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213話 信頼する仲間と共に

インフェルノ・グラトニーの侵攻によって破られた結界の外から侵入してきた魔族3体は空から逃げ惑う人間達を眺めていた




「相変わらず人間は数だけ多くて嫌になっちまうな」


「これだけ多けりゃ少し位捕まえても問題ねぇよなぁ。遊ぶ用とぉ食べる用はほしいなぁ」


「ダメだ、ここにいる奴らは全員殺すようディアボロに言われたろ。あいつに従うのは癪だがここまで計画通りなら最後まで遂行するぞ。にしても俺達が日陰で隠れて暮らしていた間こいつらはのうのうと数を増やして過ごしていたと思うと八つ裂きにしたくなってきちまう」




各々が人間に対しての想いを吐露しながら目的の場所へと向かっていく。ディアボロが人間の協力者から聞き出した情報では緊急事態が起きた場合に解放される場所があるという。その場所は神聖魔法で守られていてグラトニーの唯一の弱点でもありそこに逃げ込まれてしまうと手出しが出来ない

そこでこの3体の魔族が出番、魔族達は魔神から与えられた神聖魔法の対となる魔法の深淵魔法を全員使う事ができそれを用いて結界で守られている場所を破壊、避難していた人間を皆殺しにする算段だ

長年の鬱憤を晴らす目的も密かに抱え魔族達は大聖堂へと一直線に飛んで行った


時間は少し遡りエレナ達と二手になって行動していたレオン達勇者一行はというとレオンとエレノア、クリスティアとグレゴールの二手に更に分かれて街に点在していた魔物の対処を済ませた後、騎士達と共に住民の避難を行っていた

避難した住民は大聖堂の真下に作られている緊急地下シェルターへと案内されていく。このシェルターは神官達数十人の魔力を消費することによって神聖属性の結界を展開できる仕組みになっている。レオンはその中へ道中魔物に追われていたところを助けた親子を案内した




「さっ、ここまで来ればもう大丈夫だよ。お母さんと離れないようにね」


「勇者様ありがとう!」


「魔物から助けて頂き感謝致します勇者様」




親子はレオン達に何度もお礼を言った後シェルターの中へと消えていった。国民の避難を開始されてからそこそこの時間が経過したがまだ避難は完了していない。このシェルターもかなりの広さがあるとはいえ国にいる人間全員を入れられるというわけではない

他にも同じようなシェルターがいくつか存在しているがこの大聖堂の真下にあるシェルターが一番安全とされている為、騎士達が比較的空いているシェルターへ誘導してもどうしてもここに人が集まってきて列が出来てしまう

1分にも満たない休憩時間を取った後他に避難が遅れている人がいないか探しに行こうとエレノアと再び街の方へ行こうとするとクリスティアとグレゴールが別の親子を連れてきた




「2人共ご苦労様、俺達もさっき来たばかりなんだけど他の場所の住民の避難はどんな感じだい?」


「残りは正門と反対側の住民だけでこの辺りの住民は全員避難し終えたようだ」


「そうか、では残りの住民は騎士達に任せるとして俺達はエレナさん達の方に合流して外の魔物達の殲滅に加勢しよう」


「ようやく活躍する機会が来たわね」




クリスティア達が連れてきた避難民をシェルターに案内しエレナ達の元へと向かおうという話をしていたその時、背後から今まで感じた事のないおぞましい気配を感じ取った




「ママ、あれなぁに?」




背後を振り返り子供の指差すその先を見るとそこには黒く巨大な物体が突如として現れていた。その不気味な姿を見た外にいた人達は一様に悲鳴をあげ我先にとシェルターの中へと逃げ込んでいく




「なんだあの怪物は・・・誰かあの魔物を知っているか?」


「分からないわね。やばい感じはここからでも凄い伝わってくるけど」


「すみません、私も初めて見ます。けどエレノアさんの言う通りあれを早く倒さなければ大惨事となるでしょう」


「外の魔物よりあれをどうにかするべきだな」




まだ戦闘経験が浅いレオンでも遺跡で戦ったアルカンヒュドラよりあれが強大な存在だというのは一目見ただけで感じていた。魔物は結界を突破して今にもこの法国に侵入しようとしてきている

迷っている暇などない、避難した国民に声援を送られながら勇者一行は敵の元へと向かった。魔物は竜のブレスや防壁からの攻撃を意に介さず瞬く間に外の結界を破り法国内に侵入してきた

建造物まで奴に飲み込まれていって更地にされた。地上から奴に近づくことは危険だと判断し一旦安全な場所まで後退していると、何重もの壁が築かれ魔物の口から吐かれた波の侵攻を抑え魔物は鳥籠のような拘束魔法で閉じ込められた。お陰で一時的ではあるが侵攻は止まり作戦を考える猶予ができた




「あの魔法は恐らくエレナさんだろうな。さっきあの魔物の周りをフレイヤさんが飛んでて背中に1人乗っているのが見えた」


「どこまでも規格外ね。魔法専門の私の立場がなくなっちゃうじゃない」


「待て2人共、こちらに何か近づいて来る」





グレゴールが何かに気づいたらしく身を隠しながら近づいてくる相手の様子を窺う。するとやってきたのは人と似たような姿で悪魔のような翼を生やした存在。以前本で見たことがある魔族というものにそっくりだった




「あれって・・・もしかして魔族?どうしてこんな場所に。いなくなったんじゃなかったの」


「分からない・・・けどあれが向かっている方角にはさっきのシェルターがある。結界で守られているとはいえ万が一突破されて住民が襲われでもしたら大変だ。俺達だけでなんとか食い止めよう」




レオン達は戦う決意を固め向かってくる魔族達の前に立ちはだかった。3体の魔族は突如現れたレオン達に即座に反応し宙に浮いたまま目の前の人間に鋭い眼光を向けた




「止まれ!ここから先には行かせないぞ!」


「なんだお前達は。いや、この感じ・・・まさか勇者か?にしては随分と弱そうだな。よく見なきゃ気づかないところだったぜ。こんな奴が今の勇者とは笑わせてくれるな!」


「確かに俺は先代勇者に比べてまだまだ経験が浅く未熟存在・・・魔族1体すら1人で相手出来ないかもしれない。けど俺1人では無理なことでも仲間がいれば切り抜けられる!」




エレナやプラメアのような圧倒する力は持っていないがそれに劣らない位の仲間が自分にはいる

魔族がどれ程の力を秘めているのは見当もつかないがここにいる4人でならきっと乗り越えられるはずだ。レオンは仲間の力を信じ魔族との戦いへと挑んだ



読んでいただきありがとうございました!

「よかった」「続きが気になる」など少しでも気に入ってくれたいただけたら幸いです

次話投稿時間はTwitterの方で告知させて頂きます。よろしくお願いします!

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