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203話 一難去ってまた一難

剣姫プラメアとの勝負が終わり、会場からは死闘を繰り広げた私達に向けて暖かい拍手が湧き上がった。地面に倒れ込んだプラメアはムクリと起き上がりこちらに寄ってきた




「実に楽しかったぞエレナ、儂を負かしたのはお主が初めてじゃ。世界はまだまだ広いのぉ」


「プラメアさんも私が今まで戦った中で一番強かったです」




あくまで今の世界での話だけど。昔戦ったことのある相手を合わせたら10本の指に入るレベルだろうか。プラメアが踏み出した最後の一歩、私達の戦闘によって荒れてしまった足場のせいで僅かではあるが体勢が崩れていた。その誤差ともいえる微かな差のお陰で私は技を決めることが出来て勝利を手にすることが叶った。もしその数ミリのズレがなかったら勝負の行方はまた違っていたかもしれない

まぁ運も実力の内というしな。今はプラメアに勝った事を素直に喜ぶとしよう

久々の強者との戦いで心躍らせてくれた事にも感謝しなくては




「よしっ!今からもう一回戦といこうじゃないか!」


「いや、それは勘弁してください。プラメアさんだってもうボロボロじゃ・・・」




立ち上がりとんでもない事を言い出したプラメアの体を見てみると確かに先程まであった私がつけた筈の傷が綺麗に無くなっていた

いつの間に回復魔法をかけたのだろうかと思ったがプラメアは魔力がない。聞くところによると自然エネルギーには身体能力を上昇させるだけでなく自然治癒力を高める効果もあるらしい。魔法でも当然同じ様に可能だが自身の魔力量によって限界がある。対して自然エネルギーの方は大気中に存在する力を体に取り入れて使用するのものなので、基本的に上限などなくいくらでも使用することができるそうだ。他者を回復させる事は出来ないそうだが色々と応用できるのは便利でいいな

兎にも角にもこれ以上戦うのは勘弁だ、こんな壮絶な戦い連続でやってたら死ねる自身がある。こちらの場合傷を治す事は出来るが疲労はどうしようもないからな

それにしても本当に疲れた・・・ここまでの戦いは生まれ変わってから初めての事なのでいつもより消耗が激しい。前の体であれば半日戦ってもピンピンしていたというのに今はこれ位が限界か・・・もっと鍛えないといけないなぁ




「とにかく今は早く帰ってベッドの上でゆっくり休みたいな・・・」


「エレナ!」


「うげっ!ら、ラミアス・・・さっきは応援ありがとう。お陰で勝つことができたよ」


「エレナ、意地を張って悪かったのだ・・・本当はもっと早く謝ろうと思っていたんだが言い出し辛くなってしまって・・・」


「こっちこそキツい言い方しちゃってゴメンね」




ラミアスは随分前から私に謝ろうとしてくれていたようで機会を窺っていたようだが、ちょうどそのタイミングで私とプラメアの試合が決まったので機会を逃してしまったそうだ。けどそのお陰でこうして勝利を掴むことも出来たしまた前のように話すことが出来るようになったのだから本当に良かった

これで抱えていた問題が1つ解決、残すはリュミエールが話していた一件で早急に対策を練りたいところだがそれは一旦置いといてまずは休息をとらなくては

そう考えていたのも束の間、突然体が鉛の様に重くなったと思ったら魔法が発動される気配を感じ会場席まで包囲するような結界が張られ観客を含めた私達全員が閉じ込められてしまった




「なんじゃっ!?」




唐突な事態の発生に会場内に混乱が渦巻いた。安全であるはずの国の中で突然こんな事が起きたら混乱するのも当然だろう。しかしある民間人が外へと逃げようと結界を思い切り体当たりをしたところ、すり抜ける様に結界の外へと出る事ができた




「出られるぞ!」


「よ、よく分からないが出られるなら今のうちに逃げよう!」




外に出られる事が分かると観客達は我先にと出口へ向かい会場をあとにしていく。結界を抜けた人達に特に害が起こるわけでもない様だし見かけ倒し・・・というわけではなさそうだ。この結界は元々会場内にいた全員を閉じ込めるものではなく、特定の人物達に特化させて張られた結界の様でそれ以外の者達は出入りすることが可能になっている仕組みのようだ。そしてその対象というのが私達と勇者一行、そしてプラメアということらしい




「どうやらこの結界は私達を閉じ込める為だけに張られたもののようですね」


「私達をじゃと?一体誰がそんなことを・・・」


「この結界を張ったのはこの私だよ」




突如会話に割って入ってきた聞き覚えのない声、会場上段を見るとそこには見知らぬ男が1人立っていた。立派な装飾が飾られた神官服を身に纏い立派に蓄えた白髭、それだけであれば高位の聖職者の様に見えるがその手には禍々しい気配を感じる黒い杖が握られている

一体あの男は何者なのかと問おうとしたその時、レオンが先に口を開いた



「教皇様・・・?」


「久しいな勇者レオン、貴様がこの世界に来た際に挨拶を交わした時以来か。他にも見知った顔はいるが知らぬ者達もいるようだから名乗らせてもらおう。私はこの国のトップである教皇ペテル・クレメン・ザカリス13世である」




あの男がこの国で一番高い地位に就いている教皇なのか。そんな人物がどうしてこのような結界を張ったのか話を伺おうとした矢先、教皇が結界内にいる私達に向かって魔法で攻撃を放ってきた





読んでいただきありがとうございました!

「よかった」「続きが気になる」など少しでも気に入ってくれたいただけたら幸いです

次話投稿時間はTwitterの方で告知させて頂きます。よろしくお願いします!

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