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36話 新しい仲間ができました

最下層へとやってきた私達が見つけたのは台座の上で眠る女性

私達より先に来ていた・・・?

いや、ここに来るまでの間他の誰かが中に入ったような足跡は見当たらなかった

よく見ると女性の周りには埃が溜まっている。つまり始めからあそこで眠っているということか

目の前まで来て女性の顔を確認する。死んでいるのかとも思ったが顔色は私達と変わりないし痩せこけていたり白骨化した箇所も見当たらない

不思議に思ったフィオナが問いかけてきた



「なんなんでしょうかねこの方は?」


「もしかしたらだけどこれは自動人形(オートマトン)かもしれないね」


「自動人形ですか?」



自動人形とは私が前世で生まれるより少し昔、魔王討伐と兵士の被害を抑える為に研究者達の手によって開発が進められたという

しかし試作段階にあった自動人形が暴走し、施設が壊されことによって開発は中止されて全て壊されはず



「それでこの・・・人?がその自動人形だとしてどうやって動かすんでしょうかね」


「確か起動させるには魔力を送り込む必要があるみたい。あ、でももう大分昔のものだから起動させるのはやめた方が・・・」


「えっ?」



私が言い切る前にフレイヤが自動人形に魔力を送り込んでしまった

すぐにやめさせようとしたが時すでに遅し。魔力を受け取った自動人形が体内で金属が動いてるような音をさせ始め起動を始めた

仮にも魔王を倒そうと画策して作られたもの。もし暴走でもしたらこの遺跡が崩落する恐れがある

警戒心を強めながら動き出すのを待っていると、自動人形の目がゆっくりと開いた



「動作正常。機体番号001起動に成功しました」


「・・・よく分からないけど上手くいったみたいですね」


「突然襲ってくるかもしれないから気をつけて」



起動した自動人形が今のところ暴れる様子はない

正常に動いているみたいだが未知の存在ゆえどんな行動を起こしてくるか分からない為警戒は続けた方がいいだろう



「3名の魔力反応を感知。警戒態勢に入っているものの強い敵対反応はなし」



そう言うと自動人形はこちらを観察するようにジーッと見つめたまま微動だにしなくなった

このままでは埒が明かないのでこちらから質問を投げかけて見ることにした



「えっと~貴女の事を詳しく教えてくれる?」


「私は機体番号001。身の回りをお世話する為に作られた給仕型自動人形です。お掃除、お料理、その他雑務等も承ります」


「給仕型自動人形?戦闘用に作られたわけじゃないってこと?」


「私の体には戦闘に使えるような武器等は装備されていません。敵を殲滅するとなると自爆する手段しかありません」



最後に物騒な言葉が聞こえてきたな・・・にしても給仕型自動人形なんて初めて聞いたな

昔聞いていた話とも違っていて大分落ち着いているようだし、戦闘用に作られてないから暴走する危険性は少ないのか?



「それで貴女はこれからどうするの?」


「私は身のお世話をする為に作られた自動人形です。私を必要とする方が現れるまでここで待機します」



うーん・・・起動させてしまった手前ここに放置しておくのも忍びない

それに自動人形とはいえ変な事に利用する輩が現れても可笑しくない程、見た目はかなり可愛い作られている

勿論いい人に拾われる可能性も十分あるが、そうでなかった時に後悔しない為私は彼女に提案した



「じゃあ私達と一緒に行かない?」


「・・・よろしいのですか?」


「起こしちゃったのは私達だからね。勿論貴女が良ければだけど」



そう告げると今まで表情を崩さなかった彼女の口元が一瞬、ほんの僅かに綻んだように見えた

そして一拍おいた後、彼女は口を開いた



「この体、この命が尽きるまで誠心誠意お仕えさせて頂きます」


「そんな仰々しくならなくてもいいよ。私はエレナ、よろしくね」


「フィオナです。よろしくお願いします♪」


「フレイヤだ!よろしくな!」


「よろしくお願い致します。エレナ様、フィオナ様、フレイヤ様」



こうして自動人形の彼女が加わり、遺跡の方も探索し尽くしてやることも済ませたので外へと転移し、フレイヤに乗って街へと戻った

そしてギルドへと向かう道のりの間、皆で彼女の名前を決めることとなった



「どんな名前がいいかですかねぇ」


「私は機体番号001で問題ないのですが」


「これから一緒に暮らすんだからそうもいかないよ。呼びづらいしさ」



3人で彼女に会うような名前を挙げていくが中々決まらない

なにかもっといい名前はないかと考えている時にふと彼女の髪の毛が目に入った

青い空のような綺麗な色・・・そんな髪を見てふと頭に思い浮かんだ名前を口ずさんだ



「シエルなんてどうかな?」


「シエル・・・」



私が挙げた名前を彼女は何度か反芻(はんすう)した後、私の顔を見てこう言った



「いい・・・かもしれません」


「今までにない反応!決まりだな!」


「シエルちゃんですか。いいですね♪」



本人も気に入ってくれたようで良かった

無事名前も決まったタイミングで私達はギルドに到着し、ギルドマスターに今回調査した遺跡の詳細が書かれた地図を渡した後シエルの説明もすることに

自動人形というものの存在自体が知られていない為、理解してもらうまでに時間がかかったがなんとか納得してもらうことができた


これからは4人暮らしとなる。自動人形に必要なものが何かは分からないが一先ず最低限のものはいるだろうという話になり、そのまま皆でシエルが使う衣類などの日用品を買いに行くこととなった




読んでいただきありがとうございます

「よかった」「続きが気になる」など思っていただけたら幸いです

少しでも気に入ってくれた方ブクマ、評価して頂けると大変励みになります!

次回更新はTwitterの方で告知させて頂きます。よろしくお願いします!

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