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50話 講師になります

リヴィアさんから頼まれた仕事、それは新人冒険者を育成する為の講師をやってくれないかという話だった

先日行われた剣舞祭以降、実際の試合を目の当たりにした人達が冒険者に興味を持ち、試験を受ける者が増えてきているようだ

特に決勝で戦った私とユリウスさん、どちらも女性ということもあってか女性志願者の割合が増したと言っていた

けど現実はそう甘くはなく、初期装備などに費用がかさんだり魔物との戦闘が上手くいかなかったりと、理想と現実のギャップを感じた新人冒険者が辞めていってしまうという問題が次々起こっているそうだ


そこで私にお鉢が回ってきたということだ。ギルドはこの機会に新人冒険者を教育する施設を設けることにし、そこで自分の武器の適正や剣術、戦法、魔物の生態などの基礎知識を身につけてもらおうと考えた

私には剣術指導の方を担当してもらいたいそうだ。剣の腕を認められたのは勿論、きっかけとなった者から直接教わるということはモチベーションにも繋がるだろうということで私が採用されたということらしい



「毎日でなくていいんだ。週に2、3回程剣を教えて軽く相手してもらうだけで刺激になると思うんだ」


「うーん、そうですねぇ」


「引越しの費用などはこちらで全て負担する。給金もここで十分やっていける額を出すつもりだよ」



そう言ってリヴィアさんが先程机で見ていた書類をこちらに持ってきて私に見せてくる

書類には私に支払われる一月あたりの額が記載されていた。その額は私が今の冒険者階級で一ヶ月毎日必死に依頼をこなしてようやく辿り着く程の額だった



「これ額間違ってませんか・・・?」


「いや、君の能力を正当に評価しての金額だよ。本当はもっと上げたかったんだけど話し合った結果この額からスタートということにして、成果に応じてその都度額をあげることにしたんだ」



これよりまだ上がる余地があるのか・・・非常に魅力的な話だ

お金には困っていないがあって困るものでもないしなにより週たった数回で済むのなら受けない手はない

私は書類に一通り目を通して不備がないかを確認した後、講師の話を引き受けることにした



「助かるよ。ユリウス嬢は立場上引き受けてもらうことが出来ないから君に断られたらどうしようかと思っていたんだ。それじゃあ早速引っ越しの手続きも進めちゃおうか。そっちの希望もできるだけ通るように取り計らうよ。あっ、でも一等地とかは勘弁してくれよ?こちらのお財布事情も考慮してくれると有り難いな」


「あのぉ・・・盛り上がってるところ申し訳ないんですけど、講師の件は引き受けましたが王都に引っ越すつもりはありませんよ?」


「えっ・・・?でも君達がいるレジティアからここに通うなんて物理的に難しいだろう?」


「あぁ〜・・・私、転移の魔法が使えるんですよ。だからレジティアからでも問題なく通うことができます。今日も転移してここまで来たんです」



説明をしながら実際に転移の魔法を使ってみせた

リヴィアさんも実際に使われているところを見るのは初めてなようで始めは興味津々な様子で見ていたが、引っ越す必要がないと理解すると物凄く落ち込みだした



「そうか、引っ越す必要はないのか・・・あわよくば私の隣に引っ越させてウハウハハーレムを築こうと思っていたのに・・・実に残念だ」



そんな事を考えていたなんて・・・だからあんなに積極的に引っ越しの話を勧めてきたのか。最早職権乱用だろうそれは

その後は書類などに簡単なサインだけを済ませて帰宅することとなった。施設は既に完成していて3日後には授業が始まるらしく、初日は施設の案内、それから座学を進めてから剣術の訓練となるようなので私の初勤務は1週間後ということになった





そして1週間があっという間に過ぎ、初勤務の日がやってきた

施設に向かうと入口の前にはリヴィアさんが立っていた



「おはようエレナ嬢。初勤務頑張ってくれたまえ。楽しみにしているよ」


「まぁ今日は簡単な事しかやるつもりないですから」



軽い挨拶を交わすと私は剣術指導を行う広場がある場所はと向かった

そこには既に生徒達が待機していた。男女合わせて大体30名程で、6:4位の割合でリヴィアさんが言っていた通り女性の割合が多くなっていた

生徒達の元まで行くと女性側からは黄色い声がちらほら聞こえてきて男性側からはいつもの視線を感じた



「えー、これから皆さんの剣術の指導を担当するエレナと言います。よろしくお願いします」


「「よろしくお願いします!」」



うんうん、皆素直そうだな。これなら苦労せず指導に集中出来るな



「はんっ!なんで女に剣を習うなくちゃならないんだよ!」


「ちょっと!タクト!エレナさんに向かって失礼でしょ!」


「んな事知るか!俺はこの国で1番の冒険者になる為に村から出てきたんだ!こんな歳下の女に教わることなんて何もねぇよ!」



タクトという男が不満を口にすると、少なからず同じ事を思っていた数人の者達が同調して不満を口々にし始めた

言ってるそばから問題発生。まぁこれだけの人数がいるから当たり前といえば当たり前だよな

村出身ということは私の話は噂程度にしか聞いてなかったのかな。他の人も似たような感じに見える


んー困ったな。授業の内容は私に一任されてるんだよな

だから個人的に練習したいっていうなら別に止めはしないけど、講師という立場上それは単に指導放棄になっちゃうだろうし・・・



「あっ、じゃあこうしようか。現時点で私に対して少しでも不満を持ってる人、私と勝負しよう」


「勝負?」


「そっ、その勝負に勝ったら私はここから消える。なんなら君達の言う事をなんでも聞いてあげるよ」


「「な、なんでも!?」」



なんでも、という言葉に反応して男性側が色めき立つ

それを見た女性陣は白い目を男性陣に向けていた



「いいぜ、その勝負乗った!」


「決まりだね。じゃあ準備が出来たら位置について」



そんなこんなで勤務初日は私対生徒で試合を行うという形で始まってしまった

初日で舐められないようしっかり教えてあげないといけないようだ



読んでいただきありがとうございます

「よかった」「続きが気になる」など思っていただけたら幸いです

少しでも気に入ってくれた方ブクマ、評価、感想等々頂けると大変励みになります!

これから毎日更新に変更し、投稿時間はTwitterの方で告知させて頂きます。よろしくお願いします!

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