69話 潜入調査
「まずは自己紹介からだな。私らは薔薇の乙女リーダーのリザだ。それでこっちが仲間のモニカ、カミラ、フランチェスカだ」
「どうもエレナと言います」
薔薇の乙女という女性冒険者で構成されたパーティ。ちなみに階級は銀
女性のみで銀という階級まで上り詰めているのは大変珍しい
あの体つきは伊達ではないということか
「あんた達ここら辺じゃ見ない顔だけど冒険者なんだろ?」
「はい、今日着いたばかりです。ここにも来るのは初めてで・・・あの、本当にエリクシルの代わりに頼み事を聞けばいいんですか?普通に弁償することも出来ますけど」
「あぁ、あんた達には私の仕事を手伝ってもらいたいんだ」
仕事の手伝いか。エリクシルの弁償よりもそちらを優先して頼んでくるなんて余程重要な仕事なんだろうか
リザさんから聞いた説明を要約すると、あるお店が裏で奴隷売買をしているという疑いがかけられていて、明日の夜にその奴隷の受け渡しが行われるらしい
国が発展していっていてもそういうのは未だに無くなっていないんだな・・・
リザさん達の頼みは私達にその店の中の様子を伝えてほしいとのことだった
「つまり私達に密偵役をやってほしい・・・ということですか。それで潜り込む場所はどこですか」
「それはなぁ・・・ここだ」
「はっ・・・?ここ!?」
リザさんがテーブルに置いた紙に目を向けてみると書かれていたのは会員制クラブの従業員募集用紙
このお店に従業員として忍び込んで来いっていうのか。これ明らかにいかがわしい仕事の内容のやつだよな・・・
「いやぁ、ギルマスに頼まれた仕事なんだけど私等この国じゃそこそこ有名な方で顔割れてるだろうからどうしたもんたかと考えてたんだよ」
いや、この店を受けるにはもっと根本的な問題があるのでは・・・と言いかけたがそれは逆鱗に触れそうだから口を閉じた
「ここは会員制ということもあって面接は厳しめ何だけど・・・大丈夫!あんた達なら絶対受かるから!」
「いや、心配してるのはそこじゃないんですけど・・・」
私達に目をつけたのはこういう理由だったんだな
話を断って無理矢理エリクシルだけ弁償して帰りたいところだが・・・奴隷として捕らえられている人を見捨てるわけにもいかない。ここは受け入れるしかないか
「分かりました。協力しますよ」
「はっは!助かるよ。じゃあ早速面接受けに行かなくちゃな。宿はまだだろ?私達がよく使う宿を取っておいてやるよ」
こうして私達はリザさん率いる薔薇の乙女達と協力して奴隷売買のお店を叩くこととなった
まず私達は密偵を行うクラブの従業員面接を受けにお店へと向かった
面接はあっさりクリア。無事従業員として潜入することに成功し、明日から早速働くこととなった
「う~・・・!納得いかないぞ!なんで私だけ門前払いされたのだ!」
「だから言ったじゃん。大人向けの店だからフレイヤの見た目じゃ無理だって」
面接時、髪色も変えて偽名を使って店に侵入した
フレイヤとフィオナはバレないよう幻惑の魔法をかけて普通の人間に見えるようにしたが、フレイヤの幼い見た目では面接を受ける前に弾かれてしまった
まぁ接客業で元々フレイヤには不得手だろうと思ってたし今回はリザさん達と共に待機してもらおう
リザさんが用意してくれた宿で私達は一夜を過ごし、夕方の出勤になるまで皆で観光をした後に再びお店へと向かった
「いやぁまさかこんな綺麗で即戦力の2人が入ってきてくれたなんてツイてたな。よろしく頼むよエイリナちゃん、フィーナちゃん」
「「よろしくお願いします」」
手筈通り外には薔薇の乙女のパーティとフレイヤが待機。私の合図でいつでも行けるよう待機している
「じゃあ早速これに着替えてね」
「えっ・・・これに着替えるんですか」
「それがうちのフォーマル衣装だからね」
従業員に渡されたお店の制服は今まで見た事の仕様になっていた
兎人族のような長い耳の被り物と尻尾をつけ、肩を露出させ胸を強調するような服に薄いあみあみのタイツと呼ばれているものを組み合わせた衣装
これがこの店に売りらしく、お客から大変好評ということだが・・・ある意味水着より恥ずかしくてこれで今から人前に出るのかと思うと億劫でならない
「フィオナは相変わらず全く気にしてないね。恥ずかしくない?」
「えーそんな事ないですよ。可愛いじゃないですかー。ぴょんぴょん♪」
フィオナが跳ねてウサギのモノマネをする度に胸が上下に激しく揺れる
あれをしてるだけでお客を釘付けにできるだろうな
というかあんなに跳ねていたら胸が出ちゃうんじゃないか?
着替えが終わると早速私達を指名する客が来たので相手をすることとなった
「ど、どうも初めまして~新人のエイリナといいます」
「うひょー!君がエイリナちゃんか。スタッフにお勧めされたから指名してみたけど大当たりじゃん!」
「あ、あははは~。ご指名ありがとうございます~♪」
お客の手が私の露になっている肩に添えられる
いやらしい視線も感じて正直今すぐにでも突き飛ばして逃げてやりたかった。我慢だ我慢・・・
フィオナは上手いこと・・・というより楽しくやってくれているようだ。本来の目的を忘れてないだろうな?
とにかく奴隷の売買が行われている決定的な証拠を掴まなくては
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