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208話 九死に一生

「ったく、いつまで待たせるんだあの野郎。おいディアボロ、あの人間はちゃんと使えるんだろうな」


「さぁな」


「おいおいここまで事を大きくして失敗しましたじゃ済まねぇぞ」




ザカリスの結界解除を待つ魔族達は時間が過ぎていくにつれ苛立ちを見せていた。自分達の行く末を敵対していた人間に託さなければならないという現状、法国という魔族が嫌悪する女神の力が直に感じる場所がより一層焦燥感を煽らせていたのだろう

魔族達は魔王が勇者エイクに倒されて以降、人間族の残党狩りに追いやられ続ける日々を送っていた。人間が魔族は滅んだという決定を下すまで惨めに洞穴や廃屋等で長い間身を潜めながら過ごしていた

ディアボロはほとぼりが冷めた頃に生き残った者を集めて再建させようとしたが、殆どの魔族がやられてしまった様で中々見つけ出せずにいた。そんな時ディアボロの元に現れたのが魔神ハリオン。ハリオンははぐれた魔族の居場所をディアボロに伝えていき着々と戦力を取り戻していった

魔神は魔族に力を与えているの存在であり魔族が唯一崇拝している存在、その魔神が何故直々に一魔族などに手を貸したのか。魔神は憎悪や恐れといった負の感情を糧に力を高める、魔族が生み出されたのはその負の感情を得る為。しかし先の一戦その魔族の象徴でもあった魔王が倒され魔族の大半がいなくなったことで世界に平和が訪れ魔神の力は弱まってしまった

その力を取り戻すべくハリオンは魔族を集め直し、手玉に取りやすそうなザカリスを利用してこの法国を攻め落とそうと画策した

法国が選ばれたのは各国の中で一番希望に満ち満ちていたから。そういう正の感情で溢れている場所を襲うことによって得られる負の感情は他よりも一層多く、力を取り戻すのにうってつけの場所だということで選ばれた

そしてその計画はザカリスの結界解除の段階までやってきた。結界が無くなっていくのを目の当たりにした国民達の恐怖によってハリオンの力は徐々に高まっていく。国民が悲鳴を上げているその声はハリオンには心地のいい音色の様に聞こえていた




「おい、結界が無くなっていくぞ!」


「ようやくか、遅いんだよノロマな人間が。行け!魔物共!」




法国を守っていた三重の結界が1つ、また1つと消滅していく。恐怖している国民とは裏腹に結界が無くなるのを今か今かと待つ魔族や魔物の軍勢

そして出撃の号令によって一斉に防壁へと突撃、法国を包囲する程の魔物が一斉に襲いかかってきたら一刻もしないうちに法国は制圧され、中にいる国民の殆どがやられるだろう

200年以上耐え続けていたあの時の屈辱を晴らす為の第一歩をようやく踏み出すことができる。なんて感慨に耽っていると三重の結界が消えた直後、新たな結界の出現によって魔物達の侵攻は阻まれた




「なんだ、何が起きた!?」


「何とか間に合ったようですね・・・これ以上貴方方の好きにさせるわけにはいきません」




ザカリスを拘束したまま塔から出てきたエレナ達、その様子を確認すると結界が一枚だけ残っており外の敵の侵攻を食い止めているのが見えた

これだけの結界を張ることが出来るのはきっとリュミエールだろう。最悪の事態を想定して準備してくれていたようだ。正に九死に一生を得た

しかしいくら聖女といえど国を覆う程の巨大な結界を長時間維持し続けるのは難しいはず、それまでの間に壊された魔力供給装置を直して結界を再度張らなくては




「フレイヤ、フローリア。あの結界がある間に外の連中をできるだけ減らしてきてくれる?私は地下にあった装置を直して消えた結界を戻せないかやってみるから」


「お任せ下さいご主人様!」


「思い切り暴れていいんだよな主よ!なっ!なっ!」


「好きなだけ暴れていいよ」




思う存分暴れられる事を許可されたフローリアは目を輝かせて魔物達の元へと飛んで行った。暴れすぎて建物とか壊さないといいけど・・・

2人は竜の姿へと変わり逃げ惑う人達の頭上を通過、それによって国民は更に動揺する。確かにこの状況では内側と外側同時に攻められていると勘違いされてもおかしくない




「あの竜も魔族の手先なのか!?もうダメだ!」


「いや待て、俺達の事は目もくれず外の方に向かって飛んでいくぞ」




危機的状況にも関わらずフローリアは興奮を隠しきれないのか鼻息を荒くしていた




「まさかフレイヤと共闘する事になるとはな」


「それはこちらのセリフだ。ちまちまと敵を倒している暇はないから不本意だが()()をやるぞ、私がお前のタイミングに合わせてやるから足引っ張るなよ」


「おぉアレをやるのか!子供の時以来だな!任せろ!」





フレイヤとフローリア、2人にしか分からない技を外の敵に食らわせる為結界の前まで行くと魔族達が既に待ち構えていた




「竜2頭が突っ込んでくるぞ!」


「ブレスに備えて防御壁を展開しろ!」




迅速に行動し魔族達すぐさま防御態勢に入る。2頭の竜はというと結界の外に出た直後急上昇からの急降下で限界まで加速、そして同時にブレスを放った。フレイヤの炎、フローリアの氷のブレスが交わることによって何倍にも膨れ上がった融合魔法か




「氷焔滅殺砲!」




普段からいがみ合ってはいるものの小さい頃からお互いの事をよく知っている2人だからこそできる強力なブレス。防御壁を張っていた魔族はそのブレスに飲み込まれ他の者は命からがら回避、そしてそのまま地上にいる魔物達に直撃した




「上手くいったようだな。今のでこの辺りの魔物達はあらかた片付いたようだ。魔族も2体程やれたようだしまぁ上出来だろう」


「休んでいる暇はないぞ。まだまだ魔物はわんさか湧いてるんだからな」




2人の強力な一撃により正門側にいた魔物の大半が殲滅され魔族も討伐。その後は別の場所へと移動し魔物の掃討を続行した

あの調子で目立ちながら数を減らして貰っている間に私は装置の修復を完了させなくては




読んでいただきありがとうございました!

「よかった」「続きが気になる」など少しでも気に入ってくれたいただけたら幸いです

次話投稿時間はTwitterの方で告知させて頂きます。よろしくお願いします!

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