表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

30/224

30話 決着

序盤とは異なる構えから突然姿を消したユリウスさん

僅かだが気配は感じる。右、左・・・さっきまでの動きも十分速かったがあの構えになってから比較にならないスピードだ

どこから攻撃がきても対応できるよう全神経を集中させていると、突如下から現れたユリウスさんのとてつもない突きが襲ってきた



「あぶなっ・・・!」



顎を掠めたがギリギリのところでなんとか躱す

攻撃を躱されるとユリウスさんは再び姿を消した。魔法を使っているわけでもないのに一体どうやって姿を消しているんだろうか

興味はあるが今はあれをどう攻略するか考えなくては


先程と同じように攻撃が来るのを待っていると今度は背後から胴を狙う攻撃を放ってきた

反応が遅れ避けきることができず左の肩に攻撃が当たる

直撃は免れたがかなり痛い。さっきまでとは威力も違うようだ

あの攻撃を一発でもまともにくらったらひとたまりもないな



「一度倒されたユリウス選手ですが、そこからスイッチが入ったのか今度はユリウス選手が押している・・・ような気がします!速すぎて殆ど実況することが出来ません!」



さて、どうしたものか。相打ち覚悟でいけば攻撃は当たるかもしれないけど一撃の威力が勝る相手にそれは無謀

相手がどこにいるかも正確に把握できない上に避けることもままらないこの状況はかなり劣勢だ

なにかいい手はないものか・・・そういえば昔聖騎士長がこういう相手に対してなんか言っていたような気がする

前世ではそういう敵に出くわさなかったからなぁ・・・なんだったっけ?


そうこうしているうちユリウスさんの攻撃が次々と襲ってきて徐々に傷を負わされていく

このままでは先にこちらがやられてしまう

あっ、思い出した。確かこういう相手の時の対処法は・・・



「他の事を考えてるなんて余裕ですね」



一瞬の隙を狙われユリウスさんの攻撃を右肩にモロにくらった

場外ギリギリまで飛ばされるが何とか踏み止まる

場外は免れたが・・・まずいな。今の攻撃で完全に骨が逝った

対処法を思い出したが利き手が使えなくなってしまった。左手のみで聖剣を振るうのは正直きついし今のユリウスさんの相手をするにはこの剣では対応しきれない

もう十分観客にも見せたしここからは周りの事を気にせず父が作ったこの剣で戦わせてもらおう



「おっと?エレナ選手。今まで使っていた聖剣を鞘に収めもう一方の剣を取り出したぞ?これは何かの作戦かー?」



やっぱりこっちの方がしっくりくる。これなら片手だけでも対応することができるだろう

再度消えたユリウスさんに対し私は剣を構え目を閉じた

姿が見えない者と戦闘する際、視覚に頼らず心の目・・・心眼で相手を見ると教えられた

余計な情報を消していきひたすらに集中していく



「おわっ!」



心眼を使う前にユリウスさんの突きが飛んでくる

当然こちらの準備が出来るまで待ってくれるわけないよな

けど今一瞬だけどユリウスさんがどこからくるのかが分かった

もっと集中が必要だ。集中集中・・・・・・見えた!ここだ!



「なっ!?」



正面からやってきた突きを逸らすように弾いた

攻撃してきたユリウスさんのレイピアを弾くとこの試合で一番の驚いた顔を見せてくれた

恐らくこれはユリウスさんの必殺の技だったんだろう

ぶっつけ本番だったが成功してくれて良かった・・・

来る場所が分かればどれだけ速かろうが対処することができる


奥の手を止められた事で焦りが出てきのか、ユリウスさんの攻撃のパターンが少しずつ単調になっていく

これなら利き手でない方でも止めることが出来る

形勢逆転した私は少しずつユリウスさんを追い詰めていき、隙が出来たところをねらって喉元に剣を突き立てた



「まだやりますか?」



「・・・ふっ。全力を出して負けたのなんて初めてです。参りました。私の負けです」



ユリウスさんは軽く笑うと降参して剣を収めた

この時点で私の優勝が決まった



「勝者!エレナ選手!」


「決まりましたー!激闘を制して優勝したのはエレナ選手だー!」



審判と実況の声に会場は大盛り上がり

聖剣を途中で使うのをやめたから何か言われるかなと思ったが、それ以上の試合を見せたお陰かその心配は杞憂に終わった



「いたたた・・・早く治さないと」



やられた右肩もだが体中が痛い・・・ユリウスさんの剣が切先のある剣だったらえらいことになっていたな



「ご主人様~!流石です!」


「エレナさーん!優勝おめでとうございますー!」



湧き上がる観客席からフレイヤとフィオナがこちらに両手を振ってくる

父と母は一安心といったような顔をしている

さぁ残すは授与式のみ。これが終わったら皆でささやかなパーティでも開くとしよう


授与式は傷を治した後に行われた

国王から賞金の小切手と剣を頂いた。あとから聞いた話しだが、この剣はかつて王都にいたドワーフの名工が作り上げた剣らしい

あれだけ輝きを見せていたのも頷ける


最後に国王が軽く言葉を述べて剣舞祭は終了となった

久々に思い切り戦うことが出来て楽しかったな

年に一度位だったらまたやってもいいかも


読んでいただきありがとうございます

「よかった」「続きが気になる」など思っていただけたら幸いです

少しでも気に入ってくれた方ブクマ、評価して頂けると大変励みになります!

次回更新はTwitterの方で告知させて頂きます。よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ