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217話 魔神襲来

先程までディアボロだった魔族の体を乗っ取り魔神と名乗り出したハリオンという人物

二重人格・・・というわけでもなさそうだな。入れ替わる前よりも魔力が比べ物にならない位増幅している

魔力量だけでなら前世で戦った魔王に匹敵、しかもそれは今もなお上がり続けているのだから魔神というのは本当なのかもしれない




「お前が本当に魔神だとしてさっきの魔族はどこにやったんだ?」


「本当はそこの娘を依り代として使いたかったんだがなぁ・・・女神に庇護されていて手出しが出来なかったからその次にまともそうな此奴の体を渡してもらったのだがやはりいまいちだな。この際贅沢は言っていられないか」


「おい、ご主人様が質問をしているだろ・・・おいコラ!話を聞け!」




ラミアスの先程の質問に対しては返答してきたが、その他の質問はまるで私達が存在していないような振る舞いで1人ブツブツと喋り続けていた。目の前に敵となる存在がいるというのになんなんだこいつは




「質問に答えないのなら・・・仕方がないか」




答える気がないというのならこれ以上時間を費やすわけにはいかない。こうしている間にも力を増している存在を野放しにしていたら本当に手がつけられなくなる

こちらに関心がないというのなら好都合、拘束されている今なら攻撃を当てられる。ラミアスには悪いがこれを生かしておいてはいけない気がするのでここで仕留めておいた方がいいだろう

剣を抜いて近づいてもこちらを見向きもしない。どういうつもりなのか知らないがいくら魔神といえど聖剣の一撃は無傷ではいられないはず

私は渾身の力を込めてハリオンに向けて剣を振り下ろした。頸目掛けて放った聖剣の一撃は見事に直撃、しかし私が放った一撃はハリオンの頸を飛ばすどころか刃が通らず傷ひとつ付けられないで完全に止められてしまった。特に何か魔法で防いだ様子もない、純粋な生身の体のみで私の一撃は受けられてしまった

ディアボロは位の高い魔族、元々それなりに硬いのもあっただろうが聖剣の一撃を無傷で受けられる程ではない。ハリオンに入れ替わったことで魔力だけでなく身体能力も段違いに上がっているようだ




「ん?今何かしたのか?考え事をしていたのだから邪魔をするな」




攻撃をしたことでようやく反応をしたがやはり効いている様子はない。転生をして攻撃を避けられる相手は何人かいたがまともに当てたのに何事もない相手は初めてだ




「このっ!」




私に続いて攻撃を繰り出したフレイヤの強烈な蹴りを頭部に直接受けても微動だにしない。竜の一撃さえも耐える体とは・・・物理攻撃ではこいつにダメージを与えるのは難しいかもしれない

目の前の強大な敵を倒す為次なる手を考えていると今まで大人しくしていたハリオンがゆっくりと立ち上がりこちらに向かって話しかけてきた




「よし、決めたぞ。貴様達には他の人間共の死に様を見せてから殺してやろうと思っていたが今ここで倒すとしよう。貴様等の首を見せびらかせて恐怖を植え付けてやるとするか。この体の調整相手にもなるだろうしちょうどいいだろう」


「やれるものならやってみろ。お前が本当に魔神だというならここで仕留めさせてもらう!」




いくら強化されている状態とはいえ拘束されている状態ではどうすることもできないはず。この間にこいつを倒せる算段をつけなくては

しかし私の予想していたよりも早く敵は拘束していた魔法を解除。ハリオンは拘束魔法を魔法も使わず力技で無理矢理抜け出してきた




「完全体ではないとはいえ吾輩は魔神、この程度の拘束で動きを封じられると思うなよ」




せめて何か攻略の糸口を見つけるまではと思っていたが・・・出し惜しみして勝てる相手ではないと再認識した

こちらはグラトニーに使った神聖魔法の反動がまだ残っている。強引に全開で動かしたとしても持って数分といったところか。どの道ダラダラと戦いを長引かせても不利になるのはこちら、短期決戦で勝負だ

拘束から解かれたハリオンは体を慣らしながら周囲を見渡す。何をしてくるのかと身構えているとおもむろに口を開いた




「それにしてもここは窮屈だな、戦いやすいよう場を整えるとしよう。消し飛ぶがいい」




ハリオンが手をかざすと周囲に凄まじい勢いの突風が吹き荒れた。あまりの風の強さに何かに掴まっていないとこちらまで飛ばされてしまいそうだ。剣を地面に突き刺しそれでなんとか難を凌ぐ

暫く続いた突風に耐え続け、ようやく風が止み辺りを見渡すと周りの家屋が全壊していて何もない更地と化してしまった。ラミアス達は咄嗟にフレイヤの体に隠れたことで被害を免れた

しかしここで更に想定外の事が発生した。倒壊した瓦礫に下半身が挟まれ身動きが取れずにいる子供が私達の前に現れた




「うっ、うぅ・・・」




避難が完了していたはずのこの場所に何故と考えると同時に嫌な予感がした。咄嗟にハリオンの方に目をやると奴は笑みを浮かべている。その顔で何をしようとしているのか想像がついた

前世でも似たような場面があり、その時相手をしていた魔族は瓦礫に埋もれた子供を利用して私を苦しめてきた。勝つ為であればどんな姑息な手でも使ってくるのが魔族というもの、その上の存在であるハリオンならば当然同じ事を思いつくだろう

私の想像していた通りハリオンは子供に向けて魔法を放った。一瞬にして魔法が子供の元まで接近していくが魔法が直撃する時間、子供までの距離を考えればギリギリ間に合う

子供を守る為にその場に結界を展開、1枚では足りないと思い3枚の結界を展開させた。ハリオンの放った魔法を防ぐにはこれくらいしないと止める事はできない

ハリオンの攻撃は1枚、2枚と結界が破っていったが3枚目の結界にヒビが入ったところでなんとか食い止める事ができた。けれどこちらが子供に意識を集中させたその僅かな隙を狙っていたハリオンはそれを見逃さなかった




「本当にいつの時代も人間というのは愚かなものだな。見捨てていれば攻撃を食らうことなどなかったというのに」


「かはっ・・・!」


「ご主人様!」


「エレナ!」




読んでいただきありがとうございました!

「よかった」「続きが気になる」など少しでも気に入ってくれたいただけたら幸いです

次話投稿時間はTwitterの方で告知させて頂きます。よろしくお願いします!

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