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183話 いざ法国へ

トライセリア法国に行く事になった私達は翌日お店を予約してくれていたお客さんを捌いた後、当分の間休む旨を伝えた張り紙を貼って向かう事となった。勇者達は法国からレジティアまで馬車でやって来たらしくそれだと到着までに時間を要してしまうので、時間短縮を図る為にフレイヤとフローリアに乗せて行ってもらうことにした。フレイヤの背中には私達が乗り、フローリアの背中には勇者一行を乗せることに




「フローリア殿!も、もう少し低く飛べませんか!揺れて落ちたりしませんよね!」


「馬鹿にするな、たかだか人間数人乗せた程度でバランスを崩す筈がないだろう。というか主の頼みで仕方なくお前らをこの私の乗せてやってるんだ。嫌なら降りてもらってもいいんだぞ」


「ちょっ!今この高さで落ちたら洒落にならないわ!」


「お前ら少しは落ち着け」




後ろは随分と賑やかだな。初めて乗る竜の背中に戸惑っているようだがすぐに慣れるだろう

トライセリア法国へ向かう途中には砂漠地帯が存在する。勇者達はいつもこの砂漠地帯を回避しているせいで到着までに半月以上はかかってしまうようだが、フレイヤ達ならそこを突っ切る事が出来るし私達を乗せてる低速状態でもその半分もしない日数で到着できるだろう

1日目は休憩を挟みつつ日が沈むまで移動を繰り返し、近くに町や村が近くになかったので野宿をすることとなった

野営の準備は勇者達が用意する事となったので私達は夕食の準備に取り掛かった。魔法で簡素な家を建てた方が安全面的にそちらの方が良いが、見せすぎるとまた厄介な事になりそうだったから伏せておく事にした

ものの数分で準備を済ませてきた勇者達はいい匂いに釣られて調理をしてる私達の元へとやってきた

こちらも今日の分は街を出る前に作ってきて温めるだけで準備が出来たので早速皆で頂く事に。フィオナとシエルが作った料理を口にすると勇者達は目を見開いて絶賛した




「なにこれ美味しい!これ貴女達が作ったのよね!?」


「そ、そうですけど。そんな大した物作れなかったからそこまで喜んでもらえるとは思いませんでした」


「大袈裟なんかじゃないわ。普段野営してる時は大したものが食べられないから今回も期待していなかったけどこれなら毎日でも食べられそう」


「大したことなくてすみませんでしたね。ふんっ」




エレノアが2人の料理を絶賛している横でヘソを曲げてしまったクリスティア、それを見て焦って宥め始めるエレノア。レオン達のメンバーで料理が出来るのはクリスティアのみらしく他の3人はいつも別の作業で貢献しているとのこと

そういえば私の昔のパーティでも料理が出来るのはカルラだけだったな。戦時中は長期保存が利く干し肉とかそんなのばっかだったからカルラがたまに作ってくれる手の込んだ料理が凄く美味しかった思い出がある




「エレノアは全く料理が出来ないんだからこの機会に教えてもらったらどうだ?」


「うるさいわね、余計な事は言わなくていいの!私は食べる専門なんだから。それに女だからって料理が出来なくちゃいけないなんて時代錯誤よ。貴方が料理を覚えてもいいのよレオン」




勇者達が賑やかしとなり食事中は思いの外和気藹々と過ごすことができた。今まで勝負を挑まれてばかりで人となりを知る機会がなかったが、案外4人共気さくで用意していたお酒の力もあってか他の皆が打ち解けるのもそう時間はかからなかった

食事を済ませた後は入浴タイム。野営用の簡易風呂を作り見晴らしがいい場所だったので岩壁で目隠しを施した




「はぁ・・・旅の途中にお風呂に入れるなんて素晴らしいでふね♪」


「いつもはどうしてるんですか?」


「普段は私が魔法で出したウォーターボールを温めてシャワーで済ます位よ。私とクリスティアはそれでも満足できないけど男連中はお風呂がある宿屋にでも行かないとロクに入ろうとしないのよ。やんなっちゃうわよね」




うっ、耳が痛い・・・私も今でこそかかさず入っているし今の勇者達とは状況は異なるだろうが昔は1週間入らないとかザラにあったからなぁ・・・もしかして自分に近寄ってくる事がなかったのってそっちの理由だったのか?今思い返すとアレンはそういうところしっかりしていたような・・・これ以上この事を思い出すのは精神衛生良くなさそうだから記憶から抹消しておこう

それからレオン達が設営してくれたテントで一夜を過ごし、その後も野営をしたり町や村の近くを通ったら寄るという感じで移動を続け、私達は砂漠地帯まで来ることができた。ここを越えれば法国までもうすぐだ

砂漠地帯には地上を移動している魔物の他に砂の中に潜んでいる魔物もおり、急襲してくる事があるが空を飛んでいる私達にとってその心配はない

ただ火山地帯とはまた違う類の暑さが襲ってくるので暑さにやられないよう注意が必要となる




「暑い・・・」


「フローリア大丈夫?やっぱり魔法かけてあげようか?」


「いや大丈夫だ主よ。これも特訓のうち、これしきで音を上げてるようでは強くなれないのだ!」




特訓の一環と称して頑なに補助魔法を拒むフローリア。こういう場所は苦手している筈だが克服する為に耐えているようだ

その心意気は買うが先程からフラフラと飛んでいて乗っているレオン達が気が気でない様子だからあまり無理はしないようにだけ伝えておいた

砂漠地帯に入った後は暫く何事も起きず時が過ぎた。しかし4分の1は進んだであろう場所で突然レオンが声を上げた




「皆、あそこを見てくれ!」




レオンが指差した場所に目を向けるとそこには冒険者らしき人達が複数の魔物に囲まれて戦っているのが見えた。戦っている魔物は砂漠鮫(デザート・ガレオス)という砂の中を水中の様に素早く移動する砂漠の鮫だ

1人は重傷を負っているのか倒れて動けないでいる様に見える。恐らく死角から襲われたのだろう、あれの奇襲をくらって食い千切られてないだけまだマシな方だな。砂漠鮫の他にも砂虫(サンドワーム)砂鋸刺鮭(サーブル・ピラニア)が目視できる

砂漠鮫は血の匂いに敏感だからどちらかの魔物の血か怪我して出血した時の匂いに釣られて来たのだろう

負傷している仲間を守りながら戦っている残りの人達もこのままでは危うい状態だ




「あの人達を助けに行こう!」


「私達も行きますよ」


「いや、エレナさん達はそこで見ていて下さい」


「レオンがやられっぱなしで私達まで弱く見られてそうだしね。ここらでちゃんと戦えるってところを教えてあげなきゃね」




こちらも援護位はしようかと思ったが勇者パーティがやる気のようなのでここは素直に譲るとしよう。他の3人の戦いぶりも見てみたいしな

私達は襲われている人達を救出する為地上へと降り立った


読んでいただきありがとうございました!

「よかった」「続きが気になる」など少しでも気に入ってくれたいただけたら幸いです

次話投稿時間はTwitterの方で告知させて頂きます。よろしくお願いします!

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