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219話 絶対絶命

ハリオンの一瞬の隙を突いて凍らせることに成功。本来この魔法に閉じ込められたら半永久的に出ることは出来ないが、ハリオンがこのまま大人しく氷漬けになっているとは思えない。こちらの限界が来る前に早いところ勝負をつけなくては

現状ハリオンにダメージを与えられそうな魔法はいくつかある。しかし倒すに至るまでの威力があるかというと答えは分からない、だ。私が万全の状態だったとしても倒せるか分からない相手、こんな感覚を味合うのは魔王と戦った時以来だ

あの時の自分には倒す事以外の選択肢がなかったが今は違う、女神ルキナス様から授かったこの万能魔法であれば使うことが出来る。相手を倒すことが出来ないならばと考えたのは封印魔法、これを使ってハリオンを封じ込める

倒すことを先延ばしにする手段とはなってしまうが現時点で最良の手段はこれしかない。悔しいが今の私に出来るのはこれが精一杯、それでも今この危機が去る為の最善を尽くさなければ

覚悟を決めハリオンを封印しようと魔法の詠唱を始める。しかしその覚悟は氷の割れる嫌な音と共に砕かれる。今しがた氷の柱の中に拘束したばかりのハリオンの方を見ると既にヒビが入り始めており、やごて粉々に砕け散ると氷の中から何事もなかったような様子のハリオンが姿を現した。永久氷結の拘束が解かれるのは予め想定していた事だがいくらなんでも早すぎる




「この程度の魔法で吾輩を止められるとでも思っていたか?」


「一体どうやって・・・」


「吾輩のこの滅却の魔眼がある限りいかなる魔法だろうと吾輩には効果はないぞ」




滅却の邪眼、聞いた事がない。けど今起こったこの状況を考えてハッタリを言っているようには思えない

滅却の邪眼というのが本当に魔法の効果を打ち消すようなら先程の私が考えていた作戦は実現出来ない。封印魔法を発動する時間も無くなってしまったし仮に発動できたとしても邪眼で無効化されてしまってはそれこそ水の泡と化す

物理攻撃も駄目、魔法も打ち消されてしまうのではもう・・・




「もう終わりか?貴様達の相手をするのもそろそろ飽きてきたしそろそろこの国を滅ぼしに行くとするか」


「この国を滅ぼしてどうするつもりだ」


「ここは女神の力が最も強い場所、その場所を潰せば吾輩の天敵となる者はいなくなる。いや・・・まだ奴が残っているな、まぁそいつを殺すのはもっと力をつけてからだ。今度こそ奴を亡き者にしこの世界を吾輩の手中に収めてやる」




ハリオンにとってもやはりこの場所は脅威となる場所のようだ。それとは別にハリオンを倒すことができる別の勢力の存在・・・それが何か分かればこの窮地を脱せるかもしれない。が、それを聞き出せるほど甘くはないだろう




「長々と喋り過ぎたな、貴様を殺した次はそこで寝ている竜を仕留めるとしよう」


「くっ・・・!」




ハリオンが本格的にこちらを殺りに来る。最早ここまでかと諦めかけたその時、背後からこちらに向かって来る気配を感じた




「エレナ!助けに来たぞ!」


「プラメアさん、来てくれたんですか」




ザカリスの結界を破壊した後回復を行っていたプラメアがこのタイミングで助太刀に来てくれた。しかし助けに来たのはプラメアだけではなかった




「エレナさん!大丈夫ですか!」


「レオンさんまで・・・」




プラメアに加えレオン達勇者一行も増援に駆けつけにやって来た。レオン達は魔族と戦っていたはずだが、ここに来たという事は魔族を倒して来たということか。プラメアが共にいたのはレオン達の戦いに参戦していたからだろう。その証拠にプラメアの服には魔族の返り血と思えるものが付着していた

加勢に来てくれたのは素直に有難い・・・しかし増援が来たからといって今の状況が変わるかと言ったらそうでもない。現在進行形で力を増幅し続けているハリオンにプラメア達だけでは太刀打ち出来ないだろう

私達の元に駆けつけてきたレオン達を見るとハリオンは露骨に面倒臭そうな表情をし、ため息混じりに呟いた




「次から次へと虫の様にうじゃうじゃと湧いてくるな。1人ずつ相手するのは面倒だ、全員でかかってこい」


「威勢のいい魔族じゃな。いや、先程の魔族とは比べ物にならないのぉ。ならばお望み通り全員でかかるぞ!」


「この国をお前なんかにはやらせないぞ!」




プラメアの号令でレオン達も続きハリオンに向かっていく。ハリオン程の相手ともなれば力量差は対峙しているだけでも分かるはず、勝ち目のない戦いだと理解しながらもそれでも立ち向かう姿は諦めかけていた私を奮起させた

勝てるかどうかじゃない、ここで抗わないとこの国は奴の手にとって滅ぼされてしまう。それだけじゃない、このままこいつを野放しにしてしまったらいずれ私達の国にもやって来て今まで関わってきた人達や仲間、何より家族に被害が及ぶ。それだけはなんとしてでも阻止しなければならない

諦めている暇があるなら最後の一瞬まで剣を振るえ。昔聖騎士長に耳にタコができる程言われた言葉をこんな時に思い出し思わず笑みを浮かべてしまう。全くその通りだ、まだ何も終わってなんかいない

頬を力一杯叩き自身に喝を入れて構え直しプラメア達と共にハリオンに再び立ち向かう。最後の瞬間まで抗い続けてやろうじゃないか



読んでいただきありがとうございました!

物語もクライマックスとなりこちら残り5話となります。最後までお付き合い頂けましたら幸いです

よろしくお願いします!

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