84話 スライム達と楽しく
スライムナイトに囲まれながら私達は他のスライム達が見てる中を通過していく
スイムの計らいのお陰でで拘束はされずに済んでいるが、やはり周りにいるスライムは皆警戒しているな
しかしスライムの国とはどんなものか気になっていたが、私が思っていたよりもしっかりと文明が発達していた
建物はスライムのサイズに合わせて人間のものより小さめに作られているが私達が住んでいるような家と遜色ない
このスライムナイト達が持っている武器もきっとここで作られたものなのだろう
どのような製造方法かは知らないが剣と兜、どちらも素人では辿り着けない代物だ
誤解が解けて打ち解けることができたら色々話せたらいいな
「着きました。ここが私のお家です」
そうこうしているうちにどうやらスイムの家に到着したようだ
目の前にそびえ立つスイムの家。他の家とは比べ物にならないその絢爛な様は間違いなく王族が住まう城だった
扉が開かれ中に入っていくと、頭にカチューシャをつけているスライム、メイドスライムがスイムを出迎えた
「「「おかえりなさいませ姫様」」」
「皆さんただいま帰りました~。早速で悪いのですがこちらの方達を応接室へ案内して下さい」
「畏まりました」
メイドスライムにそう伝えるとスイムだけ別室へと移動し、私達は応接室へと案内された
待っている間はメイドスライムが紅茶を淹れてくれているのだが、体から触覚のようなものが出てきてそれを手のように器用に使って淹れる姿が見ていて面白い
淹れてもらった紅茶の茶葉はここで作られている特別なものらしく、苦味が強めだったけど後味がスッキリとしていたので一緒に出された甘めのクッキーと相性が抜群でいくらでも食べることができた
使われている茶器は香りが広がるように工夫されており、模様も入れられていて実に凝っている
視覚と味覚、両方で楽しませてくれるとは想像以上だ
「いやぁ、それにしてもまさかスイムがここのお姫様だったなんてねぇ」
「全然そんな感じには見えませんでしたね」
スライムに性別はないらしいがこの国ではお姫様という扱いになっているみたいだ
今回外に出たのが初めてだったと言っていたのはそういう立場だったからか
きっと今頃はお姫様として色々と準備をしているのだろう
そんな話をしているとちょうどメイドスライムが応接室へとやって来た
「失礼します。準備が整いましたのでご案内に参りました」
準備ができたということで私達は再びメイドスライムの後ろについて行く
ぴょんぴょんと跳ねながら頭につけてるカチューシャを揺らしながら私達の前に立って案内してくれるメイドスライム。その姿を見ているだけで何だか和む・・・
案内されてやってきた場所の前方には玉座があり、そしてそこには頭部に王冠とティアラをつけている人物と一緒にスイムが座っていた
人の姿で出迎えてくれているあのスライムがこの国の王様と女王様でスイムの両親か
どちらも中性的な顔をしているから分かりづらいが王冠をつけている方が父親ということでいいんだよな?
玉座の前まで連れてこられると王様の方から開口一番に感謝の意を伝えられた
「うちの者達が失礼したようで申し訳なかったな。そなた達のことは我が子スイムからこれまでの話を聞かせてもらった。捕まっているところを助けもらった上、世話になっていたようで本当に感謝している」
「あ、いえ。お嬢さんが無事で良かったです。こちらこそいきなりやって来て皆さんを驚かせてしまったようですみませんでした」
「いやなに、人間がここへやって来るのは初めての事だったからな。悪く思わないでくれ。今兵士達が民達に上手く広めてくれているだろうから安心してくれ」
とりあえずこれで厳しい目を向けられることはなくなったか
その後王様からお礼とお詫びを兼ねて今夜開かれるスイムの帰還祝いという名の食事会に招待されたので、町で留守番しているラミアスとシエルも参加できないかお願いしたところ許しを得たので一度町に戻り2人を連れて宴に加わらせた
畑で収穫した野菜と外で狩ってきたという魔物の肉がふんだんに使われた辛味のあるシチューを頂いた
さっき食べたクッキーと紅茶の味から他の料理も期待していたが、やはりこちらも中々の味だった
王様達のお陰で誤解は無くなり刺してくるような視線は無くなったが、初めて見るスライム以外の種族に声をかけるのに躊躇する者が多かった
しかしスイムが私達と仲良くしているところを見て次第に念話で声をかけてくれるスライム達が増え、あっという間に皆が他のスライムと打ち解ける事ができた
さっき食べたシチューの中に入ってた肉を獲ってきてくれた狩人スライム
小物から武器、建築物まで多岐に渡って製造している工匠スライム
その他にも農産スライムやお掃除スライム等初めて見るスライムに囲まれながら色々な話を聞かせてもらった
その他にも数え切れない程スライム達が存在していて、今日1日で一生分のスライムを見た気がする
食事回が終わるとその夜はスイムの部屋に寝泊まりさせてもらうこととなった
明日になったらスイムとはお別れとなる。僅かな期間ではあるが寝食を共にしていたので心寂しい
それはスイムも同じようで私達を自分の部屋に呼んでくれたようだ
「皆さん、暫くお別れとなってしまいますが・・・お友達でいてくれますよね」
「勿論だよ。王様からもまた来てくれって言われてるし皆でまた会いに来るよ」
「本当ですか!私、皆さんとお会いできて本当に良かったです!」
スイムと皆でまた来る約束を交わし、その夜は日付けが変わるまで語り続けた
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