214話 反撃開始
ラミアスとシエルが魔族の足止めに入ってくれたお陰で私とフレイヤはリュミエールとセレーネの協力を扇ぎに行くことができた。2人を魔法で捜索中、レオン達と思える反応と3体の魔族の気配を察知した
どうやらあの4人は魔族と交戦しているようだ。あの4人で戦えばすぐにはやられないだろうが3体相手となると倒しきるのは少し厳しいだろう
残りの魔族もまだ確認できていないが法国内に侵入してきているのは間違いない。早いところグラトニーを倒してそっちの処理もしなくては
「いました!聖女を見つけましたよご主人様!フィオナとセレーネも一緒のようです」
予想していたよりも案外早く探していた2人を見つける事が出来た私達は一目散にリュミエールの元に飛んで行った。突然竜が飛んできてから聖騎士達に身構えられたがフィオナ達の介入により事なきを得た。フィオナ、セレーネはザカリスを預けた後どうやらリュミエールと合流したらしい。インフェルノ・グラトニーの出現後、ただならぬ雰囲気を感じ取ったらしく現場に向かおうとしていたそうだ
「エレナさん、こんな所でどうしたんですか?てっきり急に現れた魔物と戦っていると思っていましたが・・・あの魔物を拘束している魔法はエレナさんがやったんですよね?」
「まぁね、出来ることなら1人で倒したかったところなんだけどあれを倒すにはちょっと力が足りなくてね。聖女様とセレーネに協力してもらおうと思って探してたんだよ」
「えっ?聖女さんは分かるけどボクも?戦う能力なんて持ち合わせてないんだけど」
「エレナさんは私達の神力を借りにきたということでしょうか?」
「その通りです、あの怪物には神聖属性の攻撃が有効みたいで倒すには強力な一撃を与えるしかありません。すみませんが詳しい話をしている時間はありません。リュミエール様、力を貸してくれませんか。貴女の力が必要なんです!」
一刻を争う今これ以上ここでダラダラと話をしている余裕はない。単刀直入で協力を嘆願すると、リュミエールが返事をするよりも前に聖騎士達が間に割って入ってきた
「聖女様は先程の結界の使用でも神の力を使用して疲労している。これ以上負担がかかったら倒れる恐れがある故協力させる訳にはいかない」
「そんな事を言ってる場合ではないでしょう。あれを倒さなければこの国ごと消えて無くなるんですよ。何も命をかけろと言っているわけじゃないんです」
「そもそもあれを一撃で倒すとか言っていたが昨日今日来た部外者の言葉等信じられるわけがないだろう。そちらがどう動こうと勝手だが我々にも我々のやり方があるのだ。こちらの邪魔をしないような算段を考えるんだな」
融通が利かないというか頭が固いのかこちらの言い分などまるで聞く耳を持つ様子がない。こうしている間にもグラトニーにかけた拘束が解かれようとされているというのに・・・こうなったら半ば力ずくでもリュミエールを連れていくしかないかと考えていたところ、割って入ってきた聖騎士達の背後から今度は当の本人であるリュミエールが声を上げた
「お止めなさい、今は争っている時間はありません。エレナさん私は何をすればよろしいのでしょうか」
「しかし聖女様!」
「私1人の力で良いのでしたら喜んでお貸し致します。どうかこの国をお救い下さい」
そう言うとリュミエールはこちらに頭を下げて願いを申し上げてきた。こうなっては聖騎士もこれ以上反論することは出来ずリュミエールの判断に従ったが、別れ際には苦虫を噛み潰したような顔をしながら鋭い眼光をこちらに向けられてしまった。なんだかこちらが悪者みたいな感じになっちゃったけど今は気にしている暇はない。あの怪物を倒せばきっと聖騎士達も納得してくれるだろう
リュミエールとセレーネ2人をフレイヤの背中に乗せインフェルノ・グラトニーがいる場所へと戻る私達はその僅かな時間を使い段取りの話をした
「先程も言いましたがあの怪物を倒すには強力な神聖魔法をぶつける必要があります。その為に2人の神力を借りることになるんですが、私が詠唱している間2人には傍らで祈りを捧げてもらい出来るだけ神力を私に流し込んで欲しいんです。ただそれをしている時は集中して動けないから敵の攻撃がきたら失敗する恐れがある。そこはフレイヤに任せるよ」
「お任せください!この身に代えてもご主人様をお守りします!」
「私だけじゃなくて2人のことも守ってあげてね・・・2人もそれでよろしいですか?」
「問題ないよ」
「私も精一杯務めさせていただきます」
すり合わせが終わった頃には私達は先程までいたグラトニーの場所に到着した。移動前に発動しておいた天使の鳥籠を見てみるとヒビが入っている。これは拘束がもうすぐ解除されるサインのようなもの、早くしないとまた動き出してしまう
グラトニーの近くにいたラミアス達は・・・いた!良かった全員無事なようだ。魔族と交戦している事から考えて交渉は上手くいかなかったのかもしれない
近くに他の魔族も見当たらないし気づかれないうちに早く詠唱を始めてしまおう
「2人共始めますよ。準備はいいですか」
「いつでもいいよー」
「私も大丈夫です」
「では始めます・・・・聖裁の書終章44節"天撃"」
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