32話 帰宅
「ん、んんぅ・・・もう朝か」
あれからお酒が入ったことによって更に盛り上がり、両親が一足先に帰った後も日付けが変わるまで呑んだ
まだお酒が呑めない歳のセフィリアがお酌をしてくれ、それに対抗してフレイヤも私がグラスに入っているお酒を呑み干すとすぐさま注いでくる
そのせいか抑えていたペースが自然と早くなっていき、気づけばかなりの量を1人で呑んでいた
その後は宿へと戻って部屋に着いたらすぐ寝てしまった
以前の失敗を活かして今回は体の中のアルコールを薄める魔法を自身にかけていたので完全に酔うこともなく記憶が残っているので安心だ
完全に無効化することも可能だがそれでは酔う感覚を味わうことが出来ないからな
軽く二日酔いだがこの感じも久々で少し心地よい
「水水。よいしょっ・・・ん?」
ベッドの横に置いてある水をベッドを這いずって取ろうとすると柔らかい感触を手に感じた
そしてそこにはフィオナが気持ちよさそうに寝ている
少し硬いが弾力があるこの感じ・・・位置的にもこれはもしかしてフィオナのおっ・・・
「ご主人様~くすぐったいです~」
声がした方を見るとフィオナとは逆の方に頭を向けて寝ていたフレイヤがくすぐったそうな顔をしてこちらを見ていた
シーツを捲ると私が触っていたのはフレイヤの尻尾だった
寝相悪すぎるだろ・・・
フィオナを起こし朝はテラスで食事をし、それから王都を出る準備を始めた
今日は両親も村へと帰る日だ。見送りをする為に遅れるわけにはいかない
お世話になった宿を出て両親が使っている宿へと向かう
宿の前まで行くと既に2人が乗る馬車が待機させられていた
「おはよう父さん母さん」
「おはようエレナ、それにフィオナちゃんにフレイヤちゃんも。皆で見送りに来てくれたのね」
「うん、それとね。ハイこれ」
「あら、なに?」
母に渡したのは体が弱い人向きに作った丸薬
体調が優れない時にこれを1粒飲むとたちまち元気が湧いてくる即効薬だ
レジティアの街に来てから時間が空いた時に少しずつ材料を調べて作り上げたもので、丸薬の知識がなかったものだから魔法で作ることが出来ず1粒作り上げるまでに中々苦戦した
完成したあとは複製するだけだったが・・・
完全に治す秘薬もあるらしいが、それを求めると海を超えていかなくてはならない
フレイヤに乗って行けばあっという間だが、いつ見つかるかも分からない物を探す為にせっかく建てた家を長期間空けるのは私としては避けたいところなので今はこれが限界だ
「体調が優れない時はこれを飲めば良くなるから持っていって。でも強力な薬だから1日1粒にしてね。一月分あるから無くなった頃にそっちに帰るよ」
「まぁありがとう。大切に飲ませてもらうわね」
「あ、あと荷物は馬車に積まなくて大丈夫だよ」
「?」
私達は両親の荷物を肩代わりし、王都を出て少し歩いた人気のない場所へとやってきた
誰もいないことを確認し、私は転移門をカステルの村へと繋げた
目の前に見たことも無いものが現れたことにした2人は口を開けて呆然としていた。まぁ当然といえば当然か
「え?なんだこれは・・・私達の村が見えているが」
「そこを通れば村にすぐ着くから。帰りも長旅じゃ疲れちゃうでしょ?」
「大丈夫なのよね?なんか体がおかしくなったりしないわよね?」
2人は初めて見る転移門へ恐る恐る手を入れてから顔を入れる
すると今度は興奮気味になってこちらへ戻ってきた
「凄いわね!くぐっただけで本当にすぐ村に着いちゃうなんて便利な魔法ねぇ」
「これなら馬車で腰を痛めるようなこともないな!」
「わ、分かったから・・・転移門は維持しとくの結構大変なんだよ」
両親をなんとか宥め、抱えていた荷物を父に渡して最後に別れの挨拶をした
「それじゃあエレナ。体に気をつけてな」
「2人もね」
「フィオナちゃんにフレイヤちゃんも。エレナの事これからもよろしくね」
「任せて下さい!教わった料理をエレナさんにたくさん食べさせますね!」
「ご主人様のことは命にかえてもお守りするのでご安心下さい!」
2人が両親にそう言うと両親は手を振りながらカステルの村へと帰って行った
数日だけだったが2人の元気な姿を見ることができて良かった
次会う時のは一月後か。それまでに薬もしっかり作っておかなくちゃな
両親を見送った後、私達もレジティアの街へと帰還した
今回は前回の時ほど日数が経っていないから大して汚れていないな
「帰ってきましたねー」
「ご主人様、その剣はどうするんですか?」
「せっかく貰った剣だし保管庫に置いておくのもなぁ、とりあえずどこかに飾ろうか」
「なら1番目立つところに飾りましょう!」
フレイヤの提案でリビングで1番目を引く場所に剣は飾られることになった
見た目も良く作られている剣だから飾るだけで家の雰囲気がガラッと変わるな
「それにしてもお部屋かなり暑いですね。もう季節はすっかり夏ですね」
「だねぇ。近くに涼めるような場所ないかなぁ」
「あっ!でしたら以前仕事で山の方に行った時に綺麗な川を見つけたのでそこに行きませんか?その時はまだ川の水が冷たかったですが今なら丁度いいと思いますよ!」
川か・・・いいかもな。流れる川で楽しく遊んでお昼はその川で釣った魚を食べる
「いいね。でももう1日位はゆっくりしたいから明後日にしようか」
「分かりました!ふふっ、楽しみですねぇ。水着はどんなのにしましょうか♪」
「そうだねぇ、水着どうし・・・」
そうだ!水着を買わなくちゃいけないのか!
ある程度女の子の服には慣れたつもりだったが水着は難易度が高いぞ。どうしよう・・・
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