53話 ダンジョンでの訓練ーゴブリンー
「いやぁ楽勝だったなぁ!」
生徒達の初実戦となったゴブリンとの戦闘。結果は無傷での勝利
後衛にいる魔道クラスの子達が支援攻撃、更に武器を強化する付与の魔法をかけて前衛のサポートをしてくれたお陰で余裕を持って戦うことが出来ていた
弓使いの子達が先制攻撃でゴブリンの頭数を減らしそこへ前衛部隊が間髪入れず突撃
初歩的だがそれでも初の魔物との戦闘で思い描いた通りにいったことは自信に繋がるだろう
「支援サンキューな。戦いやすかったぜ」
「それはよかった。次は僕達が主攻で戦ってみてもいいかい」
魔道クラスの子達と数回しか合同訓練できなかったけどしっかり連携もできていたしコミュニケーションを取れている
今後この中でパーティを組んで活動する子達もいるだろうしこうして実戦を介してお互いの能力を把握しておけるのはいいことだ
その後も何度かゴブリンの群れが襲ってきたが傷を追うことなく順調にダンジョンを進んでいった
皆ゴブリンとの戦闘は軽くこなすようになってダンジョンの雰囲気にも慣れてきたようだからそろそろ他の魔物も出てきてほしいところだが・・・っと思ってたらちょうどいいのが来てくれたようだ
「あのデカさ・・・ホブゴブリンか」
今までのゴブリンより大きい図体をしたゴブリンの亜種ホブゴブリン。しかもそれが同時に3体現れた
ゴブリンより知能と俊敏性は劣るが、その代わり膂力と頑丈さは比べ物にならない
周りにはゴブリンの群れを連れていて今まで一番数が多い。果たしてどう切り抜けるか
「後衛と弓隊!それと軽武器の奴らは先に周りにいるゴブリンをやってくれ!盾持ちはホブゴブリンの足止めを頼む!俺が仕留める!」
「分かった!頼んだぞ!」
タクトの指示を皮切りに戦闘が始まった。後衛の魔法と弓隊による遠距離攻撃、軽装備の子達との連携で数の多いゴブリンをホブと上手く切り離し、ホブと戦う仲間達の方へ行かせないよう防ぎながらの戦いを繰り広げた
ホブの相手をしている生徒達はというと、ホブ1体に対して盾持ち2人で足止めを行っていた
その中で一番ガタイのいい生徒が大盾でホブの一撃を受け止めて動きを止めた
そこへ後ろで隙を窺っていたタクトがホブの腕目掛けて剣を振り下ろす
しかしその攻撃は切り落とすまでにはいかず、浅い傷をつけただけで致命傷に至らなかった
「硬ってぇ!付与もしてもらってるのに剣が通らねぇ」
一度距離置いて再度大盾と連携して攻撃を試みるも、ホブの頑丈な肉体には攻撃がどうしても通らなかった
そこでタクトは周りにあった岩に目をつけ、作戦変更を大盾の仲間に耳打ちで伝えて動き出した
ホブを挑発して岩の方へとおびき寄せる。知能が劣るホブはそれに釣られて岩場まで追いかけ待ち構えている大盾に攻撃を放った
目論見通り攻撃を打ち込んできたホブの攻撃を受け止め、その隙に岩に登っていたタクトはホブの頭上目掛けて飛んだ
「これなら・・・どうだっ!」
先程のような切り払いではなく一点に力が集約された突きの攻撃でホブの脳天を貫いた
ホブの頑丈さに苦戦しつつもようやく1体倒すことができたタクトは腕を掲げる
「よっしゃ!倒したぜ・・・!」
「おーい!早く来てくれ!そろそろこっち限界きそうだ!」
「おっと悪ぃ!今行く!」
他の2体を足止めしている仲間の元へ大盾の子と共に急いで向かう。この調子なら手助けは必要なさそうだな
その後、残り2体となったホブゴブリンは先にゴブリンを殲滅した仲間が加わったことで滞りなく倒すことができた
負傷した者もいたが軽傷のみ。私とフィオナで回復の魔法で治して回ってあげた
結局初日はその戦闘が一番の山場で、それ以降はまたゴブリンゴブリンでたまにホブが出る程度
ホブとの戦闘も一度戦ったことで要領を得たようで、数を重ねる毎にに手早く倒せるようになっていった
この階層で一番強いのはホブゴブリンだったようでそれ以上の魔物が現れることもなかった
そしてダンジョンに入ってから数時間が経過し、初日ということもあったので早めに切り上げることにしてセーフティエリアへ向かうことにした
ダンジョンには一部魔物が寄りつかない場所が所々にあり、私達の間ではそこをセーフティエリアと呼んでいる
セーフティエリアに到着したらテントの設営を生徒に任せて私は女性陣からの熱い要望があったので今回だけ特別にお風呂を作ってあげることにした
以前シスカの護衛を務めた際に作った要領でお風呂を用意し、岩壁を魔法で作り仕切りにして入浴の準備が完了。男性陣には万が一の為に見張りを任せて先に湯に浸からせてもらうことに
「フィオナさん本当に大きいですねぇ・・・触ってもいいですか?」
「いいですけど皆触りたがるんですねぇ。大きくても特に役に立たないんですが」
「フレイヤちゃん体洗ってあげるー♪さっきのあれ凄かったねー♪」
「あれ位造作もない。私は赤竜族なんだからな!」
和気藹々と2人と交流を図る女生徒達。それとは対照的に壁の向こうで悶々としているだろう男性陣がいる壁の方を見る
きっと今頃お風呂で出す汗とはまた違う汗が出ていることだろう
「あぁ、この先に夢が広がっているというのに・・・」
「これじゃあ覗くに覗けないね・・・」
「アウォン!」
元男だから君達が何を考えているかなんて手に取るように分かるぞ
私は事前にケルベロスを召喚しておいて2つの意味で見張りを任せておいた
これなら間違っても覗くようなマネをする者は現れないだろう。男性諸君の気持ちを踏み躙って申し訳ないがこれで気兼ねなく浸かることができる
「こんな化け物まで出せるなんて俺らの先生はどうなってんだよ・・・」
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