83話 スライムの国発見
スイムの記憶で見てきた場所を頼りに空から探し回り、私達はスイムが流されてきたと思われる川をようやく発見することができたので地上へと降り立った
空からでは鬱蒼としている森のせいで手がかりを見落としてしまう可能性があるので、ここからは徒歩での移動に変更する
上流に沿って川にも何かしら痕跡が残されていないか歩きながら注意深く探したが、こちらの方は昨日雨が一日中降っていたようなので川の水が濁っていて手がかりになるようなものは一切発見することができなかった
川沿いを暫く歩いていくとやがて大きな岩が3つ並ぶ場所を発見。その岩はスイムが転がって川に落ちていった時に見えたものと酷似していた
「この岩があるって事はこの辺りからスイムは川に落ちたってことだよね」
「多分そうですねぇ、この川に真っ直ぐ転がっていって落ちたと思うので・・・あっちですかね」
スイムが転がってきたと思われる方向を指差し、その方向に私達は再び歩き出した。森の中へと入っていくと魔物が普段使っているような獣道がいくつもあったが、スライムの国に繋がるような痕跡は見当たらない
周りに気を配りながら森の中をしばしの間に真っ直ぐ進んでいくと、開けた場所にやってきた
しかしそこは先程森の中に入っていった3つの岩が並んでいる場所だった
一直線に歩いてきた筈だが・・・手がかりを探そうという方に頭がいってて気づかないうちにグルっと回ってきてしまったんだろうか?
始めはそう思い今度は注意しながら探索を再開させたが、その後どこに向かおうとしても最終的には元の場所に戻されてしまい、ここには何らかの妨害魔法がかけられているという結論に至った
他の場所はこういった魔法はかけられていないようなので、恐らくこの場所を突破することできればスライムの国に繋がる道、あるいは手がかりを得ることができるはずだ
魔法の類いであればどうにかできる。図書館で様々な本を調べていた時に新たに覚えた魔法の出番だ
魔法を抹消することができる魔法。これを使ってこの周囲一帯にかけられている妨害の魔法を掻き消す
魔法は正常に発動したが特に景色が変わった様子はない
一先ず確認の為に全員で森の中へ足を進めていくと、目の前に大きな岩壁が現れてきた
どうやらちゃんと魔法の効果は発揮されていたようだ
「あっ!ありました!ここ!ここを通って外に出たんです私!」
「ようやく見つかったね」
スイムが指差す場所にはちょうどスライムが通り抜け出来るような穴がある
この先にスライムの国が待っているということか。けどスイムはともかく私達はギリギリ通れるくらいか
スイムはスライムの姿に戻り穴を通っていき、私達は這いずりながら進んで行った
「すみませ~ん!ちょっと助けて下さ~い!」
「もう、何やってるの。ほらっいくよ!」
最後尾にいたフィオナはウエストはともかく胸とお尻が大きくよくつっかえて進めなくなってしまっていたので、その度に私の脚を掴ませて引っ張りあげる感じで救出し、何とか前進していった
そうして苦労しながら洞穴を進んでいくとやがて前方から一筋の光が見えてきた
洞穴を抜けるとそこは真昼のように明るく、少しの間に目が眩んだ
ようやく目が慣れてきて辺りを見渡すとそこは紛れもなくスライムの国だった
右を見ても左を見てもスライム、スライム。よく知っているスライムもいれば本でも見た事のないようなスライムまで様々
以前スイムが言っていたようにここには本当に沢山の新種スライムがいるのだと改めて認識させられた
「帰って来ましたー!早速両親に報告しなくては!」
そう言って奥へと進んで行くスイムの後ろを着いていくと一体のスライムと目が合った。折角なので声を掛けようとした途端そのスライムは震え出して念話を使って周りにいるスライム達に伝えてるようにして逃げていった
「に、人間だ〜!」
「なんだって!?」
「逃げろ~!」
そのスライムの言葉を聞いた途端、私達を見たスライム達は蜘蛛の子を散らすように全員が一目散に逃げていった
何か悪いことでもしてしまったのかと考えたが、よくよく考えればこれが当然の反応か
スイムが私達と平然と喋っていたから特に気にすることもなくやって来てしまったが、スライム達からしたら私達はいきなり入り込んできた敵のようなもの
むしろ最初から私達と普通に接していたスイムの方が珍しい方だ
「囲め囲め~!」
今度は何事かと思って見てみると逃げていくスライム達とは正反対にこちらに向かってくる無数のスライム
そのスライムは他とは違って武装をしていた。スライムナイトとでも呼ぶべきか
スライムナイトにあっという間に囲まれ、そしてその中の一体がこちらに念話で話しかけてきた
「なんだお前達は!」
「あ、いや私達は・・・」
「待って下さい!この人達は怪しい者じゃありません!」
スイムがスライムナイトを説得しようと前に出る
すると先程まで攻撃的だったスライム達がスイムの顔を見るや大声?を上げて泣き出した
「姫様~!よくぞご無事で~!」
「姫様・・・?」
周りにいたスライムナイト達はスイムの事を姫様と呼んで帰ってきたことを大喜びしている
状況が飲み込めないが一先ずの危機は去ったようだ
私達はスイムによって説得されたスライムナイト達に連れられ、スイムの暮らしている場所まで案内されることとなった
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