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80話 プロポーズ

準備運動も終わり、まず始めに生徒達の使う武器適正を見ていくこととなった

数を揃えるのに時間がかかって前回は間に合わなかったが、今回からはこちらで取り揃えた様々な武器を生徒達に使わせていく

今回の生徒達は皆線が細く盾役が務まりそうな人材が少ない。ケイティもその1人で1番小柄な体格をしている

その分身のこなしが軽快で小回りが利くが、力がそこまで強くなく弓を引くのも難しそうなので短剣を装備させることにした

小型の魔物であれば短剣を急所に刺せば倒すことが出来るし、大型であれば致命傷は与えられずとも訓練すれば小回りが利く点を活用して上手く相手の気を引くことが出来るだろう


そのような感じで順番に生徒達の武器適正を見極めていくと、他の生徒とは見るからに雰囲気が違う男性が目に入ってきた

大概の生徒は最低限の装備でそこまでの品質の物じゃないのだが、その者の装備は一目で高価な物と分かった

やがてその男子生徒の順番がやってくると、私にお辞儀をしてきて挨拶を交わしてきた




「エレナさん、どうも初めまして。お会いできて光栄です」




所作の1つ1つに無駄がない洗練された立ち振る舞い。非常に礼儀正しい人物・・・なんだけどなんだか無駄にキラキラしていて眩しい。こういうタイプの人は苦手なんだよな

けどこの男性どこかで見たことあるような気が・・・どこどったけかな?




「あの、貴方とどこかで会ったことあったかな?」


「エレナ先生・・・あの方は」




女生徒が教えてくれようとする前に男は自分から名乗り始めた




「私の名前はアルディーン・へイリオスと申します。アル、とお気軽にお呼びして頂けたら幸いです」




へイリオスって・・・あぁ思い出した!以前剣舞祭の時に王様やセフィリアと一緒に観戦していた王子だ

髪の色も一緒だし目元とかもそっくりだから間違いない

けど王子が来るなんて聞いてないぞ。なんで事前に知らせておいてくれなかったんだろうか




「殿下が参加されるなんて聞いていないのですが・・・」


「おや、おかしいですね?リヴィア殿に事前に話しておいたからてっきり聞いているものかと」




王子の言葉を聞き端っこで私達の様子をコッソリと窺っているリヴィアさんを見ると、ニヤニヤと笑みを浮かべていた

あの様子からして伝え忘れたんじゃなくて私がどんな反応をするか見たくてわざと伝えなかったな

お土産を渡そうと思っていたがその必要はなさそうだ

リヴィアさんの方を睨みつけていると王子が続けた




「セフィリアからよくお話を聞かせてもらっていましたがこうして間近で見ると本当に美しい。こうしてお会いして言いたかったこともようやく伝えることができます」



セフィリアから話ってそんなに話すことあったかな?最近は全く会ってないし気軽に連絡できるような仲でもないからなぉ

それに伝えたいことってなんだろうか

王子が何を言うのか待っていると、いきなり膝をついて予想もしていなかった事を私に向けて口にした




「単刀直入に言います。エレナさん、私と結婚して下さい!」


「はぁ・・・・・はい?」




他の生徒がいる事など気にすることも無く はどこからか取り出した大きな宝石が嵌め込まれた指輪を私に差し出して結婚を申し込んできた

私が1人唖然としている中、周りからはどよめきが起こる

王子は更に続けた



「私はあの時貴女の洗練された剣技に心を奪われました。それから貴女の事が忘れられず暫くは夜も寝ることが出来ませんでした。こんな気持ちは初めてなのです!」




王子様なんて黙っていても女性の方からやって来て選り取りみどりのはずだろうにどうして剣しか取り柄のない私なんかを選んだのだろう

もっと麗しい貴婦人とかの方がいいだろうに・・・

それにしてもどうしたものか。いつものように即答で断りたいところだが今回の相手は王族。今までの相手とはわけが違う

こんな大勢の前での告白を断って果たして大丈夫だろうか。ここで断られたら私だったらもうここには来れないな・・・

断るのは前提としてどう上手い具合に諦めてもらうことができるか

私が考えあぐねていると脇からケイティが割り込んできた



「ちょっと貴方!エレナ・・・先生が困ってるじゃない!人の嫌がることをしないようにって教わらなかったの!」


「な、なんだね君は。私はただ気持ちを伝えようと・・・」


「それが迷惑だってこと分かんないの!こんな周りの目がある中で貴方みたいな身分の人に告白されたら断りづらいでしょう!」




ケイティ・・・味方になってくれるのは有難いが、困るようなことをしているのは貴女も同じようなものだという考えには至らないのね

自分を客観的に見るのって難しいね・・・

というか相手は王族なのに全く物怖じしないなんて肝が据わっているというか図太いというか

王子もそこまで言われたことがないのだろうか言い返せずにいた




「殿下。申し訳ありませんが私は今のところどのような方であろうと結婚する気はありませんし、仮にするにしてもまず私より強い人じゃないと対象には・・・」


「そ、そう・・・ですか」




王子を振るなんて前代未聞だろうが無理なものは無理だ

こう言っておけば少なくとも王子に落ち度があったとは思われないはず

これで素直に諦めてくれればいいのだが




「では死に物狂いで強くなって貴女に認めてもらえるよう精進します!」




全然諦めてなかった。むしろ何故か凄いやる気にさせてしまった

変に可能性を残してしまったのがまずかったのか・・・




「負けないわよ。エレナは私のなんだから・・・ふふ、うふふふ」



ケイティが小声で王子への対抗心を呟く

ケイティだけでも面倒なのに王子まで増えるなんて・・・扱いにくい分ある意味王子の方が厄介だ

こうして初日の訓練は不安な気持ちを抱えたまま終了することとなった

読んでいただきありがとうございました!

「よかった」「続きが気になる」など思っていただけたら幸いです

少しでも気に入ってくれた方ブクマ、評価、感想等々頂けると大変励みになります

次話投稿時間はTwitterの方で告知させて頂きます。よろしくお願いします!

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