表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

70/224

70話 扉の先へ

「楽しかったよエイリナちゃん。また指名するからねぇ」


「あ、ありがとうございました~」



奴隷売買が行われているというお店に侵入してから数時間が経過した

お客のボディタッチに耐えながら接客中も周りの様子を見落とさないよう気を配っていたが、今のところ変わった様子はない

ただ1つ気になる点があったのは広く綺羅びやかなお店の隅に不釣り合いな扉があること

そこには体格のいい警備員2人が常駐していた。さりげなく他の女性従業員に扉について聞いてみたが、誰もあの扉については聞かされていないらしい

ただたまにお客の中でその扉の中に入っていく者がいるとも言っていた

恐らく会員の中でも一部の者しか入れない場所なのだろう。他に怪しい場所も見当たらないしきっとあそこの奥に奴隷となっている人達がいる筈だ



「フィオナ、そっちは何か有力な情報はあった?」


「ん~、エレナさんが言っていたのと大して変わりませんね」


「そっか、どうするかなぁ」



魔法で自分の傍に隠している剣でいつでも突破することも出来るが、奥の様子が分からないことには迂闊な事はできないし万が一間違っていたら別の場所に隠されて救えなくなってしまうかもしれない

どうやって中に忍び込もうかと考えていると店に入ってきたお客の1人が扉の方に進んでいき、警備員に会員証を見せて中に入っていく姿を確認した。そのお客は他のお客より身なりが良くいかにもお金を持っていそうな雰囲気だった

数十分して奥の部屋から戻ってきた。入る時に持っていた革袋が無くなっていた

中には結構な金額が入っていたようだから奴隷を買った可能性が高い。流石に店内に連れ出すことは出来ないから奴隷の受け渡しは別の場所で行われるのだろう


あのお客が持っていた会員証・・・他の会員と違って金で作られていたな

あの部屋に入るには金の会員証が必要ということか。あれを手に入れないと奥の部屋に入ることはできないか

そっくりなのを作る事を出来るが会員証には識別番号があるから下手は真似はできない

私達一般の従業員も入ることが出来ないからどうにか金の会員証を持つお客を捕まえてその人物として忍び込むしかないな



「エミール様、お待ちしておりました」


「うむ、今日はあそこに入らせてもらうぞ」



そうこうしているうちにまた新たにお客がやってきた。その者は入り口にいた従業員に金の会員証を見せていた

よし、あの男を利用して中に忍び込もう。その為には男と2人きりにならなければ・・・

ちょうど今店の入口からあの扉の動線上にいる。私は男が横を通り過ぎようとしたタイミングでわざと目の前で派手に転んでやり、男を無理矢理制止させた



「あいたたた・・・お兄さん、私慣れない靴のせいで靴擦れしちゃって・・・助けてくれません?」



網タイツの足と大してない胸を精一杯強調して男を誘惑する。我ながら死にたくなる演技だ

衣装の効果もあったのか男は私の作戦にまんまと引っかかった



「し、仕方ないな。どれ、肩を貸してやろう」


「ありがとうございます。じゃあちょっとあっちの部屋までお願いします」



私が男性に頼んだ部屋は個室の部屋。追加料金を支払うことでお気に入りの女性従業員と2人きりになることができる

声が漏れない完全防音仕様の部屋・・・そこで何をしているのかはご想像にお任せしよう

そんな場所に誘われた男は期待の眼差しを向けてきて、私は手を引かれてされるがままに奥の個室へと姿を消した



「今日はこんな予定じゃなかったんだが、君みたいな綺麗な子に誘われちゃ断る訳にはいかないからね」


「ありがとうございます~♪それじゃあ早速ですけど・・・傀儡(マニピュレイト)操作(・パペット)



個室に入った途端いそいそと服を脱ぎ出す男に洗脳の魔法をかける

すると男の目が据わり始め、脱くのを止めてその場でフラフラとただ立ち尽くすだけとなった

この魔法にかかった者は発動した者の意のままに操ることも出来る。私は男に質問を投げかけた



「今日ここにやって来た目的は?」


「はい・・・ここにいる奴隷を買いに店に来ました」



やはりここに奴隷がいるのは間違いないようだ。続けて質問をする



「警備員を立たせているあの扉の先に奴隷がいるんだね?中の警備は何人いる?」


「はい・・・今日は2、3人入荷するとの連絡がありました。警備は常駐しているのが何人か。具体的な人数は分かりません」



数人程度なら問題ないがあまり多いと捕まってる人を人質にされるかもしれないな

そこはなんとか上手くやるしかないか

一通り情報を聞き出した後は男を眠らせて拘束した

男から金の会員証を借り、変化の魔法でその男の外見を完全に再現させた。これであの扉を突破出来るはずだ

この魔法は持って30分ってところ。それまでに終わらせなければ



「確認できました。どうぞお入り下さい」



男に姿を変えた私は拝借した会員証を提示し、警備の人に通されて無事中に侵入することが出来た

奥に進むと地下に続く階段があり、その階段を下りていくと厳重な扉が現れた

奴隷が万が一にも逃げ出さないよう二重三重と用意周到に作られているようだ

扉の先は薄暗く衛生管理がしっかりされていないのか少し臭いがキツい

きっと捕まってる人達は怯えているに違いない。一刻も早く助けてあげなければ


読んでいただきありがとうございました!

「よかった」「続きが気になる」など思っていただけたら幸いです

少しでも気に入ってくれた方ブクマ、評価、感想等々頂けると大変励みになります

次話投稿時間はTwitterの方で告知させて頂きます。よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ