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221話 託される力

私達の窮地に現れたアポストロスことセイバー、彼のお陰で命拾いした私は戦闘の邪魔にならないよう地面を這いつくばりながら距離を取ることに。プラメア達も助けてあげたいが今は自分の体を動かすだけで精一杯、魔力が戻れば回復も出来るんだが・・・




「エレナさん!大丈夫ですか!」


「フィオナを連れてきたぞ!」


「フィオナ・・・それにラミアス達まで。どうして戻って来たの」


「3人を置いて逃げるなんてそんな事する人ここにはいませんよ」




這いずって移動してきた先にフィオナやセレーネ、全員が戻って来ていた。瓦礫から救い出した子供を避難させたラミアス達はその後フィオナ達を探し出して援軍としてこの場所に駆けつけてくれたようだ。地面に伏している私にフィオナが寄って来る




「酷い傷ですね・・・これを飲んで下さい。エルフの秘薬です」


「え、これって・・・」




エルフの秘薬はエルフの里の世界樹付近で取れる様々な薬草やキノコを配合した丸薬で、飲めばどんな病だろうと重傷な状態だろうと瞬時に治り魔力も全回復するという貴重な薬である。その強力な効果とエルフにのみ伝わる特別な調合法故に1つで豪邸が建てられてしまう程の価値があると言われている。命の危険から救われるのだからそれ位が妥当ともいえるが・・・重傷な状態とはいえ回復魔法で回復すればどうにかなるレベル、こんな大層なものを使う必要はない




「そんな貴重な薬使えないよ。それより回復魔法を・・・」


「いいから早く飲んでください!」


「むぐっ・・・・!」




フィオナに無理矢理押し込まれた。丸薬を噛むと中からドロッとしたものが出てきてそれと同時に口の中に凄まじい苦みが広がり始めなんとも形容し難い味が襲ってきた

良薬口に苦しとはいうがこれはあまりにも・・・正直吐き気を催すレベルだが今更吐き出すわけにもいかない。水で流し込みたいがそれをすると効き目が薄くなってしまうそうなので両手で口を押さえ強引に飲み込んだ

秘薬を飲み暫くすると怪我をしていた場所たちまち回復していき力が漲ってきて、スッカラカンだった魔力も完全に回復した

私の体調が元通りになった事を確認するとフィオナは秘薬を私に飲ませた後フレイヤやフローリア、プラメア達にも秘薬を飲ませ始めた。1つ作るだけでもかなりの歳月がかかるはずなのにそれをこれだけの人数分を惜しみなく使っていく。これでハリオンに倒されていた人達は全員万全の状態に回復することができた




「傷も治った事だし再戦!・・・といきたいところだが今の儂達が行ったところで邪魔にしかならんな」


「ですね、悔しいですがこの場から離れた方が賢明でしょう」


「しかしあの魔神というのは勿論ですがそれと戦っている獣を放っておいていいんでしょうか?あれが仮に魔神を倒したとしたら今度はこちらに牙が向くのでは?」


「そうそうなんなの化け物、あっちの魔族も相当ヤバかったのにそれ以上にヤバそうなんですけど。あれが襲って来る前に対処した方がいいんじゃない?」


「レオン様、エレノア心配いりません、あの方は神獣様です。本で見たお姿そのものなので間違いないです」




皆突然現れたセイバーがこちらの味方となる存在なのか疑心暗鬼だったが、神獣の姿を本で見たことがあったクリスティアの説明によってこちら側であることの理解を得られたので避難を開始することに

国の命運を託なければならないというのはこの国の民でもあるレオン達からすれば思うところがあるかもしれないが、ハリオンの攻撃をその身で一度受けていて実力差は理解しているようでこの場から離れることについては口を出してこなかった

ハリオンに気配を悟られないようにしつつ距離を置く。するとその先からリュミエールが姿を現した。グラトニーとの戦闘で力を貸してもらった後気を失っていたが意識を取り戻したようで聖騎士に手を借りながら歩いてくる




「エイク様・・・」


「リュミエール様?どうして貴女までこんな場所に。ここは危険です。私達もこれから避難するので一緒に行きましょう」


「お待ち下さい。あそこで戦っているのは神獣様でいらっしゃいますよね一目見て分かります。神獣様1人にお任せするわけにはいきません。私達も力にならなくては」


「しかしあの戦いに加わろうとするのは返って邪魔になってしまうのでは・・・」




力になりたいというのなら極力この場から離れることが私達に出来る最善。その事をリュミエールに説明しようとするとおぼつかない足取りで私の元まで近寄ってきておもむろに頬に手を当ててきた




「エイク様、残っている私の力を全て授けます。どうかこの国をお救い下さい」


「なにを・・・んむっ!」




リュミエールの行動にどういう意図があるのか聞き出そうとしたがそれを遮る様に口を塞がれてしまった。リュミエールの唇によって

突然の接吻に頭は混乱、周りからはどよめきが上がる。こんな状況にも関わらず今まで経験した事のない感覚が襲ってきて思わず惚けてしまった。柔らかい感触とほのかに甘い香り、しかも相手は純潔を司る聖女様、初めての相手としてこれ以上の人物は・・・

などと邪な考えをしている私の体に変化が表れてくる。全快の状態から更に力が湧いてくるのを感じた

どうやらこの行為はリュミエールの力を私に受け渡す為のものだったようだ。グラトニーの時に神力を流し込んでもらった時より遥かに力が漲ってきている

これだけの力あればハリオンを倒せることができるかもしれない。一発限りの勝負となるがセイバーと戦っている今なら付け入る隙はあるはず

リュミエールが私の唇から離れると再び気絶してしまったようで倒れるところをお付きの聖騎士に受け止められていた




「聖女様がここまでして下さったのだ。必ず勝ってこい」


「勿論です、決着をつけてきます」



読んでいただきありがとうございました!

「よかった」「続きが気になる」など少しでも気に入ってくれたいただけたら幸いです

残り3話!よろしくお願いします!

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