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74話 人の姿をするスライム

打ち上げが終わりリザさん達と別れた後は宿へと戻った

ハンナさんとネルは私達がいては話辛いだろうと思い、追加料金を払って別の部屋を借りてあげた

明日までに話がつくかは分からないが、朝になったらここを出て森にあるというハンナさん達の家に向かう

これからどうするにしても家には生活に必要な物がたくさん残っている。金銭的なものは難しいだろうが衣服や思い出の品までは盗まれてはいないはずだ

この問題はあの姉妹2人が決めることなのであちらの問題はあちらに任せ、今はこっちだ。私達は私達でまた別の問題を抱えていた




「さて、このスライムはどうしたものか」




地下でハンナさん達と一緒に捕らえられていた桃の色をした珍しいスライム

ギルドマスターに見せても私達と同じく初めて見るようで、特に情報を得ることは出来なかった

ついでだからと見つけた私が処分を任されたのだが・・・なんだかこのスライムを見ていると他のスライムと違ってなんというか愛嬌のようなものを感じて倒すのが忍びなくなってくる

()しかつぶらな瞳がウルウルとしているようにも見えてきた




「ご主人様、倒さないのですか?」


「うーん・・・見たことない珍しい種類だし倒すのはちょっとなぁ。とりあえず狭くて苦しそうだから檻から出してあげようか」




珍しいとはいえスライムはスライム。間違ってもこちらが危害を加えられるような事態にはならないだろう

念の為いつでも抜けるよう剣だけ置き、檻に手を近づけて脆性の魔法を発動すると拒絶されるような形で発動に失敗してしまった




「この檻、魔法が使えないよう魔封じの効果が付与されてるのか」




魔封じの効果が付与されているものは魔法で壊す事は出来ない

その場合は魔封じの効果を打ち消す魔封じ専用の魔法を使えばいいのだが、今はそれよりもずっと手っ取り早い方法がある

スライムを入れて置く程度の檻は大した耐久性もないのでフレイヤに任せて壊してもらう

檻が壊れて自由になったスライムは私の目の前まで這ってやってきたと思ったら、丸い状態からウネウネと体を動かして姿を変えていき、人の姿へと変身した




「アッあーあーテステス。おほん、ちゃんと通じていますかね」


「スライムが・・・」


「喋ったーー!!」




目の前で起こった現象に一同が驚愕した

人の姿に変わっただけでも驚きなのに人の言葉まで話すなんて・・・今まで図体がでかいスライムや毒、酸を吐くスライム。人の言葉を話す魔物も数々と見てきたが、このタイプのスライムは今まで見たことがない




「スライムだって喋る位しますよ〜。あっ、口から余分なスライムが・・・話すにはこの姿にならないといけないんですが久々だから維持するのが大変で」




余分なスライムってなんだ・・・けどこうして見続けているとしっかり人の形をしているのに所々がプルプルと動いていて見てて結構面白いかも




「そうだ、とりあえず君の名前・・・ってあるのかな?」


「そういえば自己紹介がまだでしたね。改めてまして、スライムの国出身のスイムと言います。この度は助けて頂き感謝します!」


「スライムの国?」




スライムに国があるなんて初めて聞いたな。そこにはスイムのようなスライムがたくさん住んでいるんだろうか

興味深いところだがその前にどうしてあんな場所で捕らえられていたのか聞かなければ




「スイムはどうしてあの場所にいたの?」


「ふらいふのふにのひはふへしゃんほひへたほころへ・・・」


「ラミアス。何言ってるか聞き取れないから頬っぺた抓らないであげて・・・」


「こいつの体、どこを引っ張っても伸びるから楽しいぞ!」




スイムの体に興味津々であちこちを引っ張りまくるラミアスを止めて話を聞かせてもらった

スイムが言うには先程話していたスライムの国の外に出て散歩していたらとある魔物の尾を踏んで怒らせて追われる羽目になってしまい、スライムの国に向かって逃げていたら途中で木の根に躓きそのままコロコロと転がっていって崖の下にある川に落ちて流されてしまったらしい

それで気がついたら人に網で(すく)われて捕まっていて、檻に閉じ込められていたようだ


スイムが話すスライムの国。念の為調べてみたがやはり地図にも載っていない場所だ

そこへ返してあげたいところだが場所が分からないのではどうする事もできない




「そのスライムの国っていうのはこの地図でいうとどこら辺にあるか分かる?」


「うーん・・・分かりません。地図なんてスライムの国にはなかったですし私外に出るのも初めてでだったんですよね。転がってた時に方向感覚がぐちゃぐちゃになっちゃってどこにあるのかとかはちょっと・・・」




つまり帰り道が分からないから帰る場所がないということか

外に出たのが初めてなら目印になるようなものも知らないか。流されてきた川というのを辿っていけばもしかしたら何か分かるかも

けど私達は明日あの姉妹を連れていかなければならない。スイム1人で知らない場所を探すなんてことは出来ないだろう

うーん・・・今更1人増えたところであまり変わらないか




「急いで帰る必要がないなら一先ず私達と一緒に来る?ここから離れた場所だけどスイム1人でいるよりはいいと思うけど。帰り方も探してあげるからさ」


「本当ですか!戦闘力皆無なので助かります〜!暫くの間ですがお世話になります」




こうして捕らわれていたスライムのスイムはスライムの国の場所が分かるまで一時的に行動を共にすることとなった

具体的な場所が分からない以上捜索範囲は広くなってしまうが根気強くやっていくしかなさそうだな

エリクシルを駄目にしてしまった事から始まり、観光目的で来たはずなのになんだか色々と厄介な事に巻き込まれてしまったな・・・


読んでいただきありがとうございました!

「よかった」「続きが気になる」など思っていただけたら幸いです

少しでも気に入ってくれた方ブクマ、評価、感想等々頂けると大変励みになります

次話投稿時間はTwitterの方で告知させて頂きます。よろしくお願いします!


※終盤の文章が抜けてしまっていたので修正させて頂きました

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