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51話 模擬試合

「準備は出来た?」


「あぁ、いつでもいいぜ」



参加する者達はそれぞれ準備を済ませて試合開始を待ち構えていた

相手側は女性陣0人の男性陣全員参加。私が「なんでもする」なんて言ったせいか違う目的の参加者を増やしてしまったようだ

まぁ何人いたところで問題はない。サクッと終わらせて早く授業に戻ろう



「じゃあルールの説明をするよ。制限時間は10分、全員でかかってきていいから私に一撃でも入れることが出来たらそっちの勝ち。全員戦闘不能になるか降参ってなったらその時点で終了ね」


「は?たった一撃?というかサシで勝負するんじゃないのか?」


「1対1じゃ勝負にすらならないと思うし時間が勿体ないからそっちは全員で問題ないよ。手段も問わないし魔法でも剣でも使えるものはなんでも使っていいよ」



その言葉を聞いて舐められていると思ったタクトはあからさまに怒りの表情を露わにしていた

生徒側はタクトを中心に円陣を組んで作戦会議を始める

さぁ一体どんな作戦で向かってくるのか。この試合でどの程度やれるのかしっかり見ておかなければ

作戦会議を終えると全員が配置について構えに入ったので、私は剣をその場に置いて無手の状態で開始位置に立った



「おい、今度は何の冗談だよ」


「私は剣も魔法も使わないよ。多少の怪我は許してほしいけど間違っても大怪我させるわけにはいかないからさ」


「舐めやがって・・・絶対後悔させてやる」



開始の合図を任せていた女性生徒の1人が手を振り下ろしていよいよ試合が始まった

私は一先ずどんな戦い方をしてくるのか観察したかったので最初は様子を見ることにした



「お前ら、作戦通り行くぞ!」



タクトの合図で魔法を使える数人の生徒が同時に風の魔法を使い、私を覆うように砂塵を巻き上げた

攻撃、というより目眩しのつもりだろうか。ここから何を仕掛けてくるのかと窺っていると、色んな方向から砂塵の中を通って火の玉がこちらに向かって飛んできた

それを全て躱すと砂塵が消え、消えた瞬間を見計らって4人が四方を囲んで攻撃を仕掛けてきた

思っていたよりしっかりと連携をとっているな。初めてにしてはまぁまぁといったところか



「くらえ!」



振り上げた剣を私目掛けて振り下ろしてくる。しかしそれは虚しくも空を切った

4人の包囲から一瞬で抜け、隙だらけな首元に手刀を使って気絶させた。これで残り14人

私の動きを追えなかった生徒等は4人に何が起こったのか理解できないようで固まっていた



「なんだ今の・・・何かしたんだろうけど全く見えなかった」


「うっ、狼狽えるな!こっちは一撃入れるだけで勝ちなんだから数で押すぞ!」



タクトの指示で残りのメンバーは気を取り直して剣を構え一斉に向かってくる

次はどんな戦法で来るのかと思っていたら先程までの戦術と違っていきなりのゴリ押し戦法。もしかして作戦はあれ1つだけだったのか?

座学でそういうのも教えるとか聞いてたけどまだそういう段階じゃないか。まぁそれもこれから学んでいけばいいだろう

向かってくる生徒を1人また1人と気絶させていき、残り半数まで減らした

剣術の方もやはりまだまだ未熟。素振り程度はしているみたいだけど実戦経験が圧倒的に足りていないのか相手に向かって振るうのは慣れていないようだ



「くそっ!こっちは20人近くいたんだぞ!なんで一発も当たらないんだ!」


「ただ向かってくるだけじゃ何人いたって同じだよ」


「うるせぇ!」



ムキになったタクトが身体強化の魔法を使ってこちらに向かってくる

他の者に指示を送っているだけあって男性陣の中では一番センスはありそうだ

まぁそれでもこの面子の中で毛が生えた程度のもの。身体強化に頼りきりで力任せで攻撃してくるが、大振りで隙が多くどこを攻撃してくるのか丸分かりなので目を瞑っていても躱すことができる


身体強化が切れると疲労で大量の汗をかき始め、足をガタつかせている。どうやら今のが切り札だったようだ

疲労が出ているのは身体強化のかけ方が中途半端で反動が起きているせい。もうあの状態ではまともに動く事は出来ないだろう

最後は他の生徒と同様に気絶させてリーダー格のタクトを戦闘不能にさせた



「く・・・そっ・・・」



指揮役を担っていたタクトがやられると残りの者はこれ以上戦っても勝ち目はないと判断して降参してきた

結局私と男性陣の試合は制限時間の10分もかからず完勝で終わらすことができ、講師としての面目を保つことができた

試合の様子を見守っていた女生徒側から再び黄色い声があがる



「じゃあ気絶してる人達は木陰で休ませておいて他の人達は軽く授業を始めようか。皆剣持って」


「「はい!」」



その後は皆に剣の構えから足の位置など事細かに指導を行っていった

タクトも目を覚ますと急いで授業に加わった。何も言ってこなかったが、何も言われないということは少なくとも私が講師を務めるのを認めたのだろう

初っ端から一悶着はあったものの、それ以降は滞りなく進んでいき初日を無事切り抜くことができた






「どうでしたかエレナさん、初日の授業は」


「まぁなんとかなったよ。最初揉めたけどそれ以降は皆真面目に言う事聞いてくれたし。まぁ1人面倒臭そうなのはいるけど問題はないかな。今後2人にも手伝ってもらうことがあるかもしれないけど頼んでもいいかな」


「面白そうですね。その時はお手伝いしますよ!」


「嫌という程扱いてやります!」





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― 新着の感想 ―
[気になる点]  なんか読んでると、オートマター(自動機械メイド)>エイク勇者の時代>エレナ時代で、昔の時代ほど戦闘技術や知識が進んでいることが気になる。普通は、時代が進むほど発達するんだが・・・。 …
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