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89話 王子と1日デート ー後編ー

周りの人の目を気にしながら次にやって来たのはふれあい広場という動物と戯れることが出来る場所だ

さっきクマのストラップを見ていたからと急遽予定を変えてここにしてくれたようだ

園内には主に大人しい草食系の動物や生まれて間もない子達と触れ合える




「エレナさん、あそこに珍しいのがいますよ」




王子が見つけてたのはスモールブランベアという白い毛並みが特徴的で人間でいうと3歳児位小柄な姿をした熊だ

通常熊は2~3m程の大きさに成長するものだが、この熊は大人になっても大きくなることはない

穏やかな性格で自分から襲うことは決してなく、また食べるものは果物類が大好物であげると夢中になって食べる

大人しい動物な上に白い毛並みということで野生で生きていくには難しく、国で保護されている動物の一種でもある




「ほらほら、おいでー」




用意された果物をスモールブランベアが見えるように差し出すとのそのそと私の足元までやって来てよじ登り、太ももに乗っかって果物を食べ始めた

魔物や害獣は飽きるほど相手してきたがたまにはこういった愛玩動物も癒されていいものだな




「動物と戯れるエレナさん・・・まるで森で動物達と心を交わす女神のようですね」




何を言っているのかいまいちピンとこないが恐らく褒めてくれているのだろう・・・

それから子犬や子猫達と一通り触れ合っていたらお昼の時間を迎えたので、王子が事前に予約をしているお店があるとのことでそこへ向かうこととなった


連れてこられたお店は外観からして明らかに高級店というのが分かるお店。以前にも皆と貴族が使うようなお店に入ったことはるが、ここはそれ以上のお店だ

貴族の中でも位の高い一部の者しか利用できず、国の要人を接待する時等に使われるらしい

そんな場所に私のような一般市民が足を踏み入れていいのだろうか躊躇ったが、王子はそこら辺の道を歩くのと変わらないような感覚で中へ入っていく

中に入って最初に私達を出迎えてきたのは豪華なシャンデリアと絨毯。シャンデリアには上質な宝石が散りばめられていて絨毯には金の糸で編み込まれた刺繍が施されている

飾られている絵画は・・・そっち方面の知識は明るくないので不明だが高いことは間違いないだろう

普段見ないような光景に目を奪われていると何やら他の従業員とは身なりが違う者が王子に近寄ってきた




「お待ちしておりました殿下。本日もご利用頂きありがとうございます」


「うん、今日は大事な人も一緒に連れて来ているからよろしく頼むよ支配人」


「畏まりました。それではいつものお部屋へご案内させて頂きます」




綺麗に揃えられた髭と眼鏡をかけたこの男性はこのお店の支配人だったようだ

話からして王子はここをよく利用しているみたいだ。流石王族なだけはある

けど見れば見るほど1つ1つの調度品が見るからに高級品だな。誤って壊しでもしたらお金が全て飛んでいきそうだ

こういうお店はマナーとかに凄い気を遣いそうで気疲れしちゃうんだよな・・・・


少しの緊張感を持ちながら従業員の人と王子の後ろをついていくと2人とも突然立ち止まり一礼をしだしたので私もつられて一礼

何に対して一礼したのかと頭を下げた方を見てみると街中にもある私の銅像の小さい版が置かれていて、それを見た私は一気に冷静さを取り戻した

個室の部屋へと案内されて王子の対面の席に着く。予約した時に既にコースも決められていたようなので暫く待つことに




「あの、ここって相当お高い所じゃ・・・」


「安心して下さい、ここは私が出しますので。今日付き合って下さったせめてものお礼です。それに個室ですからどうぞ

肩肘張らず楽にして下さい」




王子の言葉に甘えてここはご馳走になるとしよう

けど隣を歩いている時と違って対面というのは中々辛いな

目の前にいる王子がずっと私の方を見てきて目を合わせずらい・・・いや、ご馳走してもらうのだからこれ位は我慢しなくては

そんな事を考えながら暫く待っていると料理が運ばれてきた




「どうぞ、こちら前菜になります」




最初に出された料理は葉野菜と見たことない小さな黄色や赤色の実が乗せられたサラダ

初めて見る食べ物を恐る恐る口に入れて噛むとプチッと弾けて少しの甘みと酸味が口の中に広がってきた。野菜というよりフルーツに近いような感じで他の野菜達と調和ごとれていてとても美味しい

これは皆にも食べさせてあげたい。自分だけ味わっているのは申し訳ないな

この野菜は自分で作ることは出来るのだろうか。今度調べて栽培してみよう


それからスープ料理、魚料理、一度口直しを挟んでからメインの肉料理を頂いて最後にデザートと紅茶を頂き、全部で7品目程の料理を堪能させてもらった

どれもが複雑な味をしていて平民舌な私にはどれも美味しいでしか表現出来ない




「どうでしょうか?お口に合いましたか?」


「はい。どれも初めて頂く味で満足しました」


「そうですか!それは良かったです。ではそろそろ次へ行きましょうか」




お店を出る際に王子が紙のようなものを貰っていてそこに金額が書かれていて目に入ってしまったが、私の月のお給料が軽く消える額で目が飛び出そうになった

この料理を我慢すればあれやこれや買えたのに・・・と考える時点でやはり私にはこのレベルのお店は性にあわない事が分かった。大衆酒場位がお似合いだ・・・


店を出て王子が予定している次のお店へ向かおうと歩を進めようとしたその時、1人の少女が私達の前に割って入ってきた




「お兄様!見つけましたよ!私に隠れてエレナさんと2人きりになるなんて卑怯ですよ!」


「せ、セフィリア・・・」




その少女は以前攫われたところを助けたあのセフィリア王女だった



読んでいただきありがとうございました!

「よかった」「続きが気になる」など思っていただけたら幸いです

少しでも気に入ってくれた方ブクマ、評価、感想等々頂けると大変励みになります

次話投稿時間はTwitterの方で告知させて頂きます。よろしくお願いします!

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