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82話 記憶を辿り

リヴィアさんから紹介されたおじいさんに連れられてやって来た部屋には床一面に魔法陣が描かれていた

初めて見る系統の魔法陣だが、解析した限りではこの魔法陣はどうやら対象の記憶を遡って覗く事が出来るもののようだ

まだ私が覚えていない魔法だったのでその手段は頭になかった。しかもこの魔法陣内にいれば発動した者だけでなく他の者も共有可能とのこと




「これでお嬢さんの記憶を見させてもらうんじゃが、問題ないかの?」


「だ、大丈夫です!それで手がかりが掴めるのならお願いします!」




スイムの許可を得たところでおじいさんは準備に取り掛かり始める

魔法陣の中心に置かれている椅子にスイムを座らせ、魔力を魔法陣に流し込んでいく

すると徐々に魔法陣が青く光り始め、空中にスイムの記憶が映し出されていった

スイム視点で見てきた光景が(さかのぼ)るようにどんどん流れていき、昨日スイムが本の雪崩に巻き込まれる場面も映された

こんな感じで映像としてスイムの中に眠る過去の記憶をどんどん掘り下げていくのか。これなら何か手掛かりが掴めるかもしれない

次に場面が切り替わるとつい先日皆で行った銭湯で入浴している姿が映し出された




「ほぅほぅこれは中々・・・おっほほほほ」


「こんなところはいいから!もっと前の記憶を見せて下さい!」




まだ布で隠されている場面で助かった。思いもよらないところで恥ずかしい目にあってしまったが今はスイムの案件が優先だ

鼻血が垂れそうなのを堪えながら凝視しているおじいさんの目を覆い、気を取り直して次の場面へと切り替えさせる

スイムの記憶を順々に辿っていくと、やがて例の奴隷売買の連中に捕まったところまで遡ってきた

ここからだ。ここより前の記憶がスライムの国を見つける為の足掛かりとなるものが見つかるかもしれない

更にそこから川に流されてる場面から崖の上へと遡っていき、記憶はスイムが魔物の尾を踏んで怒らせる前まで巻き戻された

スライムの国をようやく突き止めることができると思った次の瞬間、突然映像が乱れ始めてまともに映し出されなくなってしまった




「あれ、どうなったんですか?」


「むぅ・・・おかしいのぉ。急にこのお嬢さんの記憶が辿れなくなってしまった。覗こうとしても拒絶されいるようで見ることが出来ないんじゃよ」


「私拒絶なんてしてませんよ〜」




記憶を覗かれてる際に拒絶反応があれば魔法の発動は中断されるようになっているらしいが、スイム自身が拒絶していないと断見している

考えられるのはその記憶が辿れなくなった場所より先に結界のようなものが張り巡らして情報を遮断し、外部に漏れないようにしている可能性

何者かは分からないがそこから先が見られないよう細工が施されていると考えて動いた方がいいかもしれない


結局スライムの国の場所まで突き止めることはできなかったが、記憶を辿っていった事でおおまかな場所まで把握することは出来た

今まで何の情報も得られなかった事を考えたら大きな進展だ。まずは一度帝国領に入ってスイムが流された川を辿って行き、その森周辺の怪しい箇所を探していけばスライムの国に近づけるはずだ

私達はおじいさんにお礼を言ってその場を立ち去った

最後にまたお尻を触られそうになったのでそこはしっかりと回避させてもらった

記憶で私達の裸体を見たのだからお代は払い過ぎたくらいだろう


私達は早速自宅に戻り、帝国へと戻る準備をし始めて明日向かうことにした

ちょうど訓練の方も明日は休みなので丸一日探索に費やすことが出来る

帝国へと再び赴くと皆に話すと全員ついてくるということになった。何が起こるか分からない場所なので心配したが、ラミアスとシエルは途中でハンナさん達がいる町に行く予定だったのでそこで預かってもらうことにした

翌日、準備が出来た私達は一度検問所を経由した後に一家がいる町へと移動

ハンナさん宅がある場所に向かっていると自宅の隣で畑仕事をしているハンナさんとネルの姿を見つけた

こちらが近づいてくるのに気がつくとネルが元気な声と笑顔で私達を迎えてくれた




「久しぶりですネルちゃん。といっても一月も経ってないですが。お家のお手伝いしてたんですか?偉いですねぇ」


「2人で毎日お世話してるんだよねネル」


「うん!」




良かった。姉妹は変わらず元気でやっていけているようだ

外で賑やかにしていると家の中から気になって出てきた親御さん達も私達を見るや大いに歓迎してくれた

ちょうどお昼を迎える時間帯ということもあったので、先日のお礼ということでご馳走を頂くこととなった

食事中にこちらで大まかな場所を把握することができたので今から探しに行く旨を伝えると、頭を下げられてしまった




「すみません。隣町の者にも話を聞いて回ったのですが大した情報は得られず・・・お役に立てなくて申し訳ありません」


「いえ、そちらも色々やることがあって大変だったでしょうし気にしていませんよ。こうして料理を振舞って頂いただけで十分です」




新たな仕事に加え引っ越して来たばかりで生活に慣れるのに大変なのにも関わらず探してくれただけで十分だ

こちらのせいで家庭に影響が出てしまったら元も子もないからな

食事をご馳走になった後はラミアスとシエルをハンナさん宅に預かってもらい、残った4人でスイムの記憶で見た場所を目指して飛び立った




読んでいただきありがとうございました!

「よかった」「続きが気になる」など思っていただけたら幸いです

少しでも気に入ってくれた方ブクマ、評価、感想等々頂けると大変励みになります

次話投稿時間はTwitterの方で告知させて頂きます。よろしくお願いします!

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