22話 教会のお手伝い 中編
「じゃあ基礎から始めようか。まずはこの水を浮かせてみよう」
教会の隣にある空き地へと移動し、子供達との魔法の授業を始めた
タライの中に水を入れてそれを浮かせる練習。魔法を初めて扱う場合、いきなり自力で水を生み出すのは難しいからこうして水を用意して浮かせられるようになるとこから始める
まずは自分の手のひらに魔力を集中させるところから。皆初めてみたいだからここから苦戦する子が多いだろう
「うーん・・・!はぁ。全然だめ〜」
「肩に力が入りすぎかな、もっとリラックスしてみて。魔力を流し続けると手が温かくなってくるから」
私の助言通り少女が肩の力を抜き深呼吸して再挑戦すると、ゆっくりだが手に魔力が集中していくのが分かった
「なんだか出来た気がする!」
「じゃあそれを水に近づけてみようか」
少女が魔力の集まった手をタライに近づけると波紋が生じた
しかし小さな波を起こすのが限界で浮かせるまでには至らず、先に少女の集中力が限界を迎えてしまう
初めてのことだから無理はないが、悔しかったのか少女は上手く出来なかった事に落胆して涙を浮かべる
「私・・・魔法向いてないのかな?」
「誰だって最初は上手くいかないよ。私も最初は上手く出来なかったし。毎日コツコツやれば必ず出来るようになるよ」
まぁそれは勇者時代の話だけど。前世のお陰でこの時代では苦労せず扱うことが出来た
けど初めて魔法が使えた時の感動は今も覚えてる。嬉しさのあまり気絶するまで使ったっけなぁ
この少女にもその感動を味わって欲しい
「お姉ちゃんみたい出来るようになる?」
「できるできる。頑張ればこんな事も出来るようになるよ」
私は上空に魚や鳥、小動物等の姿を水の魔法で披露してみせた
自分の魔力を自在に操れるようになれば様々な形に変えることができるようになる
少女は目を輝かせ、その光景に釘付けになっていた
「すごーい!私もこんな風に出来るようになりたい!」
「絶対出来るよ。その為にもう1回頑張ってみようか」
「うん!」
やる気を取り戻してくれたようで良かった
さて、2人に任せている他の子達はどうだろうか
「こう、手にぐわわわ〜って集めてバーン!ってやるんだ!」
「ポワワ〜ンって感じがしたらこのタライに向かってえいって感じでやってみて下さい」
・・・語彙力が絶望的だ。そういえばエルフや赤竜族は生まれた時から魔法が使える種族だから普段も無意識に魔法を使っているのだろう
2人にとっては呼吸の仕方を教えているようなものだから伝えようがないのかも
その後は私が纏めて子供達の面倒を見ることになった
差異はあれど皆水を動かせるまでになった。続けていけば皆すぐ浮かせるようになるだろう
子供達の魔力が限界近くなった後は魔法の授業はやめて皆で遊ぶことになった
日が暮れるまで子供達の相手をしてそのあとは皆でお風呂に入ることにした
1人1人の体と頭を洗ってあげて湯船へと入れていき、私達も湯船に浸かろうとすると1人の少女がフィオナの胸を見つめて言い放った
「お姉ちゃんのおっぱいやっぱりシスターのよりおっきいー。ねぇねぇ、触ってみてもいい?」
「えぇ~?別にいいですけどなんだか恥ずかしいですね」
フィオナに許可が下りると少女は手を伸ばして胸に触れた
最初はじっくりと感触を確かめるように触り、次第に揉みしだくように
動きに全く躊躇がない。子供は凄いな・・・フィオナの顔が少し赤くなっている
「んっ・・・も、もういいですか?」
「もうちょっとー。柔らかくて気持ちー♪」
フィオナの胸に顔を埋めて気持ちよさそうにしている少女を他の子達が羨ましそうに見ていた
そして同じ事をしたかったのか、私とフレイヤの元にやってきた。しかし・・・
「こっちのお姉ちゃん達は・・・私達とあんまり変わらないね!」
私達の胸を見た少女にそう言われた。流石に10歳に満たない子供よりはあるぞ!それに全体で見れば私が1番スタイルがいいはず
そもそもあんなに大きかったら動きづらいし剣を振るうのに邪魔だからこのサイズがちょうどいいんだ
・・・・・私はなにを負け惜しみみたいな事を言ってるんだろうか。言ってて虚しくなってきた
お風呂から上がった後夕食を済ませ、孤児院の子達との別れがやってきた
「お姉ちゃん達もう帰っちゃうの?」
「もっと一緒にいたーい!」
「わがまま言わないの。お姉さん達はお仕事で来てるんだから・・・本日は本当に助かりました」
子供達から別れを惜しむ声が聞こえてくる
今日1日で相当懐かれてしまったようだ
「あの、シスターリリシア。もう1人のシスターの容態は大丈夫そうですか?」
「そうですね・・・体調が回復するまで暫く安静にしていた方が良いとお医者の方に言われました」
「ということはまたギルドに依頼を?」
「はい・・・」
シスターの顔が暗くなる。きっとお金のことを考えているのだろう
なけなしの補助金をせっかく出しても今日みたいに断られ続けるかもしれない。今回私達が引き受けたが、明日は引き受けてくれる人が見つからないかもしれない。ならば・・・
「良ければ明日以降も私達が手伝いに来ましょうか?勿論依頼料はいただきません」
「えっ!?いや、そんな悪いです」
「気にしないで下さい。子供達と遊ぶの楽しかったですしご飯も美味しそうに食べてくれて嬉しかったです♪」
「私がとことん鍛え抜いてやろう!」
「皆さん・・・本当にありがとうございます」
フィオナとフレイヤも同じ考えだったようだ
シスターにお礼を言われ、子供達は私達がまた来ると知ると喜んでくれた
人員の問題は一先ず私達ででなんとかなるだろう
あとはお金の問題か・・・考えはある。あの子にお願いしてみるとしよう
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