になった岩のような外皮を纏っている魔物ロックワーム

幸い狙われたのは私だけだったので問題なく躱すことができた




「何あの化け物!あんなでかいの初めて見たわ」


「今のはロックワーム。この下層を縄張りにしてるみたいだね」




ロックワームは聴力が物凄く敏感で音のする方に攻撃を仕掛けてくる

逆を言えばそれは弱点でもあるということ。先程私が声を出した瞬間を狙って攻撃してきたようにある程度誘導させることが可能だ

しかしそれを生徒にやらせるのは危険な上に生徒達の中にあれの動きを止められる者はいない。なのでここはフレイヤにサポートを要請する




「フレイヤ、あれの動きを止めてくれる?」


「お任せ下さい!」




フレイヤに頼むと私から距離を置いた場所に移動してロックワームに攻撃を誘発させようと物音を立て始める

それにまんまと誘われた相手は今度は天井から現れ、フレイヤに攻撃を繰り出してきた

それを避けたフレイヤがロックワームに向かって大きく息を吸い次の瞬間耳を(つんざ)くような大声を浴びせた




「ガアアアアアア!!」





周囲が軽く揺れる程の声でロックワームが怯み、動きが止まった

その隙に魔道クラスの子達が一斉に拘束魔法をかけて再び地中に逃げないようにした

動きを止めてとは言ったけどまさかこんな方法で止めるとは・・・私達でも耳が痛いくらいだから聴覚が敏感な相手には効果覿面(こうかてきめん)だったろう




「ロックワームは外皮は硬いけど僅かに隙間があるからそこを狙えば攻撃が通るはずだよ!」




私の指示で生徒達が次々とロックワームに斬り掛かる

当然相手も無抵抗のままやられるわけもなく、拘束されている状態でも抜け出そうと巨体を使って暴れだした

生徒のうちの何人かはそれによって吹き飛ばされたが、それでもしぶとく攻撃をし続けた


そして長期に及ぶ戦闘の末、ようやくロックワームの動きが完全に止まった

倒した事を確認すると生徒達はその場でへたりこんでしまった

今まで相手してきた魔物とはサイズもしぶとさも比べ物にならないから当然だろう

それでも混乱して慌てることなく冷静に私の指示に対してしっかりと動けていたのは評価に値する




「皆お疲れ様、重傷者が出なくて良かった。怪我をした人は回復班に治してもらってね」



多少の怪我人は出たものの防御を強化していたこともあって皆軽傷のみで済んでいた。防御魔法を教えておいてよかった

さて、私はロックワームの素材を回収しよう。ロックワームの外皮には岩に混じって鉱石がくっついているのでそれを集めて生徒達に贈る装備に使うことに決めた


今回初めての長期戦で生徒達の疲労が激しかった為、私達はセーフティエリアを経由してダンジョンを出ることにした

多少のフォローもあったが生徒達の力だけで大物を倒せた事は自信に繋がることだろう

読んでいただきありがとうございました!

「よかった」「続きが気になる」など思っていただけたら幸いです

少しでも気に入ってくれた方ブクマ、評価、感想等々頂けると大変励みになります

次話投稿時間はTwitterの方で告知させて頂きます。よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ