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187話 分断

罠探知の魔法を使いながら下層へと続く道を下っていく勇者一行と私達3人。助けた男性から聞いていた通りまだ下層に着いていないにも関わらず階段や壁等そこかしこに罠が仕掛けられていた。罠探知のお陰で引っかかる事なく進めているが、これだけのトラップが多く仕掛けられている遺跡は初めてなので流石に辟易している




「トラップ解除したり避けながらだから思ったより時間がかかりますね。このスペースなら私が飛んで下まで行けますけど・・・」


「いや、空中にも肉眼では見えないトラップが仕掛けられてるみたいだからこのまま行った方が安全かな」




下に続く空洞には視認出来ないタイプの魔法陣が何重にも仕掛けられている。その魔法陣は通過した者を加速させる効果があり、落下速度を上昇させて地面へと一気に叩きつける仕組みになっているようだ。常人ならこれだけでも死に至るだろう

視覚が強化された今だからここからでも視えるが、魔法陣の他にもピアノ線の様な頑丈な糸が蜘蛛の巣みたいに張られているのが分かる。加速した状態でそこを通過しようものなら瞬く間にサイコロステーキとなってしまうだろうな。フレイヤ達なら大丈夫だろうが他にも罠が仕掛けられてるかもしれないしここは安全策でいこう

そうして地道に階段を下っていき、ようやく下層に到着した私達の前には5つの扉が待ち構えていた




「はぁ、ようやく一番下に到着しましたね。いくつか分かれ道があるみたいですが・・・エレナさん先程仰っていた魔法で探して頂けますか?」


「分かりました。あっフローリア、そこの扉は開けちゃ駄目だよ」


「そうなのか?」




クリスティアの言葉に頷き妖精の(フェアリーオブ・)囁き(ウィスパー)を発動する。取り残された人達の居場所を求めると妖精は右から2番目の扉だと示した。そこを開けると先が見えない一本道に繋がっていた

ちなみにフローリアが開けようとした扉はトラップがある場所で開けた瞬間爆発が起こる。他の扉も同様に罠が設置されているようなのでこの先も迂闊に手を出さない方が良さそうだ

長く続く道を罠がないか警戒しながら歩いていく。道は進むにつれて徐々に狭まっていくも特段私達が困る事ではなかった。しかしこの中で一番体格が大きいグレゴールだけは窮屈そうにしていた




「ちょっとグレゴール早くしなさいよ、アンタのせいで後ろが(つか)えてペースが落ちてるんだけど」


「そうしたいところだがこの高さだとトラップにぶつかりそうだから気をつけて行かないといけないだろ」




罠に注意を払いながら歩いているせいで遅れをとっているようだ。これ以上狭くなるようだったら戻ってもらうしかないが・・・そうする前に奥の方から気配を感じた。取り残された人達なら良かったがどうやらこの気配は魔物のようだ




「魔物が来ます!」


「ようやくお出ましのようね。どんな魔物かしら」




私の言葉を皮切りに全員戦闘態勢に入った。道が狭い分攻撃範囲は限られるので大振りはせず鋭い一撃で仕留める。こちらに近づいてくる足音は複数、視覚が強化されている状態なので普段より早くその姿を捉えることが出来た

この遺跡で初めて見る魔物、それは数え切れない数の脚を持つミミズの様な体をした魔物に見た目は蜘蛛に似てるが口元に触肢を生やした蠍ともいえる魔物とどちらも見たことがない相手だった。元々昆虫系の魔物は得意ではないがこの2体の魔物の見た目は正直目を背けたくなるような気色悪さがある。それは他の者も同様で魔物の姿を見た途端しり込みし出す




「何よあの気持ちの悪い魔物は!あんなの近寄られるのもおぞましいわ!」


「燃やし尽くしちゃいましょうご主人様!」


「いや、この狭い道で炎を吐いたら酸欠になっちゃうから止めといた方がよさそうだね」




そうしている間にもこちらに向かってくる気味の悪い魔物達。近寄りたくはないがこの狭い通路では倒さないわけにもいかない。私は嫌々ながらも剣を抜き魔物へと走り直前で壁を蹴って上から一撃を放った。無数の脚を持つ魔物を真っ二つに両断し討伐、緑色の血飛沫が飛び倒れる。見た目は凶悪だが大した事はないな

残った蜘蛛蠍の魔物の方へと視線を向けると既にレオンの一撃によって倒されていた。これで先へと進むことが出来る、そう思っていた矢先に私が倒したはずの魔物が再び動き出し暴れ始めた。頭部がある方だけでなく胴体の方も合わせて暴れ出し不意を突かれる形となった。すかさず後ろに飛び退き態勢を整えるが予想外の出来事がまだ続く

先程まで私の探知魔法には反応していなかったトラップが突如として現れ、暴れる魔物の所為でそれが次々と発動されてしまう

横から矢が飛んできたり上からは酸が降ってきたり、果てには剣山が仕掛けられた落とし穴に落とされそうになったりと滅茶苦茶な状態に陥る

このままではいけないと感じたレオンはあの魔物の動きを止めようと勢いよく駆け出した。しかしその瞬間足元に魔法陣が発生した




「しまっ・・・!」




思わず目を覆ってしまう程の魔法陣の光が周囲を照らす。攻撃系のトラップではなく目眩しか、油断してしまったがこの程度の目眩しならすぐ回復できる

目の焦点が合い始めた頃には辺りは静けさを取り戻していた。魔物の気配も今度こそ完全に無くなり、誰かが代わりに倒してくれたのかと思い声をかける




「皆大丈夫・・・ってあれ?」




辺りを見回すとそこはさっきまでの場所とは違う空間だった。しかも私の他にレオンの姿しかなく他の者の姿は見当たらない。どうやらあの光は目眩しではなく転移トラップで私達は他の皆と分断されてしまったようだ

すかさず転移門で先程の場所へ戻ろうとするが、この場所には転移阻害がかけられているようで転移門が発動できない。他の魔法は使える様だから戦闘には支障はなさそうだ




「全く分からない場所に飛ばされてしまった。恐らくさっきいた場所よりは下だろうけど・・・すみません俺の不注意でこんなことになってしまって」


「私も完璧に見抜けなかったので仕方ないです。とりあえず皆と合流したいところですが、あのメンバーなら放っておいても大丈夫でしょうし私達は救出を続行しましょう」




2人だけになってしまったが大して心配はしていない。寧ろ目的地には近づいたかもしれないしここはポジティブに捉えてるとしよう

レオンは先程のミスを引きずっているようだったが、なんとか気持ちを切り替え私の提案を受け入れて2人で先へ進むことにした





読んでいただきありがとうございました!

「よかった」「続きが気になる」など少しでも気に入ってくれたいただけたら幸いです

次話投稿時間はTwitterの方で告知させて頂きます。よろしくお願いします!

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