49話 王都のギルドマスター
地竜の一件から数日が経ち、あれ以降は特に問題は起きず平穏に過ごしていた
町に行くとケイティに何故か必ず私の居場所を特定され、後ろから付かず離れずの距離を保ってジーッと観察されるような行為が行われていいたが、危害を加えるような事はしてこなかったので放っておくことにした
そして今日、私達はカステルの村を発ちレジティアへと戻る。母に薬を預けて両親と別れの挨拶を交わした
「じゃあね。またいつでも遊びに来てくれていいからね」
「皆も是非また来てくれ」
「うん、また皆で来るよ。2人も元気でね」
「「「お世話なりました」」」
帰りの道中、村の人達にも別れを告げてから私達はレジティアの家へと転移した
家に到着すると、見知った顔の人物が家の前に立っていた
「ギルドマスター?どうして私達の家に?」
「うわっ!エレナか驚かせるなよ・・・けどちょうど良かった。今手紙を持ってきたんだけど不在だったからな。帰ろうと思っていたところだったんだ。二度手間にならずに済んだぞ」
「誰宛ての手紙ですか?」
「王都のギルドマスターからだ」
王都のギルドマスターが私宛てに手紙?
内容は大体察しはつくが先日の件はあれで片付いたと思ったんだけどな。前行った時にギルドマスターはいなかったから何か聞きたかったことでもあったんだろうか
兎にも角にも手紙の内容を確認しなくてはと思い受け取った手紙の封を切り、内容を確認にはこう書かれていた
要約すると先日の地竜の件について直接謝罪をしたいそうで費用諸々こちらで持つから仲間を連れて王都のギルドに来て欲しいということと、私に頼み事があるということだった
前者はもう既に片付いたことだから別に謝罪の必要はないが、もう1つの頼み事というの一体なんだろう?
どちらにせよギルドマスター直々とあっては断るわけにもいかないので面倒だが行くしかない
「まぁなんだ、その・・・あっちのギルドマスターには気をつけろよ」
「?」
歯切れの悪い様子でギルドマスターが呟いた。気をつけろとは一体どういう意味だろうか?
手紙の感じからしてしっかりしてそうな雰囲気を感じたけどな
用件は早く済ませてしまった方がいいという事で帰宅早々すぐさまギルドへ向かうこととなり、休む暇もなく王都へと転移した
王都ギルドに到着すると先日対応してくれた受付のお姉さんがいたので、その人に声をかけて手紙を渡すと事前に知らされていたようでスムーズにギルドマスターの部屋へ連れていかれた
扉を開くとそこには1人の女性が積み重なった紙とにらめっこしていた。遅れてこちらに気がつくと作業を止めて笑みを浮かべて近寄ってきた
「やぁやぁ、君がエレナ嬢かい。私はここのギルドマスターのリヴィアだよよろしくね。エルフの子がフィオナ嬢で赤竜族のフレイヤ嬢、そしてシエル嬢だね」
「どうも初めまして」
王都のギルドマスターって女性の方だったのか。珍しいな
ギルドマスターはレジティアみたいに男性が任せられる事が多いのでてっきり男の人かと思っていた
「ほぉほぉ・・・いやぁ・・・」
リヴィアさんは顎に手を当てながら私達を1人ずつ見て回った。舐めるような視線で下から上まで隅々と
そしてフィオナの前に止まり、何をするのかと思ったら突然フィオナの胸を弄くりだした
「ひゃっ!?」
「うんうんいいねぇ♪これだけの大きさなのに形がよくハリもある。実にいいよ」
感触を確かめるように下から持ち上げるようにしたり揺らしてみたりとそれはもう念入りに触っていた
一通り確認し終えると今度はシエルへと狙いを定めた
フィオナの時と違って胸だけでなく全体を撫でるような手つきで触りだしたが、シエルは全く動じなかった
「シエル嬢は完璧なプロポーションだ。キュッと締まった体でありながら出るところはしっかりと出ている。まるで計算されたかのような黄金比。素晴らしいね」
「どうもありがとうございます」
「さて、そちらの2人は・・・いや、よしておこう。私もまだ死にたくはないのでね」
身の危険を感じて警戒したフレイヤと私の表情を見ると、リヴィアさんは残念といったような表情をして諦めて自分の席へと戻っていった
ギルドマスターが言っていたのはこういうことか・・・見た目は女性でもとんだセクハラ親父じゃないか!
「いやぁ噂に聞いていた以上の美女揃いで私は嬉しいよ。どうだい?今晩私の家にでも」
「遠慮しておきます」
「そうかい。それは残念だ・・・それじゃあそろそろ本題に入ろうか」
そう言うとリヴィアさんの表情は先程までのおちゃらけた様子とは一転して真面目な顔つきで自分の管理不足だったと頭を下げられ、そして町の人に被害を出さずに事を運んだことに感謝された
迷惑料等の話もされたがこちらは特に被害を受けたわけでもなかったのでその話は断らせてもらった
誠心誠意の対応に良い人認定しかけたが、最初の奇行を思い出してその考えは即座に捨てた。悪い人ではないだろうけどなぁ
ギルドマスターからの正式な謝罪をされたということで地竜の件はこれで解決ということにして、私は今回呼ばれたもう1つの用件をリヴィアさんに尋ねた
「それで私に頼み事というのは一体なんでしょうか」
「実はエレナ嬢には新人冒険者の講師を務めてもらいたいんだ」
「新人冒険者の・・・講師?」
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