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90話 王女とお揃いの

「お、お久しぶりですね。セフィリア様」


「お久しぶりですエレナさん。またお会いできてとても嬉しいです♪ですが私達の仲なのですからそんな畏まらないで前のように気軽にリアとお呼び下さい」




あれは身バレしないようにしただけで親しみを込めて使ったわけじゃないんだが・・・

お店から出てきたところを王子の妹、セフィリアが突撃してきて未だに戸惑っている様子の王子

ちゃんと変装してやってきたようだが、お店の前で騒ぎを起こすと人が集まってきてしまうので私達は一先ず人気のない路地裏と移動した

それにしてもどうしてここが分かったんだろう。今日のデートで1番警戒すべき人物であるケイティに尾行されていないか注意していたし周りにも気を配っていたからそんな気配は感じなかったのに

同じように疑問に思った王子がセフィリアに尋ねた




「セフィリア、どうして私がここにいると分かったんだい?」


「この前冒険者学校から帰ってきた時いつもと明らかに様子が違ったじゃないですか。あんな柄にもなくスキップなんかしてたら誰だって何かあったと思いますよ」


「うぐっ・・・」


「それで今日まで様子を観察していたら気合い入れた服装で街に出かけていったから怪しいと思ってお兄様の部屋にお邪魔しました。そしたらこんなものが」




そう言うとセフィリアが持っていた鞄から日記帳のようなものを取り出した

それを見た王子が一層慌て始めた。話からしてあれは王子のもののようだが、あれに一体何が書かれていたんだろう?




「この日誌にはお兄様のエレナさんに対する思いの丈が綴られてました。そしてここには今日の予定もびっしりと書かれていて、このお店の名前を見つけたので出てくる所を待ち伏せしていたんです!」


「しまった!今日の事で頭がいっぱいでいつもの隠し場所に戻すのを忘れていたなんて・・・」




私の想いを日記にって・・・乙女みたいなことをしているんだな

けどセフィリアが介入してきたお陰でデートどころではないだろうしこれはもう終了かな?

デートの中断を少し期待してセフィリアの方を見ると肩を震わせて何やらブツブツと呟き始めた




「エレナさんがいるから私もついて行くと言ったのにお兄様が遊びで行くわけじゃないから駄目だというから仕方なく我慢していたというのに、私に隠れてこんな事をしてたなんて・・・お兄様ばかりエレナさんと一緒にいてズルいではないですか!」


「お、落ち着こうセフィリア。私が悪かったすまない」




段々と語気を強めていき最終的には地団駄を踏みだすセフィリア

どうにか落ち着かせようと謝りながら宥める王子

私は一体何を見せられているんだ・・・

暫くしてようやく落ち着きを取り戻したセフィリアは王子に向かって喋りだした




「お兄様はもう十分堪能されたのですよね。ではエレナさんとのこれからの時間は私が代わりを務めさせてもらいますね」


「えっ、いや流石にそれは・・・」


「お兄様がこの日誌に書いた内容、全国民に配りますよ」


「分かりました。どうぞご自由になさって下さい」




セフィリアの要求を拒もうとした王子だが、日記を人質に取られ脅されるとあっさりと承諾した

ホントにどんな内容が書かれているのか気になる・・・というかこれって私に拒否権はないのか!?

王子の次はセフィリアの相手をしなくてはならなくなった私はセフィリアに手を引かれて王子から離される

それをただただ見つめることしかできない王子は悲しそうな顔をしてこちらを見ていた




「あぁそんな・・・エレナさーん!」


「すみません殿下、また訓練の日に」


「せめて最後だけでもアルと呼んでくださ~い!」




王子の無念の叫びを無視して私はセフィリアと共に街中へと消えた

私と2人きりになったことで徐々に機嫌を取り戻してきたセフィリアは私の腕にしがみつくように密着してきた

腕に当たる微かに柔らかい感触。腕をどうにかしようにも密着されていてはどうにも出来ない

仕方なくそのままの状態でセフィリアが足を進める方についていき、やって来たお店は装飾店

観光客向けに作られたお店で本来はセフィリアのような身分の者が身につけるような品は置いていないはずだが




「えっと、リア様?何故このお店に?ここにリア様が気に入るようなものはないと思いますけど」


「いえ、ここには私のお目当ての物があるんです♪」




お店の中を回り何かを探し始めるセフィリア。このお店に何か珍しいもので売ってるんだろうか

少しして目当ての商品を見つけてきたセフィリアが私にその商品を見せてきた

それは何の変哲もないただの指輪。他のと少し値段が張る位で特別なものは感じられない

私の反応とは正反対にセフィリアは満面の笑みを浮かべていた




「これ!これが欲しかったんです!」


「それはなんなんですか?」


「この指輪にはストロベリークォーツという石が使われていてこのお店にしか売ってないんです。この石には恋が成就すると言われていて密かに人気なんです。これをペアで身につけてた人が実際に恋が実ったという実話もあるんですよ」




この石にそんな力が宿っているのか。その石を欲しがるということはセフィリアもやはりお年頃か

お会計を済ませて私の元に戻ってくるとセフィリアの手には先程の指輪が2つ。ペアでつけてた方が効果を発揮するみたいだから相手の分も買ったのかな

そう思っていたらセフィリアが片方の指輪を私に差し出してきた




「うふふ、お揃いですね♪これで何時でもエレナさんを感じる事が出来そうです♪エレナさんも肌身離さずつけておいて下さいね」




そう言いながら自分用の指輪を左手の薬指に嵌めてご満悦な顔で指輪を眺めるセフィリア。セフィリアの恋する相手って・・・

何度か拒むも最後はセフィリアの押しに負け、この間だけは指輪を嵌めておくことにした

その後は日が沈むまでセフィリアが私と行きたい場所を色々巡って満足してもらったところでようやく解放しされ、長い1日が終わった

王子と王女、両方の相手をする羽目になって必要以上に神経を使って凄く疲れた。魔物を相手している方がずっと楽だな・・・

読んでいただきありがとうございました!

「よかった」「続きが気になる」など思っていただけたら幸いです

少しでも気に入ってくれた方ブクマ、評価、感想等々頂けると大変励みになります

次話投稿時間はTwitterの方で告知させて頂きます。よろしくお願いします!

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