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77話 移住

スイムの能力のお陰で親御さんを救出することができた私達は転移を使って家の前までやって来た

家の中ではまだハンナさんとネルが私物を回収して身支度を整えている最中だったので、2人に声をかけた

外に出てきた姉妹は亡くなったと思っていた両親が突然目の前に現れた事で一瞬固まってしまっていた




「嘘・・・お父さん?お母さん?」


「ハンナ!ネル!」


「お父さん!お母さん!」




両親が両手を広げて2人の名前を呼ぶと先にネルが両親の元に駆け寄って飛びつき、続いてハンナさんがネルに覆い被さるようにして抱きつきにいった

もう会う事が出来ないと思っていた家族との再会。全員が号泣しながら強く抱き合う

感動の再会の時間を邪魔する程無粋ではない。私達は少し離れた所でその様子を暖かく見守ることにした

暫く経ってようやく落ち着いたのか、一家が私達の元にやって来て頭を下げてきた




「皆さん、この度は本当にお世話になりました。なんとお礼を申し上げたら・・・」


「お礼なら今回1番の功労者であるこちらのスイムに言ってあげて下さい。この子がいなかったらお2人を見つける事が出来なかったので」


「お姉ちゃんありがとう!」


「いやぁそれほどでもぉ♪」




感動の再会を済ませたところで今度は一家の今後の話に切り替わる

親御さんが無事戻って来たのでここでそのまま暮らしを続けるのか。はたまた別の場所で心機一転また新たな暮らしを始めるかの家族会議が始まった

結論から言えばここを離れる事に決まった。やはりあんな事があった後ではここに住み続けるのは難しいだろう

今回はたまたまリザさん達の依頼とタイミングが合ったから良かったが、あと1日でも遅れていたらきっと奴隷として買われていたことだろう。もしまた同じ事が起きたとしても今度はこんなに都合良くはいかない

親御さんも偶然通りかかったであろう盗賊達に捕まっていなかったらそのまま・・・・・なのでこの決断は妥当なものだと思う

しかしネル1人だけは反対していた。ここを離れるのが嫌というよりも家を手放すことに反対しているみたいだ




「確かに苦労して作った家を手放すのは惜しいが・・・けど家族をまた危険な目にあわせるわけにはいかないんだよ」


「分かってちょうだいネル。暫くは借家になるだろうけど家はまた頑張って新しく建てましょう」


「やだよぉ・・・私はこの家がいいんだもん」




こんな感じでネルを説得するのに難航して埒が明かない感じだったので私が助け舟を出すことにした

以前地竜に使った体を小さくする魔法。あれを家に応用して使い、基礎ごとサイズを手に収まるサイズにまで縮小させて持ち運べるように変えた

あとは土地を購入して元に戻すだけで今まで通りこの家で暮らす事が出来る




「これであとは住む場所だけですね」


「本当に何から何まで・・・有難うございます」




家の問題は解決して残すは移住地問題となったがそれは父親の方に伝手があるらしく、その人に頼ることにすることにしたようなので私達はその場所へ向かうことにした

ちょうど検問所へと向かう方角だったので都合がよかった。レジティアに来るという話がなくなったのは少し残念ではあるが、姉妹が幸せなのが1番いいことだ


検問所へ向かう道から少し逸れた場所までやってきた私達は父親の伝手がある町長のいる町に到着し、そこで事情を話して使われていない土地を特別に無料(タダ)で貰うことができた

そこまで広い土地ではないとはいえ無料であげるなんて・・・どうやら町長はハンナさんの父親に大きな借りがあるようだな

貰った土地に先程小さくした家を置き、戻した時にぐらつかないよう地面にしっかりと固定させて元の大きさへと戻す。これでハンナさん一家の家ごと引っ越しが完了した

今まで使っていた家をこれからも使える事に対してネルは飛び跳ねるように喜んでいた

それは家を諦めようと思っていた他の3人も同様で、全員にまた頭を下げられた




「家族を救って頂いただけでなくこのような事にまでお力添え頂けるなんて。本当にどうお返しをすればよいか・・・」


「いえ、お返しなんてそんな・・・」


「しかしそれでは気が済みません!金銭は殆ど盗られてしまったので今すぐにとはいきませんがそれ以外の事でしたら何でもおっしゃってください!」




成り行きでこうなっただけで特に見返りを求めて助けてたわけじゃないからなぁ。突然言われてもすぐには思いつかないな

でも何かしら要求しないとあっちも引き下がってくれなさそうな感じだし・・・そうだ。物じゃなくても欲しいものはあるじゃないか




「でしたら情報を集めてもらえませんか?私達は今スイムが暮らしていたスライムの国というのを探しているんです。どんな些細な情報でも構いませんので集めてもらえると助かります」


「スライムの国・・・私も聞いた事がありませんが分かりました。恩人であるスイムさんの故郷、次こちらに来るまでの間に色々調べて回ってみます」


「ありがとうございます!よろしくお願いします〜!」




地図には描かれていないだろうけど書物とかならもしかしたら何かしら情報が書かれているかもしれない。人海戦術も駆使して少しでも多くの人から情報を集めてくれると助かる

こちらと並行して調査をしてくれれば早くスライムの国を見つけることができるかもしれないしな

家の引っ越しも無事に終わり、情報集めも頼んでここでやることは全て済んだ

もう日は暮れているがここから検問所までは大した距離じゃない。レジティアに帰るとしよう




「では私達はこれで失礼します」


「本当にお世話になりました。次来た時には精一杯おもてなしをさせていただきます」


「お姉ちゃん達ありがとう!ありがとう〜!」




私達はハンナさん一家に別れを告げ、こちらに手を振ってくるネムに見えなくなるまで手を振り返してそのまま検問所まで向かい、そこで自動車を預けて転移でレジティアへと帰還した

エルフの里から始まりエルロンド帝国でも様々なことに巻き込まれて現在も問題を抱えたままだが、退屈しない休暇ではあった

戻ってスイムの国の事を調べていたらあっという間に次の講師の仕事が始まるな。また忙しくなりそうだな



読んでいただきありがとうございました!

「よかった」「続きが気になる」など思っていただけたら幸いです

少しでも気に入ってくれた方ブクマ、評価、感想等々頂けると大変励みになります

次話投稿時間はTwitterの方で告知させて頂きます。よろしくお願いします!

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