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最終話 そして日常はやってくる

法国が襲撃に遭った日から一週間が経過した。破壊された壁は復調した私が魔法で修繕の手伝いを行い、建物が無くなり住む場所が無くなった人達に対しては当面の生活が行える様簡易的な集合施設が設けられた

フィオナ達は炊き出し等の手伝いを、フレイヤとフローリアは一箇所に集めておいた魔物達の処理を率先してやってもらった。レオン達も被害に遭った人達を中心に声をかけて回り必要な物はないかと聞いて回っている

法国のかなりの規模が壊され怪我人は出たものの奇跡的に死者はなし、それも騎士達の迅速な行動や私達がハリオンを阻止した結果ということだろう

リュミエールは私に力を託した後私より少し早い2日目で目を覚まし、翌日には国の復興に尽力しているとのこと。あれから一度だけ姿を見かけて声をかけようとしたが、私の顔を見た途端もの凄いで逃げてしまった。それ以降全く姿を現さなくなったが私が気づかないうちに何かしてしまったんだろうか・・・

そして魔族の企みに加担した教皇ザカリスはというと、リュミエールの寛大な処罰により国外永久追放となった

通常であれば国家反逆罪で考慮することなく一発で死罪が決定するが、ザカリスがああなったことも自分やこの国にも原因があるという判断で追放という形に決まった


ラミアスはというとハリオンの乗っ取りから解放された後、ディアボロには僅かに意識があったようで最後に少しだけ話をすることができたそうだ

「どうか健やかに育って下さい。私の様にならないように」、この一言を最後にディアボロは息絶えたらしい。私からしたら敵として一時対峙しただけでディアボロの最後に関しては自分で選んだ道の結果なので思うところはあまりない。だがラミアスが元気に成長して欲しいというディアボロの遺言のようなもの、現保護者としてその願いだけは責任もって叶えよう

それから更に一週間、復興が順調に進んでいきある程度の目途がついた頃に私達はレジティアに帰ることに。本来もっと早く帰国する予定だったのを今回の件で大分先延ばしにしてしまったので家とお店の方が心配だ




「それでは私達は帰りますね」


「エレナさん、それに皆さんも。本当に色々とありがとうございました」


「また儂と勝負しようなエレナ!」


「あはは・・・気が向いたらまた来ますね」




実力向上の為にプラメアと訓練するのは確かにいい案かもしれない・・・だがプラメアと戦っていたらそのうち本気の殺り合いになりそうで面倒な気がしてならないので出来るだけ避けたいところ。けど放っておいたらレジティアまで来そう・・・いや絶対来るな。程々に相手をしてガス抜きした方がいいかもしれないな

レオン達と別れの挨拶を交わし転移門を開いてレジティアに帰ろうとすると物陰から今まで姿を隠していたリュミエールが私達の前に現れた




「リュミエール様、良かったです最後に挨拶が出来て。お世話になりました」


「い、いえ・・・こちらこそ皆さんには助けて頂いて感謝しております」




ようやく姿を現してくれて私達に対して深々とお礼をしてくれたが依然として私にだけ目を合わせてくれない。やはり何かしてしまったんだろうか?

この期間思い出そうといたがやはり心当たりが全くなかった・・・今度いつ会えるかも分からないことだしここで聞いてしまった方がいいか。私が悪ければきちんと謝っておきたいし




「あのリュミエール様、私何か無礼な事でもしてしまったでしょうか?ちょっと覚えがなくて・・・もし失礼な事をしていたら申し訳ありません」


「い、いえ!違います!・・・エレナさんを見てしまうとあ、あの時の事を思い出してしまいまして・・・」


「あの時?」


「私の力をエレナさんに授けた時にした・・・」




リュミエールがそこまで言いかけたところ口を(つぐ)む。彼女が私を避けていた理由をようやく理解した。気にしていたのはあれのことだったのか

リュミエールに言われた事で今になってあの時の感触が思い出されていく。あれは私にとっても初めての事だったので今でも鮮明に覚えている。といってもあれはハリオンを倒す為の苦肉の策みたいなものだと割り切っていたし口づけ程度でそこまで恥ずかしがるとは思ってもいなかった。いや、純潔なリュミエールからしたらきっと大事だったのだろう

少しの間を置いた後リュミエールは再び口を開いた




「エレナさん・・・私出来れば子供は2人欲しいです。その方が寂しくないでしょうし頑張って育てましょうね」


「へ?何のことですか?」


「そんな・・・皆さんがいる場でわざわざ言うなんて恥ずかしい・・・私とエレナさんの赤ちゃんの事ですよ」




赤面している顔に手を当て腰をクネらせながら言い放った言葉の意味を理解するのに時間を要した。リュミエールの言っている事が私には本当に分からない・・・周りの皆も言葉の意味が分からず頭に疑問符を浮かべている

私とリュミエールの子供?何がどうなったらそういう話になるんだ?

リュミエールと体を重ねた記憶なんてそれこそ皆無、そもそも女性同士では子供は出来ない

重ねる・・・口づけ・・・まさかとは思うがそういう事なのか?信じられないがそれ以外に考えられない




「もしかしてリュミエール様・・・口づけという行為が子供を作る行為だと思っているんですか?」


「そんな嫌ですわ・・・恥ずかしい」




マジか・・・本当にキスをするだけで子供ができると思っているのか。いくら聖女様といっても流石に知識位は知っていると思うんだが




「え・・・?けど幼い頃にプラメアからそう教えてもらったと思うのですが・・・」


「儂そんな事言ったかのぉ?そもそも幼少の頃の知識なんて大概その程度ではないか?まさかこの歳になるまでそのように信じておったとは儂も思わなんだ」


「違うのですか?ではどのようにすれば子供ができるのですか?」




彼女の立場的な問題もあったのかもしれないがそれを踏まえても女性である私と子が成せると思っていたとは・・・

正しい知識をリュミエールにクリスティアが耳打ちで教えてあげると信じられないという顔で卒倒しかけていた

こうして私達は法国を去ることとなった。とんでもない事態巻き込まれてしまったが全員が無事で帰る事が出来て本当に良かった




「帰ってきたー!」




久しぶりに帰って来ることができたレジティア。法国で起きた事件から日数も経過していて既に各国に広まっているはずだから街の人達はどんな様子かなと思ったが普段通り。法国とはまた違った賑わいが帰ってきたんだなと実感させてくれる。ハリオンを倒していなかったらここにも帰って来れなかったんだよなと思うと感慨深く感じてしまった

家までの帰り道、私達を久々に見る人達がしきりに声をかけてくる。近隣の人や馴染みのお店の人、お店の再開を待ってくれていた人等が集まってきて囲まれてしまった

一通り話し終え日が傾き始めた頃に私達はようやく我が家に到着した。郵便受けには出掛けていた間に溜まった手紙が入っていたが今は寛ぎたいしあとでも構わないだろう




「やっぱりこの家が一番落ち着きます~」


「すぐに夕飯の準備に取り掛かります」


「ありがとう~」




シエルが夕飯の準備をしている間存分に羽を伸ばす。レオン達の屋敷も良かったがやはり自分の家が一番居心地がいい

ソファの上で寝転がりながら寛いでいると突如凄まじい勢いで扉が叩かれ思わず跳ね上がった。帰って来て早々何事かと扉を開けた瞬間、扉を叩いていた人物が私のお腹に向かってタックルしてくる。突然の事で驚いたが飛び込んできた人物が少女だった為威力はなく容易に受け止めることができた




「エレナさん!」


「セフィリア!どうしてここに?」


「勿論法国の件で心配して来たに決まってるじゃないですか!お怪我はなかったですか!?」




それだけの為にわざわざ数日かけてここまで来たのか。どうして伝えていないはずの情報を知ってるのかと気になったが突っ込むと面倒臭そうだったので敢えて触れなかった




「こらお前!早くご主人様から離れろ!」


「なんですか!久しぶりにお会いしたのだから少し位いいでしょう!」


「なんだ喧嘩か!私も混ぜろ!」


「我らも行くぞキューちゃん!」「キュー!」


「もぅ~、せっかく帰ってきたんですからゆっくりしましょうよ~」


「そうそう、本でも読みながら寛ごうよぉ」




セフィリアの来訪によりのんびりムードから一転、家の中は賑やかな場と化す。まったりと過ごしたかったんだがこれはこれで嫌いじゃない

転生して自分の好きに生きようと決めてこの街にやって来たが、フィオナを始め気づいたら沢山の人達との繋がりが出来ていた。これからも様々な場所に人、種族と出会い色々な事を経験するだろう。たまにトラブルにも巻き込まれるだろうが皆がいればきっとどうにかなる

勇者エイクの二度目の人生はまだまだこれからだ




魔王を倒した勇者が女の子に転生!?万能魔法で二度目の人生を謳歌します。これにて完結です!

連載開始から一年とちょっと、読んでくれた方々のお陰でどうにか書き切ることができました

次回作も書きますのでもしよろしければそちらもお願いします。ありがとうございました!

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