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215話 降り注ぐ剣

リュミエールとセレーネの手を取り意識を集中させる。2人が祈りを捧げ始めると体は微かに発光しだした

常人では祈りを捧げたからといってこのように体に変化が表れるなどということはまずないことだが、女神の寵愛を受けているリュミエールと正真正銘女神のセレーネの2人だからこそこのようになる

その力が私にどんどん流れ込んできているのが実感できる。湧き出てくる力が今にも暴発してしまいそうになりながらもそれを漏らさないよう堪え詠唱を行っていく




「天は我等の祖、地は我等の母。いと尊き地母神よ、天上の力をもって我等に仇なす悪しき者達に聖なる裁きを与えたまえ」




詠唱を始めると視界の端に空からこちらに向かってくる数体の魔族を確認した。散開していた魔族達がこちらの様子を察知して阻止しにやってきたようだ

向かって来る魔族の数は2体、詠唱を途中で止めることはできないので無防備な状態だがこちらにはフレイヤがいる。あの魔族は他のと違って位の高い強い魔族のようだが2体程度ならフレイヤの相手ではない。事前に決めていた通りフレイヤが襲撃してくる魔族の元に飛んで行った




「私に任せてご主人様は詠唱を続けて下さい!」




フレイヤの言葉に無言で頷き魔族の対応を任せる。他にこちらに向かって来る気配はない

先程の魔族達はフレイヤと接敵、魔族はこちらの攻撃を阻止することを最優先としてフレイヤを躱そうとしているが、いかに空を飛べる魔族といえど空中戦を得意としている竜相手ではそう簡単に抜くことは出来ない




「聖なる刃はいかなる闇夜も貫き昇華させ厄災を祓う。汝等の祈りは世の安寧の為に」


「うっ・・・くっ・・・!」




詠唱を続けているとリュミエールが苦しそうな声を漏らしながら辛そうな表情をしていた

聖騎士を言っていたが彼女はこれよりも前に法国を覆う程の結界を展開している。そのせいもあって目に見えて疲労が蓄積されているのが分かる。祈りを捧げ神力を溜めるのにもかなりの体力を要する上に他者にそれを流すという集中力のいる行為がより疲労を加速させているのだろう

辛そうにしながらもリュミエールはこちらの視線に気がついたようで無理に笑みを作り私に心配かけない気配りをみせた




「私のことは気にせず続けて下さい・・・これ位なんてことはありません」




その言葉と態度が虚勢を張ってるということは明らか。それでもこの国を救うことを第一優先として自分の事は顧みずに私に全てを託してきた

ここで詠唱を中断するなんて選択肢はないが改めて聖女の覚悟を受け取った。セレーネの方は全く問題ない様子、普段のお茶らけた様子からは考えられない程の集中力を発揮してくれている

詠唱は終盤に差し掛かりあとは最後の一節のみ、グラトニーの動きを封じていた拘束魔法はもうじき解かれるがその前にはなんとか詠唱を終えられるだろう

最後の一節を唱えようとしたその時、グラトニー背後の正門の方からこちらに凄い勢いで向かって来る魔族の気配が現れた




「こいつをやらせるわけにいくか!」




最後の最後まで残っていた魔族がこちらの詠唱を阻止しに来た。最後の詠唱を終えるタイミングで完全に不意を突かれた形となってしまい反応が遅れてしまった

恐らくこの魔族が指揮系統を務めていたのだろう。他の魔族とは格が違うのが肌で感じとれた

索敵した時はここまでの力は感じなかったがどうやら意図的に隠していたようだ。このまま詠唱を続けてもあの魔族の介入のせいで間に合わない

もう他に足止めをしてくれる存在もない今この窮地を切り抜けるには詠唱を中断するしかないがそうするとグラトニーを拘束している魔法が解かれ今度こそ本当に止められなくなってしまう




「それはこっちのセリフだ!ディアボロ!」


「なっ・・・!何故貴女が・・・!」




食い止めようとしてきた魔族の前にラミアス達が割って入って来た。ラミアスの姿を目にした魔族は先程までの勢いが一気に落ちて狼狽えているようだった

お互いの事を知る間柄なのか、なんにせよラミアス達が防いだくれたお陰で発動の準備は整った。この機を逃すわけにはいかない




「無窮の刃よ天を穿ち敵を討て・・・天撃!」


「しまっ・・・!」




天空を覆う程の無数の光の刃が現れ、それが一斉に怪物を襲っていく。何千何万という刃がグラトニーの吸収する能力を掻い潜り攻撃を浴びせ、突き刺さる度に闇に包まれているグラトニーの体が浄化されていった

相手の姿が跡形も無くなるまで刃の雨は降り続けグラトニーを完全に消滅させた。今の光景を目の当たりにしていた魔族は現状を受け入れらずその場で呆然としていた




「俺達の・・・切り札が・・・」


「はぁ・・・なんとかなりましたね。ありがとうございました」


「エイク様・・・国をお救い頂き感謝いた・・・しま・・・す」




限界まで力を使ったからかリュミエールはその場で倒れてしまった。気絶しているだけで他に異常は見当たらないので転移門を使ってセレーネと共に聖騎士達のいる安全な場所に送り届けておく

一番の脅威は去りあとは魔族とまだ外に蔓延っている魔物のみ。まぁ外の魔物はフローリアが対応してくれているから相当数を減らしてくれているだろう

フレイヤは最初に阻止しようとしてきた魔族を倒し、更にはラミアス達が相手をしていた魔族までいつの間にか葬ってしまったようだ。ラミアス達がこっちに来れたのもそれがあったから

残っている魔族はここにいるディアボロという魔族と勇者達が相手している3体のみ。ディアボロのグラトニーが倒された時の様子から見てもこれ以上相手に策が思えない

拘束しようと魔法を発動しても抵抗する感じもない。危ないところではあったがどうにか法国を守る事が出来たかと安堵した




読んでいただきありがとうございました!

「よかった」「続きが気になる」など少しでも気に入ってくれたいただけたら幸いです

次話投稿時間はTwitterの方で告知させて頂きます。よろしくお願いします!

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