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209話 計略

フレイヤとフローリア、2頭の竜の手によって外にいる魔物達が次々とやられていく。想定以上の戦力の低下にディアボロ以外の他の魔族は動揺していた




「おい!竜がいるとは知らされていたがあれほどまでの竜なんて聞いていないぞ!どういうことだ!」


「慌てるな、あの竜がこの場にいる事は想定済みだ」


「ディアボロ、お前仲間が2人がやられたってのに随分と冷静だな。まさかこうなる事を分かっていたんじゃないか?」


「そんな訳がないだろ、それよりもあの竜は好きなようにやらせておけ。魔物を大量に用意したのもその為だからな」




長年かけて探し出した貴重な魔族の生き残りをみすみす見殺しにするようなマネをするわけがない。2人やられてしまったのは痛いがここまではハリオン様から聞かされていた通りの展開。あの竜達は魔物の数を減らして優位に事を進めていると思っているだろうが、法国を包囲しているその魔物はお前らに倒してもらう為に用意したもので贄にする為の存在。お前達には化け物を生み出す為に強力してもらうぞ




「なんだこいつら、数が多いだけで大したことないな」


「確かに少し妙だ。けど減らさなかったらこの数がそのまま中に入ってこようとしてくるからな。ここの騎士共だけでこの数を捌くのは難しいだろうから放ってはおけないだろう」




法国を包囲している魔物の大群を飛び回りながら蹴散らしていたフレイヤとフローリアの2人は違和感を覚えていた。国を攻め落としにやってきた割に数が多いだけの有象無象ばかりで脅威になるような強い魔物を全く見かけない。魔族達は各所に配置されているようだがこちらが接近するとそれに比例して距離をとってくる。足止めでもしてくるかと思ったがそんな素振りも見せてこないし一定の距離を保つよう指示が送られているのかもしれない

気になる点はあったがとにかく今はご主人様が結界の装置を直すまで時間を稼ぐことだけを考えて地上の魔物に集中して攻撃を浴びせていく

一方その頃、法国を覆う程の結界を身一つで展開し続けている聖女リュミエールの魔力は着々と減り続けていた。急激な魔力の消耗にリュミエールの体は悲鳴をあげている




「うっ・・・・!」


「聖女様鼻血が!これ以上続けたら聖女様のお体に負担が・・・」


「私が今結界を解いたら外にいる邪悪な者達が襲いかかってきます。それにきっともうすぐあの方が何とかしてくれると信じていますから」


「あの方・・・?」




リュミエールは別行動でどこにいるかも分からなかったが、先程フレイヤとフローリアが飛んできた方角には結界を管理している塔がある。それを見てきっとエレナ達が解除された結界をなんとかしてくれると信じて結界を展開し続けた

そのエレナはリュミエールの予想通りザカリスによって破壊された結界の装置を魔法で修復し終えていた




「よしっ、装置が直った。あとは再起動させるだけだ。早く結界を張り直して聖女様を楽にしてあげないと」




幸い魔力の元となる魔力結晶に損傷は見当たらずザカリスに操られていた騎士が破壊したのは装置のみだったようで、修復は思いの外早く終わらせることが出来た

レバーを起動の方へと戻すと魔力結晶が光り始める。外に出て確認してみるとリュミエールの結界の上から三重の結界が展開されていくのが見えた。どうやら装置は正常に作動しているようだ

これで外にいる魔物や魔族が侵攻してくることはない、中にいた魔物ももうじき騎士達が片づけてくれるだろう。危ないところだったがこれでザカリスの企みは失敗、あとは外にいる魔族と対話を試みて和解出来る者は友好的に。和解が無理なようならば魔物同様に殲滅する

この事態を引き起こしたのは魔族を全滅できなかった昔の私達にも責任はある。今度こそしっかりとケジメをつけなくては

フィオナ達に拘束しているザカリスを騎士に預ける役目を任せるとして、私とラミアス、キューちゃんは魔族がいる場所へと向かうことにした

それぞれが与えられた役目を果たす為行動に移そうとしたその時、今まで大人しく拘束されていたザカリスが笑を零しているのに気がついた




「何かおかしいことでも?」


「ふっふふふふ・・・・計画を阻止できたかのように思っているようだが貴様等は既にこちらの術中に嵌っているのだよ」




不敵に笑うザカリスのその表情はとても虚言や強がりには見えなかった。結界は既に再展開され入り込む事は出来ないはずだが敵はこの状況を打破する策を持ち合わせているというのか。少し急いだ方が良そさうだ、何だか胸騒ぎがする

その直感はどうやら正しかったようで、フレイヤ達がいる外の方から今までにない嫌な気配を感じ取った




「こちらもそろそろ頃合いのようだな・・・種子よ!魔の力を吸収し顕現せよ!」




ディアボロはそう叫ぶと黒い球体を魔物の死骸がある地上に落とした。するとやられた魔物に変化が現れた




「ん?おいフレイヤ、私達が倒した魔物の死骸の様子がなんだかおかしいぞ?」


「なんだ?魔物が溶けていく?」




2人にやられた魔物全てが黒い液状へと変わっていき、それらは生命体かのように動き出し黒い球体に集まっていく。それはどんどん大きくなりやがて山のような巨大な姿へと変貌を遂げた。防壁を優に超えていてエレナ達の場所からでもその姿を捉えた




「なんだあれは・・・」


「インフェルノ・グラトニー。全てを喰らう怪物だよ」



読んでいただきありがとうございました!

「よかった」「続きが気になる」など少しでも気に入ってくれたいただけたら幸いです

次話投稿時間はTwitterの方で告知させて頂きます。よろしくお願いします!

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