表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

54/224

54話 ダンジョンでの訓練ーシャドーウルフー

お風呂で体を綺麗にしてサッパリした後は私とフィオナ、フレイヤの3組に生徒を振り分けて交代制で見張りを行い、休息をとった

生徒達は寝袋には入ると思いの外すぐ眠りについた。緊張していないように見えてもやはり普段より体に力が入っていたのかもしれない

始めに私の班が見張りを行い、その後フィオナと交代して最後にフレイヤの班に見張りを任せる形で私も仮眠をとった

そして時間はすぐにやってきて、フレイヤが私をお越しにテントへと駆け寄ってきた



「おはようございますご主人様、時間になりましたよ」


「ん・・・もう時間か。準備しなきゃ」



寝ぼけ眼を擦りながらも生徒達を待たせるわけにはいかないのでササッと準備をする

外に出ると既に皆テントをしまって出発の準備を完了していた。どうやら寝すぎてしまって私が最後のようだ

手早くテントをしまい、皆の元へ近寄ると視線がこちらに集まってきた

遅れた事に対して怒っている・・・というわけではなさそうだけど

何かあったのかと思い聞こうとしたら、先にフレイヤが口元を指して私に教えてきた



「ご主人様、(よだれ)の跡が」


「え?あっ・・・」



鏡で確認すると確かに涎の跡がしっかりと残っていた。急いで準備していたから顔まで気にしていなかった

だから皆の目線が集中していたのか。恥ずかしい・・・



「普段凛々しいお姉様の貴重なオフショットいただきました!」


「これだけでもここに来た甲斐があったわね!」


「エレナさん普段からよく涎垂らして寝てますよね」


「追い打ちかけないでくれるかなフィオナ・・・」



そんな緊張感のない感じで生徒達のダンジョン訓練2日目は始まった

この日も始めはゴブリンを相手にして体をほぐしていった。昨日散々戦って練度が上がって休息も取って体力を回復しているから格段に手際が良くなっている

もう不意を突かれることがない限り傷を負うような事はないだろう。これなら次のステップに進んでも問題なさそうだ



「今日はこのまま進んでいって少し下層に行ってみようか」


「下層に・・・ということは魔物も強くなるってことですよね」


「そう、魔物の種類も増えるから皆気を引き締めてね」



ゴブリンを相手にしつつリヴィアさんからもらったダンジョンの地図を見ながら下層を目指す

小一時間程進んだところで下層に続く道を見つけた。生徒達の状態をしっかり確認した後に下へと向かう

下層に到着して警戒しながら進んでいく。しかし暫く歩いてもなかなか生徒達の前に魔物は現れなかった



「なんだ全然出てこねぇぞ」


「でもなんだか見られているような気はするんだけどなぁ・・・気のせいかな?」



先頭にいる生徒はなんとなく気配を感じているようだ

彼の勘は合っている。この下層に来て少し進んだ辺りから私達は既に魔物の標的にされている

果たしてそれに気づくことができるか



「・・・・!皆後ろだ!」



先頭の彼が気配を察知して声をあげて後ろを振り向くと生徒達の影が揺らめき出し、その影の中に潜んでいた魔物が現れて生徒達を襲撃した

声のお陰でギリギリのところで反応し、軽い傷を受けた者もいたがなんとか奇襲を回避することができた



「あの狼みたいなのは・・・」


「あの魔物はシャドーウルフ。影の中を利用して移動してくるから集中してないと不意打ちをくらうよ。気をつけて」



シャドーウルフの数は10匹。今まで相手してきたゴブリンの群れより少数だが、先程まで戦っていたゴブリンとは比べ物にならない

単純な力ならホブゴブリンの方が上だが、その影の中を自由に移動する能力に加え素早さと鋭い牙をかけ合わせた攻撃が厄介で新人冒険者を苦しませる相手だ

奇襲に失敗したシャドーウルフは再び影の中へと消えて攻撃態勢に入った

それに対して前衛の生徒達は後衛にいた魔道士の生徒達を囲むようにし、各自敵がどこから来てもいいよう全神経を張り巡らせて防御の構えに入る

シャドーウルフは少しでも隙ができた箇所に攻撃を仕掛けてはすぐさま影の中へと逃げていく。身体強化魔法と盾部隊のお陰で致命傷は避けられているが徐々に前衛の傷が増えていく



「くそっ!すばしっこくて捉えきれねぇ!」


「どうにか動きを止める方法は・・・」



流石にこのままだと危なさそうだな

確か後衛の中に光魔法と拘束魔法を使える生徒が3人程いたはず。助言程度はしてあげよう



「シャドーウルフは光に弱いから1人は奴らが影に潜り込んだ瞬間に閃光(フラッシュ)の魔法を使って。そしたら影の中から出てくるから他の2人はその一瞬を狙って拘束魔法を使って」


「わ、分かりました・・・!皆さん次相手が潜ったら目を瞑って下さい!」


「了解!」



攻撃をなんとか受け止めながら返事をする前衛部隊。そしてシャドーウルフが影に潜り込むとほぼ同時に1人が光魔法を発動した

光魔法で辺り一帯を真昼間のように明るく照らす

それをくらったシャドーウルフは怯んで隠れていた影の中から姿を現した



「ぎゃー!目がー!」



目を瞑れという指示を聞かなかったフレイヤは閃光をもろに見てしまったようで、目を押さえてのたうち回っていた

横にいる竜は放っておき、残りの2人は拘束魔法でシャドーウルフの脚を絡め取って動きを封じた



「10秒位しか持たないから急いで倒してくれ!」


「ナイス!行くぞ前衛!」


「僕達も魔法で援護するよ!」



拘束魔法で影の中へ逃げ込めず自由が利かなくなったシャドーウルフは最早ただの狼

前衛と後衛の連携で次々と倒していき、最後の1匹を仕留めてなんとか下層での初勝利を収めることができた

前衛で守っていた生徒達は出血量は少ないが傷だらけだ。フィオナと共に再び皆の回復へと回った

下層にはシャドーウルフ以外にコボルト、サーペント、レッサータラテクトがいるらしい

ただ突っ込んでくるようなゴブリン達とは違って変則的な相手の割合が多い。いきなり連戦はさせず休息を挟みながら進んでいこう


読んでいただきありがとうございます

「よかった」「続きが気になる」など思っていただけたら幸いです

少しでも気に入ってくれた方ブクマ、評価、感想等々頂けると大変励みになります!

これから毎日更新に変更し、投稿時間はTwitterの方で告知させて頂きます。よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ