表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

88/224

88話 王子と1日デート ー前編ー

「おはようございますエレナさん。それでは早速行きましょうか!」


「は、はい・・・」




今日、私は王子と2人きりでデートをするこことなってしまった

話は今から2日前に遡る。その日もいつものように訓練を順調にこなしていていた




「はい、じゃあ今日はここまでです。来週にはダンジョン攻略を行うのでそれまでに十分に休養して体調管理や装備の点検をしっかりしておくように。それではお疲れ様でした」


「「「お疲れさまでした!」」」




日が沈み訓練を終了させて自宅に帰ろうとしたころを王子が私を呼び止めてきた




「エレナさん、今度の休日に私とデートをして下さい!」


「あの、王子・・・何度お願いされても答えは変わりませんし困ります」




その週の最後の訓練日の終わり際に毎回と言っていい程このような誘いを受ける

プロポーズは私より強くなってからと決めているらしいが、その件とは別に私とデートしたいらしい

勿論毎回断っているのだが、それでも挫けず誘ってくる

その度に王子に対してケイティが刺すような視線を送ってくる。手を出してこないだけまだマシな方だ

面倒事は勘弁なので今回もいつもと同じように断る。しかし今回の王子は今までとは違った




「どうかこの通りです!」


「ちょっ!何やってるんですか!そんな事されても困りますからやめて下さい!」


「いいえ!エレナさんとデートができるまで諦めません!」




私が頑なに断り続けていたから最終手段に出たのか、王子は突然手と膝を地面につけてなんと土下座をしてきたのだ

それはもう綺麗な土下座を他の生徒達の前で披露してくれた。この王子には恥も外聞もないのか・・・

この王子のことだ。私が断り続けても本当にずっと土下座したままだぞ

周りの生徒達の目もあったし他の人に目撃されて大事になったら嫌なので仕方なく王子より先に私が折れることにした




「はぁ・・・分かりました。一度だけですよ」


「本当ですか!あ、ありがとうございます!では明後日の朝ここで待ち合わせしましょう!」




私が渋い顔でデートを了承している姿とは対照的に目を爛々と輝かせる王子。背後からとてつもない殺気がずっと溢れ出ているのを感じるが振り向いたらいけない気がしたのでそのまま急いで帰宅した

・・・・・という出来事があり今に至る。王子の粘り勝ちである




「それにしてもエレナさんの今日の服装、いつもの雰囲気とは違っていてとても素敵ですね。勿論普段の姿も凛々しくて魅力的的ですが」


「あ、ありがとうございます」




よくそんな照れそうなセリフを平然と言えるものだな

王子が褒めた今日のこの服装。ロングスカートにブーツ、上にカーディガンを羽織った様相。この服装はフィオナが選んだものだ

家に帰り今日の事を話したら何故かフィオナが凄い乗り気になってしまい、今日の為に洋服やら化粧やらなにからなにまで用意してきて半ば無理矢理この格好をする羽目になってしまった

私はいつもの服装でいいんじゃないかと思ったが、普段の姿とのギャップで相手を籠絡してやりましょうとのこと

フィオナは勘違いしていたようなので訳を話したが聞く耳を持ってくれなかった

わざわざ耳飾りまで用意しちゃって・・・・私よりフィオナの方がよっぽど今日のデートを楽しみにしていたように見えた




「エレナさん、まずはこのお店に入りましょう」




王子に連れられて最初に来たお店は雑貨屋さん。女の子が好みそうな可愛らしいぬいぐるみ等の小物類が置かれていた

こんな女性向けのお店を王子が知っているなんて。私の為にわざわざ調べてきたのだろうか。いや、それは流石に自意識過剰か

しかし生憎こういう可愛いものは身に着けないんだよな。でもせっかく連れてきてもらったんだし何か家に飾れるものでも・・・

そう思って商品を眺めていたらクマのぬいぐるみが付けられたストラップが目に留まった

そういえばラミアスがこの前学校の鞄にこういうストラップをつけるのが流行っているとか言ってて欲しいとか言っていたな

流行り物はよく分からないけどこれなら喜んでくれるかな

私がラミアスへのプレゼントを見ていると王子が声をかけてきた




「そのストラップが気になっているんですか?エレナさんもこういう可愛いものが好きなのですね」


「あっいえ、家にいる子供にプレゼントしようと・・・・」


「子供!?まさかエレナさん子供がいらしたんですか。では実は結婚もしていたり・・・」




言い方がまずかったか。私に血の繋がった子供がいると勘違いした王子は店の中だということも構わず膝を落とした

周りの迷惑になるので私は急いで誤解を解いて立たせ、ラミアスのプレゼントと家に飾る小物を買ってお店をあとにした


立ち直った王子に連れられ道を歩いていると、周りの人達が私達の事を何か言っているのが聞こえてきた




「ねぇ見てあそこのカップル」


「わぁ、本当美男美女ねぇ。羨ましい・・・けどあの2人どこかでみたような?」




まずい。王子と2人きりで歩いてる所を他の人に勘づかれて噂にでもなったらそれこそ外堀を埋められて逃げ場がなくなってしまう

王子たっての希望で変装しないで街中を歩いていたがやはりまずかったようだ

満更でもない顔をしている王子は放っておいて気づかれないよう心がけなくては

周りをより警戒する羽目にあいながら王子とのデートは続く



読んでいただきありがとうございました!

「よかった」「続きが気になる」など思っていただけたら幸いです

少しでも気に入ってくれた方ブクマ、評価、感想等々頂けると大変励みになります

次話投稿時間はTwitterの方で告知させて頂きます。よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ