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168話 キューちゃんの成長

最近行っていた新人冒険者達の育成が一段落つき、暫く休みを貰えたので今日はラミアスとキューちゃんの特訓の付き添いをしている




「頑張れキューちゃん!そこだ!」


「キュー!」




あれからキューちゃんは地道に魔物と戦っていって着実に成長していってる。尻尾の数も4本までに増えた

今は街近くにいる魔物程度なら歯牙にもかけない。ただ最初こそ順調に尻尾は増えていたものの、ここ最近は中々次の尻尾が生えてこず成長が停滞している

魔物の数はそこそこ倒してはいるのだが倒している魔物が街近辺の小物ばかりだからだろうか




「エレナ~もっとキューちゃんを強い奴と戦わせてくれないかぁ?」


「キュウキュウ」


「うーんそうだなぁ」




本人達もこう言ってる事だし次の成長に繋げる為にもそろそろ一段階強い相手と戦わせてあげた方がいいか

といってもこの辺りでキューちゃんの実力に近い相手はいない。そこでキューちゃんの相手に見合うような手頃な依頼はないかとギルドに行ってみることにした

ギルドであればこの周辺にいない様な魔物の情報や討伐依頼が毎日舞い込んでくるので探す手間が省ける

そう思いギルドの掲示板に貼られている中から探してみたが、時間帯が悪かったのか目ぼしい依頼が見つからなかった。とりあえず後日また探しに来ようとギルドを去ろうとすると後ろから受付のお姉さんに呼び止められる




「エレナさんちょうどよかった。少しお時間よろしいですか?」


「なんでしょうか?」




私に用件があるということで受付のお姉さんに連れられて話を伺うことに。話の内容は魔物討伐依頼の件でどうやらギルドマスターが直接私を指名している依頼とのこと

依頼書に書かれている魔物はロックゴーレム。硬い岩で形成された巨大な魔物で土魔法を使ってくる。その魔物が最近山岳地帯で数体発見されたという

その山間部には小さな村がありその村とゴーレムが発見された場所が近い為、被害が出ないよう迅速な対応が求められている。そこで空からの移動手段を持ち合わせている私に指名がかかったということか

それにしても指名の依頼とは。目的の場所にすぐ迎えるからとはいえわざわざ私を指名してきたのはこの前の借りを返せという暗示だろうか

まぁ返せるものはさっさと返した方が気も楽だし受けるとするか。それにこの相手であれば今のラミアス達の相手にも丁度いいかもしれない

依頼の件は了承し、私の他にラミアスが同行する許可も貰った。ラミアスとキューちゃんにその話をするとノリノリで乗ってきたので2人の成長の為にロックゴーレムを倒しに行くこととなった

しかし相手がロックゴーレムでよかった。上位の存在でクリスタルゴーレムというのもいるがそれを相手にするのは流石にまだ早すぎるからな


目的地に移動するのにフレイヤに乗せてもらえるようお願いしようととしたところ、すれ違いで今は街にいないようなので家にいたフローリアにお願いすることに

カステルの村を超えた先にある山に到着、少し歩いた場所からラミアスに先頭を譲った




「ロックゴーレムはこの辺りに生息してるはずだからここからはラミアス達が探してみようか。こういう探索も特訓の一環だからね」


「よしっ、頑張るぞキューちゃん!」


「キュー!」




張り切るラミアス達は足場の悪い山の中を登っていく。道中に他の魔物も出てきたが、私は直接手を出すことはせず傍観に徹した




「なぁ、主よ。私も戦いたいのだが」


「ロックゴーレムは数体いるみたいだからラミアス達が終わったら戦っていいよ」




戦っているところを見て触発されたのか。元々血の気が多い子だからかなり我慢してくれているようだ

暫く登っていくと何やら異変を感じ取ったのかキューちゃんが周りをキョロキョロと見渡し始める。すると少し歩いた先の地面に無数の大きな足跡を発見

足跡は道なりに続いていて見た感じまだ新しいように見える。しかし周囲に魔物の姿は見当たらない

ここからはより警戒をして進まないといけない。足跡を辿りながら岩壁に沿って探索を続けていくとゴーレムの存在に気づいたが、ラミアス達は警戒はしているも未だ気づいていない様子。そのまま気づかず進んでいくと、突然岩壁からロックゴーレムが現れ攻撃を仕掛けてきた

ロックゴーレムは素早さがないのでこうして岩壁等に擬態して相手を待ち伏せし、奇襲を仕掛けてくることがある。その発見に遅れて意表を突かれた結果となってしまったが、周囲を警戒をしていたのとキューちゃんの素早い動きでロックゴーレムの攻撃をなんとか回避することができた。すぐさま体勢を立て直して戦闘態勢に移る




「いくぞキューちゃん!」


「キュウ!」




相手を翻弄するような変則的な動きで接近していき、魔法を織り交ぜてゴーレムの胴体に攻撃を浴びせていく

展開的には怒涛の攻撃を繰り出すキューちゃんに防戦一方のロックゴーレムという構図だが、実際には傷1つついていなかった。ゴーレムの魔力で強化されたその体はただの岩よりも数倍硬い。故に中途半端な攻撃ではまともに通ることはない

倒す方法としてはいくつかあるが、その中で一番用いられている倒し方はラミアスには教えていない。今回の戦闘はラミアス達に任せているので自分で考え、弱点を見つけて倒して欲しいと考えている

中々相手にダメージが与えられず攻めあぐねていると相手が反撃に出てきて、地面から大槌を取り出した。ロックゴーレムは周囲の地面を自在に操る事ができ、そこから物を作りだしたり地面そのものの形状を変えてきたりもしてくる

接近してくるキューちゃんに向かって大槌を振り回して対抗。動きは遅くとも一撃一撃が致命傷になり得る上に攻撃範囲が広いので油断できない

それに加えて先程から無数の岩の礫を飛ばしてくるので迂闊に近づくことさえ許されない状態。序盤とは打って変わって防戦一方となる

ゴーレムの礫は右から左にかけてキューちゃんを誘導するような形で放っている。そして避けた場所にはゴーレムの仕掛けた罠が待ち伏せていた

地面に仕掛けられた落とし穴が突如現れ落とそうと企んだようだが、キューちゃんはそれを大きく跳躍することによって直前で回避した。そしてそのままゴーレムの背後へと回り込んだその時、ラミアスが何かを発見したような素振りを見せた




「なんだあれ?キューちゃん!あそこにある丸い玉みたいなの!あれを壊して!」




ラミアスの指示に従いゴーレムの背中にあった水晶玉に向かって魔法を放つとその水晶玉は消滅。すると今までどんなに攻撃をしてもビクともしなかったゴーレムの動きが見るからに鈍くなっていくのが見て取れた

そう、ロックゴーレムにはいくつかの核がありそれが魔力源となって動いている。個体差はあるがその核を全て破壊すれば相手を行動不能にすることができる。ただその核は固定ではなく常に移動しているので見つけ次第迅速に破壊した方が有利に戦える

相手の倒し方が分かればあとはそれを狙っていくだけ。魔力源が減ったことによって相手の手数が減り、こちらの攻撃がしやすくなったお陰で1つまた1つと見つけた核を破壊していく

そして4つ目の核を破壊したところでロックゴーレムは動かなくなり瓦礫へと化した。序盤苦戦しつつも相手の弱点をしっかりと見抜き無事にロックゴーレムを討伐することに成功。更に自分と同格に近い相手を倒したことによってかキューちゃんの尻尾がまた1本増えた




「やったぞキューちゃん!これで5本目だな!」


「キュキューン!」




ここまで上手くいくとは思っていなかったがキューちゃんの成長に繋がってよかった。しかし負傷もそこそこしている様なので今日のところはこれ以上無理をせず、残りのロックゴーレムは私達に任せてもらおう

私達といっても目の前で戦いを見せられフラストレーションが溜まっていたフローリアが殆ど高火力のブレスでゴーレムを氷漬けにして破壊してしまったので、私の出る幕はなかった

ラミアスが倒したのと合わせて5体程倒したところでゴーレムの反応は無くなったので私達は報告をしに街へと戻った

それにしても今日のキューちゃんはいつもより生き生きとしていたな。これからもちょくちょくとこういう機会を設けてあげよう




読んでいただきありがとうございました!

「よかった」「続きが気になる」など思っていただけたら幸いです

少しでも気に入ってくれた方ブクマ、評価、感想等々頂けると大変励みになります

次話投稿時間はTwitterの方で告知させて頂きます。よろしくお願いします!

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