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43話 帰省

王都で両親と別れてからもうすぐ一月が経とうとしていた

以前母に渡した薬がそろそろ尽きかける頃。前回いなかったシエルのことも両親に紹介したいので新しく作った薬を持ってカステルの村へと帰省することに



「皆支度は出来た?じゃあ行こっか」



転移門を発動させてカステルの村の前まで転移する

転移した瞬間、気持ちの良い風が私達を出迎えてくれた。風がよく吹く場所で木陰も多いので夏場はレジティアより涼しく過ごすことができる

冷風機のような風とはまた違った自然の心地よい涼しさが帰ってきたんだなと実感させられる



「ここがエレナさんの故郷ですか。自然が豊かですねぇ」


「風が気持ちいいです〜。それでご主人様のお家はどこにあるんですか?」


「私の家は村の一番先にあるんだ」



皆を家へ案内しようと村の中を進んでいく

村を出てまだほんの数ヶ月とはいえ久々の景色に懐かしさを覚えた

道を歩いていると幼い頃からよく家に来ていたおばさんが自宅で洗濯をしていたので挨拶を交わした


「こんにちはおばさん。お久しぶりです」


「おやエレナちゃんじゃないかい!久しぶりだねぇ。少し見ない間にまた綺麗になって」


「おばさんも相変わらず元気ですね」


「あっはっは!元気だけが取り柄だからね!おーい!エレナちゃんが帰ってきたよー!」



おばさんの大きな一声で家にいた者、庭で作業していた者達がわらわらと集まってきてあっという間に村の半数近い人達に囲まれてしまった

後ろにいる3人のことや聖剣の話、剣舞祭の話、王様に王女様の事等両親から聞かされていたであろう話を根掘り葉掘り聞かれる羽目になり、村に着いて早々大変な目にあった

ようやく大人達の質問攻めに解放されたかと思ったら今度は子供達が聖剣に興味津々な顔をしていたので見せてあげることに

そこで気が緩んでいたのか1人の少女が聖剣に触れてしまいしまった!と思ったが、聖剣は何も反応を示さない

前に他の人が触った時は電撃をお見舞いしてたのに・・・他の子達も触るが同じく反応がない。恐らくだが無垢な子供達は例外らしく抜くことは出来なくても触れることは許されるようだ

選り好みしてるっていうのか・・・まるで生きてるみたいだな


数十分程皆に囲まれた後ようやく家へ向かうことができ、村の一番端まで行くと畑仕事をしている両親の姿が見えてきた



「父さん母さんただいま。帰ってきたよ」


「エレナ!待っていたぞー!」



私の顔を見るや否な作業を止めて飛びついてくる父を軽く躱す

流石にその汗と汚れで抱きついてくるのは勘弁してもらいたい



「おかえりなさいエレナ。なにか騒がしいなと思ったらそういう事ね」


「どうもお久しぶりです~♪」


「遊びに来ました!」


「フィオナちゃんにフレイヤちゃんも来てくれてありがとう。何もないところだけどゆっくりしていって・・・あら?後ろにいる綺麗な子はどちら様?この前はいなかったわよね」



母がシエルの存在に気づき尋ねてきたのでシエルは前に出てきて自己紹介を始めた



「初めまして旦那様、奥様。私はシエルと申します。エレナ様達の元で給仕を務めさせて頂いています。こちらどうぞお近づきの印に」


「こ、これはご丁寧にどうも。それにしても旦那様ってなんだかこそばゆくて照れるな」


「しっかりした子ねぇ。よろしくねシエルちゃん」



いつの間に菓子折りなんて用意していたんだ・・・でも2人もシエルと仲良くなれそうで安心した

挨拶も終わり畑仕事もちょうど一段落ついたとのことだったので皆でシエルが持ってきたお菓子と一緒にお茶をすることにした



「母さん、この前あげた薬はどう?」


「この通り凄い効き目よ!動き回ってもフラついたりしないからとても助かってるわ」


「あの薬を飲み始めてから母さん元気が有り余ってる感じなんだよ」



良かった。完成した時に自分で試飲して悪影響が出ない事は分かっていたが、健常者では効果が発揮されないし身近に同じ症状の人がいなかったのでちゃんと効果が出るか心配だったが問題なく効いているようだ


冒険者の階級が上がった話やシエルと出会った時の事、北の大地まで行った事から日常の他愛のない話題まで様々な話をし、その時に私の子供の頃が話題に上がりもう記憶にない幼かった頃の私の話を父と母に赤裸々に明かされて恥ずかしい思いもした

おねしょの話までしなくていいだろうに・・・


夜になると村の皆が私の帰りとフィオナ、フレイヤ、シエル3人を歓迎する宴が開かれ、普段は出さないような豪華な料理とお酒がテーブルに所狭しと置かれ飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎ

私は日中いなかった大人達に再び囲まれ、子供達は初めて見るエルフに赤竜族に夢中で2人に遊んでもらっていた



「お姉さんきれー。お人形さんみたい」


「私は給仕型自動人形ですので、人形みたいではなく人形なのです」


「本当にお人形さんなの!?喋ってるすごーい!」


「洋服フリフリしてて可愛い〜」「暑くないの〜?」「きゅうじってなに〜?」


「これはエレナ様達に買って頂いたもので・・・えっと、その」



シエルはシエルで給仕服という格好もあってか私とは別に女の子達に人気で囲まれて質問攻めにあっていた

少し困った顔をするシエルを見るのは初めてであんな表情も出来るんだなと少し嬉しくなった


宴会は夜遅くまで続き、女性陣は子供達を寝かせるのに早めに家へと帰り、酔い潰れた男衆はそのまま外で眠ってしまったので私達も帰宅することにした

明日は皆で朝早くから町へと行くことになり、夜も遅くなっていたのでササッとシャワーだけ浴びてベッドに横になり早々に眠りについた



読んでいただきありがとうございます

「よかった」「続きが気になる」など思っていただけたら幸いです

少しでも気に入ってくれた方ブクマ、評価、感想等頂けると大変励みになります!

次回更新はTwitterの方で告知させて頂きます。よろしくお願いします!

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