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56話 慰労会

生徒達の傷を回復した後、上層に戻ってセーフティエリアで体力回復と魔力回復を図った

ミノタウロスとの戦闘で装備が使い物にならなくなった生徒もちらほらといたので、帰りの道は私達3人が主動となって魔物を倒していった

そうしてダンジョンを出た私達は待機させていた馬車に乗って王都へと帰還した

最後は想定外な事態が起きてしまったが、結果だけ見れば上々といっていいだろう

生きて帰ること。ダンジョンに入る際の一番大事なことだ

ダンジョンは任務と違って失敗しても誰かに咎められるわけじゃない。今回ミノタウロスを倒せなかったとしても生きていれば次がある

鍛錬、情報、準備・・・悔しさを忘れずにそれらを怠らずしっかりと行っていけばいつか必ず倒すことができるはずだ


最初の組の帰還後、1日休暇をもらってから二組目のダンジョン護衛に付き、その後同様に三組目も行った

ミノタウロスのような想定外の魔物が出たのはあの一度だけで、他の組は滞りなく進んでいき全員無事にダンジョンでの訓練を終えることが出来た

ダンジョンから戻ってきてからというもの、剣術クラスだけでなく魔道クラスの生徒も私の元にアドバイスを求めにやってきて各々の課題に取り組んだりと以前より訓練に身が入っていた


日が暮れて今日の訓練も終えたので帰宅しようとしていると、1人の女生徒が声をかけてきた



「お姉様、少しお時間よろしいですか?」


「ん?どうかした?」


「ダンジョンでの訓練が一段落ついたので皆でささやかですが慰労会のようなものを開こうという話になっているんですが、良ければお姉様にも参加して欲しいなと思いまして・・・どうでしょうか?」



慰労会か・・・ここに来てから生徒達は勉強に訓練と殆ど休みがなかったみたいだしガス抜きにちょうどいいいいかもな



「うん、参加させてもらうよ。フィオナ達にも伝えておくね」


「勿論です!そのように準備しておきますね。慰労会は明日の夜ここのお店で行いますので!」


「分かった。私達も何か準備しておくよ」



女生徒から明日慰労会を開くお店の地図をもらい、その日はそれで帰宅した

明日は何を持っていくか・・・この前倒したミノタウロスの肉料理と甘いものにすればいいか。シエルも連れてきて皆で楽しむとしよう

そして翌晩。この日は休みだったので日中に家でフィオナと共に持っていく料理の準備を済ませてから王都へと向かった

そこのお店はどうやら宴会場があるらしく、扉を開けると既に皆始めていて盛り上がっていた

私達が来たのを確認すると皆が寄ってきて歓迎してくれた

簡単な挨拶を済ませると皆の視線は自然とシエルの方へ。給仕服はやはり男性受けがいいのか、始めは男性陣に囲まれて声をかけられまくっていた


私達が持ってきたお菓子とミノタウロスの肉料理はどちらも大好評

ミノタウロスの肉はフィオナが以前精肉店の人から話を聞いた調理法を試したら見違えるような柔らかい肉へと姿を変えて男性陣がこぞって食べていた

お菓子は孤児院の子達が作った一品。こちらは女性陣に大変人気で、シエルが淹れた紅茶ともマッチしていて女生徒からも支持を得てすっかり仲良くなっていた



「それにしてもよくこんな場所使えたね。結構な金額したんじゃない?私も出すよ?」


「いえ、ここの代金を払ってくれたのは実はギルドマスターなんですよ」



そう言って指を差す方にはリヴィアさんの姿があり、こちらに気がつくと陽気に手を振って近づいてきた



「やぁエレナ嬢。よく来たね」


「こんばんはリヴィアさん。リヴィアさんがここの代金を支払ってくれたんですね」


「英気を養うのは大事な事だからねぇ。普段頑張ってる子達へのご褒美だよ」


「それだけですか?」



この人がそれだけでお金をポンと出すなんて怪しすぎる。一体何を考えているんだ

私が問うとリヴィアさんは笑みを浮かべ、口を開いた



「バレてしまったかぁ。なに、君達がこの服を来て私にお酒を注いでくれるでいいよ」



リヴィアさんが足元に置いてあった袋から取り出したのは給仕服

しかもシエルが着ているものより短い丈のスカート。以前もこんなの着た気がするな・・・



「はぁ・・・今日だけですよ」


「おー!楽しみにしているよ♪」



今回は生徒達が世話になった訳だからこれくらいの言うことは聞いてやろう

私達は奥の部屋へ入ってリヴィアさんに渡された給仕服に着替えることに

着替え中、何故かどんどん騒がしくなっていた。私達が着替え終わるのを待っているようだ

着替えを終えて扉を開けると周囲からは奇声にも近い歓喜の声が部屋中に木霊した



「あぁ・・・尊い」



中には倒れる者まで現れる始末で収拾がつかなくなっていた

恥ずかしい・・・さっさと終わらせて着替えたい

リヴィアさんの元まで急ぎ、酒瓶を持ってお酒を注ぎ終えて待っているとリヴィアさんからダメ出しが入った



「エレナ嬢、お決まりの()()を忘れているぞ」


「アレって・・・なんですか」


「やれやれ、フィオナ嬢。見本を見せてあげてくれ」



理解していない私を見て今度はフィオナに振る。一体アレというのはなんなのか

フィオナはお酒を注いだグラスの前に行くと手でハートを作り出し、次の瞬間謎の言葉を発しだした



「おいしくな~れ♪もえもえきゅ〜ん♪」


「それそれ!それが見たかったんだ。可愛いよ〜フィオナ嬢」



私は開いた口が塞がらなかった

今のは魔法か何かの類なのか?あれをしてお酒になにか付与でもしたのだろうか。というかなんでフィオナは知っているんだ・・・

どちらにせよ分かっている事はただ1つ。私にあんなマネはできないということだ



「さぁ、今の要領でエレナ嬢も!さぁ!」


「絶!対!嫌です!」



先程の行為を私にも促してくるリヴィアさんに対して冷たい目つきで激しく拒絶した



「おぉ・・・そのゴミを見るような目。それはそれで凄くいいよ」



しかしそれでもリヴィアさんがブレる事はなかった

ここのギルドはもうダメかもしれない・・・・



読んでいただきありがとうございます!

「よかった」「続きが気になる」など思っていただけたら幸いです

少しでも気に入ってくれた方ブクマ、評価、感想等々頂けると大変励みになります!

次話投稿時間はTwitterの方で告知させて頂きます。よろしくお願いします!

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