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206話 奇行の原因

エレナ達がプラメアの技によって結界からの脱出し会場をあとにした頃、ザカリスは結界を管理している場所までやって来ていた




「どうやら結界が破られたようだな。恐らくはプラメアだろうがあの白髪の小娘と戦った後更に力を使ったのでは暫くはあの場を動けないだろう。その間にこちらはさっさと用を済まさねばな」


【おい、聞こえるか】




突然ザカリスの脳内に直接語りかけてくる者が現れた。念話という魔法で一定の距離範囲内であれば直接対面することなく会話をすることが出来る。普通の者であればいきなり脳内に直接話かけられたら驚くだろうが、ザカリスはそれに特に動じる様子もなく念話してきた相手と会話を始めた




【ディアボロ殿か、何用か?】


【何をモタモタしている、こちらの準備はとっくに整っているぞ。あとは貴様が結界を解除するだけだ】


【今結界を管理している塔に到着したところだ。結界が消えたと同時に突撃して欲しいのでそれまではそこで待機していてくれ】


【早くしろ、無力なお前にわざわざ杖まで貸してやったのだ。失敗なんて事は許されないぞ】




そう言い残すと魔族からの念話は一方的に途切れた。ザカリスからの念話は遮断されているのでこちらから飛ばすことは出来ない

念話が途切れた事を確認するとザカリスは舌打ちをして魔族への愚痴を吐露した




「ちっ、忌々しい魔族共め。こちらが下手に出ていればいい気になりおって。まぁいい、さっさとやる事を済ませて巻き添えを喰らわぬよう私も退散させてもらうとしよう」




失敗は許されないだと・・・?そんなこと魔族に言われずとも分かっている

この計画を失敗出来ないのは私も同じ、魔族と結託して事に運んだ時点で進む道は1つしかない。私が魔族と初めて接触したのはレオンが勇者として召喚されるよりも前になる

接触を図って来たのは魔族の方からだ。その時出会った魔族は今念話で話していた魔族よりも恐らく高位の存在、法国の結界に引っかかる事も無く誰にも見つからずに私の元までやって来た。初めて見る魔族に当初は腰を抜かし自分の命を奪いにでも来たのかと思ったがどうやらそうではなかった

話された内容というのが今回の件に関する協力要請、名も知らぬ魔族は私が密かに抱えていた憎悪を見抜いていた。その憎悪とは聖女リュミエールへのものだ

私は教皇という地位に任命されてからというもの、国をより良くしようと尽力した。しかし人と接することを得意としない私は政策に関わるだけで基本表舞台に立つことはなく、代わりとしてリュミエールがその役目を果たしていた。それを何を勘違いしたのか国民達は功績は全てリュミエールによるものだと思い込んだようで、私の事は教皇とは名ばかりのお飾りだと思われているようでそれを吹聴する者まで現れる始末。リュミエールがその誤解を解こうと奔走していたそうだが、一度下がった評判は中々な戻る事はなかった。側近だったものもその波に乗じて私から聖女へと鞍替えし始めた

一日たりとも欠かすことなく女神ルキナスに祈りを捧げていた結果がこの有様。いくら祈りを捧げところで女神の声すら聞くこともできない、国民からは謂れのない非難。最早信仰していた女神に祈る気すら起きずルキナスは自分にとって偽りの女神へと変わってしまっていた。他者からすればそんな事で?と思うかもしれないが私にはそれが死ぬよりも耐え難いものなのだ

信仰心が完全に消え失せ、憎悪だけが自身の中でどんどん大きくなっていっていた時に現れたのが件の魔族だ




「貴様がこの国で一番偉い人間で間違いないか?」


「そ、そうだが・・・貴様もしや魔族?まだ生き残っていたのには驚いたがここがどこだか分かっているのか?女神ルキナス様のお膝元であるこの場所に魔族が来るという事がどういう事か理解していないようだな」


「一時的であるが魔族の気配を認識できないよう対策はしてある。全て魔神ハリオン様のご助力があってこそだがな」


「魔神だと?」




誰もこの私が裏で魔族と協力していたとは夢にも思っていなかっただろう。そもそも魔族の生き残りがまだ存在していたなんて誰も想像していなかったはずだ

その魔族から魔神の存在を教えてもらった時に私はその魔神、ハリオン様から直接お声を頂戴した。ハリオン様は今まで私の事を見ていたようで事情を察し憐れんでくれた。私が辛い目に遭っていても何もしてくれなかったルキナスとは真逆だ。身勝手と思われても構わない、私はあっという間にハリオン様に心酔してしまった




「ハリオン様、どうか私にお力をお貸しください」




新たな信仰の対象を見つけたザカリスは魔神に祈りを捧げると結界を管理している管理塔の扉を開けた。するとそこには結界を守る為に配備されていた騎士達が立ちはだかっていた。騎士達は一瞬身構えたがここにいる者達はまだ私が敵側についているという事は知らされていないようですぐさま警戒を解いた




「この先に用がある、通してもらうぞ」


「申し訳ありません、これより先には誰であろうと行かせるなとの命を受けております。いくら教皇様といえ理由もなくこの先へお通しするわけには・・・」


「いいからここを通せ"洗脳(ブレインコントロール)"」


「うぐっ!・・・・畏まりました」




ザカリスの洗脳の魔法によって騎士達は全員言いなりとなり結界を管理している場所へと案内を始めた

先程の結界や転移しかり今の洗脳といった魔法は本来の私の魔力量では到底足りなかっただろう。魔族から借りたこの杖もハリオン様がお与えになった物らしく、これのお陰で魔力が大幅に上昇し前までの私では比べ物にならない程の魔法が扱えるようになった

管理室に入るには幾つかに分けられた扉を開けないとならない。その扉は特別で記録してある文字を入力しない限りどんな方法でも開かない作りとなっているが、洗脳が出来るのであればそれも大した関門ではない

結界を全て消せば魔物達が雪崩込みこの国は血の海へと変わり果てるだろう。国を良くしようとした私を蔑んだこの国の民など全員綺麗サッパリいなくなってしまえばいいのだ






読んでいただきありがとうございました!

「よかった」「続きが気になる」など少しでも気に入ってくれたいただけたら幸いです

次話投稿時間はTwitterの方で告知させて頂きます。よろしくお願いします!

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