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159話 勇者の復活?

先日の合コンが失敗に終わった事を後から知ったフィオナは始めこそ落ち込んでいたが、あの男達の話を聞いている時点でやはりテンションは下がりきっていたようですぐさま立ち直った。今は恋人探したい欲は大分収まったようで普段通りの生活に戻っている

何もない平和な日常は暫く続いた。朝起きてシエルが作ってくれた朝食を頂きそれぞれが仕事場や学校へと向かう

帰宅後は夕食の準備をして全員で食卓を囲む。夕食後はお手製の露天風呂でお酒を楽しみベッドで心地よい眠りにつく。順風満帆な日々が1日、また1日と過ぎていきこのまま新年を迎えるまで何事もなく平穏に過ごすんだろうとそう思っていた。が、新たな風が巻き起こった事によりそんな日常はすぐさま終わりを告げた

休日、いつものように買い出しにやって来て通い慣れた道を歩いていると何やら普段より街がザワついているのに気がついた。同じくそれを感じ取ったフレイヤが話しかけてくる




「普段と様子が違うようですが今日って何かありましたっけ」


「いや何もなかったはずだけど。ん?あそこになんだか人だかりができてるね。ちょっと行ってみよっか」




2人で様子を見に人が集まっている場所に近寄ってみると人だかりが出来ていたのは掲示板の前。皆が注目しているのはその掲示板に貼り出されている記事らしく、前の方まで行ってその内容を確認するとデカデカと驚きの内容が記されていた




「勇者・・・再び現れる?」




記事を見た瞬間自分の目を疑った。なんだこの記事は

デマ・・・というわけでもなさそうだな。記事はちゃんとしたところが出しているもののようだ。見間違いでもなく確かにそう書かれている

記事の内容によるとその勇者はトライセリア法国で誕生したという。トライセリア法国といえばどこよりも神への信仰心が厚い国で各国の中で最も歴史のある国でもある。法国では勇者は神によって生み出されたという事から神の子とも呼んでいるそう。そんな国で生まれたとしたら大盛り上がりだろうな

疑念を抱きながらも記事を読んでいると周りにいた街の人達の声が耳に入ってきた




「この勇者様、今この街に来ているらしいな。知人が今朝ちょうど街に入って来るところを見かけたとか」


「俺なんかすれ違ったぞ。その時会話が少し聞こえてきたんだがなんでも人探しをしているそうだ」


「へぇ、一体誰を探してるんだろうな」




人探し・・・仮にその人物が本当に勇者だったとしてわざわざこの街に探しにやって来るような人物といったら自ずと限られてくるだろう

領主・・・は探す必要もないしギルドマスターだってギルドに行けば会える。装備類のお店だって街の地図に記されているしなぁ

装備・・・勇者の武器はと言われて真っ先に思いつくのは聖剣だよな。あれ、勇者が探してる人ってもしかして私の事じゃないか?

もしそうだとしたら面倒な事に巻き込まれそうな予感がする。せっかく平和な日常を過ごしているというのに水を差されたくないしさっさとやる事済ませて家に帰るとしよう

人混みを抜けてお店に続く道に戻ると先程から肩を震わせているフレイヤが声を漏らした




「勇者を騙るとは・・・真の勇者はご主人様なのに!」


「まぁ元、だけどね。そんな事より勇者の復活かぁ・・・」




セレーネに話を聞きたいところだけどバイトで夕方までは帰ってこないしわざわざ押しかけるのもなぁ

勇者が現れたのならそれは魔王も復活するのと同義。ただ勇者の名を悪用しているだけの方がマシな位だ

魔王が復活したら再び世界が血の海と化す可能性が大いにある。ラミアスの様に話してどうにかなる相手ではない。もしそうなればここも・・・・

気が変わった。面倒ではあるけどやっぱり一度素性をしっかり見極めた方が良さそうだ

この街にいるというのなら探すのもそう時間はかからないだろう。まずはどこから探そうかと考えながらギルドの前を通過しかけたその時、中からチラッと見かけない複数の面子が目に留まった

入口に近づき中の様子を覗いてみるとそこには金色に輝く装備を身に纏った青年と獣人、魔女(ウィッチ)と神官の4人が受付の前を陣取っていた

受付のお姉さんと話をしているみたいだけどなんだが様子がおかしいな、なにやら受付のお姉さんと口論しているようだったので少し耳を傾けてみることに




「だから私達は聖剣を探しにこの街に来たんだ。このギルドにその持ち主が登録しているという情報を得たからその人物について教えてもらいたいだけなんだが」


「ですから何度も申し上げている通りこちらではそういった個人情報をお教えすることできません」




探す手間が省けたな。会話の内容を聞く限りあの男が勇者を名乗っている男で間違いなさそうだ。この街に来た目的はやはり私の持っているこの剣みたいだ

にしても受付のお姉さんはとんだ災難だったな。先程からずっと1人で対応しているようだし私のせいで迷惑をかけているなら助けてあげないと




「あの」


「あ、エレナさん・・・」


「エレナ?すまないが見て分かる通り私達は今取り込み中なんだ。依頼を受けるなら他の者に・・・」


「貴方が探している剣ってこれのことですよね?」




相手が話すのを遮り勇者に聖剣を見せると目の色を変えて食いついてきた




「こここここれは・・・!うぉほん!失礼、君が聖剣の持ち主だったのか。まさかそちらから来てくれるとは。既に知っているかもしれないが私は勇者レオンだ。さて、念の為その剣をもう一度見させてもらってもよろしいかな」


「はぁ・・・」




見せるだけならとよく見えるよう前に出して鞘から取り出す。勇者レオンは聖剣に穴が開きそうな程眺めた後、ふぅっと一息ついてから喋りだした




「間違いない、私達が探し求めていた聖剣だ!」


「これで目的が達成できるわ」


「国境を越えて来た甲斐がありましたね」


「君、突然で申し訳ないんだが私にその聖剣を譲ってくれないか」


「えっ、嫌ですけど・・・」




聖剣を見つけて勝手に盛り上がっている人達に対して私はキッパリとそう告げた。会って早々人に剣を寄越せなんて横暴が過ぎるだろ

私の返答が勇者達にとっては予想外だったのか、暫く口を開けて固まった後突然(まく)し立ててきた




「何故だ!その剣は私が持つべきものなのだから譲ってくれなくては困る!」


「何か理由でもあるんですか?」


「理由?その剣は勇者に選ばれた者が持つべきものなのだろう。理由なんてそれで十分だと思うが」




これまた今回の勇者様は随分と身勝手な人間が選ばれたな。まぁ本物かどうかも怪しいが

このレオンとかいう男が本物の勇者か確かめるのは簡単ではあるが・・・せっかくだ。この男の実力を見ておくのもいいかもしれない




「じゃあこういうのはどうですか?私と勝負をして勝ったらこの剣は譲ります。私が貴方に勝ったら剣は諦めて下さい」


「そんな事でいいのか?分かった。その勝負受けて立とう」




こうして自称勇者と一戦交えることとなった。実力は定かではないが仮にも勇者を名乗るのなら元勇者として少し揉んでやるとしよう




読んでいただきありがとうございました!

「よかった」「続きが気になる」など思っていただけたら幸いです

少しでも気に入ってくれた方ブクマ、評価、感想等々頂けると大変励みになります

次話投稿時間はTwitterの方で告知させて頂きます。よろしくお願いします!

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