154話 幽霊屋敷
私達は今の土地を購入したお店へとやって来た。今より更に広い土地を希望している事を伝えると従業員は裏に行き土地を管理している棚の中から条件に近そうなのをいくつか見繕って持ってきてくれた
早速その土地を見に行くことが決まりとんとん拍子で進んでそのまますぐ決まるかに思えたが、しかしそこから土地探しに難航。希望に沿える土地が中々見つからなかった
紙で見た情報と実際に自分の目で見たものとではやはり違いがあってどれもいまいちピンと来ない
レジティアはこの辺りで1番栄えている街だから空いているいい土地があるという予想は当たっていたが、そういう土地はすぐ買い手がついてしまうようなので今現在私達の条件にピッタリ合う土地は空いてないそう
それでできるだけ条件に近い土地を提示されたわけだが・・・
「うーん・・・どれもこれだ!っていう感じがしないねぇ。妥協すればいくつかいいのはありそうだけど」
「でも可能な限り皆の要望は取り入れたいんだよねぇ。まだいくつかあるみたいだし根気強く探していくしかないんじゃないかな」
「あれ?これって・・・おの、これ私達の条件にピッタリじゃないですか?」
貰った紙の中からフィオナが見つけた土地の内容を見てみると街の端っこではあるものの私達の要望にピッタリだった
しかも今まで見てきた他の土地の中でもズバ抜けて格安な値段。こんな好条件の土地を何故最初にこの土地を進めてくれなかったのだろうと不思議に思い従業員に聞いてみることに
「あのここって・・・」
「はい・・・?あれ、そこの土地は・・・おかしいなそれは避けて取ったはずなのにいつの間にどうして」
今まであれやこれやと積極的に色々勧めてきていた従業員の顔が突然曇りだす。内容を見返しても見た限り不審に思う点はないように見えるが・・・従業員の顔からしてここの土地には明らかに何かあると察することができた
「もしかして何か訳アリの土地なんですか?」
「は、はい。実はここの土地には昔貴族が使っていた屋敷がまだ残っているんですが、それがちょっと良くない噂があってお勧めできないといいますか・・・やめておいた方が」
言葉を濁しながら従業員は私達にその土地の情報を伝えてきて候補から外そうとする。しかしこちらとしては条件的にここが一番の場所。せっかく見つけたのだからどうせなら一度見てみようという話になり、その土地がある場所へと案内してもらうことにした
道中も足取りが重く気乗りしない様子の従業員。それほど憂鬱になる場所とは一体どんな場所なのかと思いながらついていくと思っていた以上に酷い有様だった
目の前には手入れがされておらず人の背丈程まで伸びた雑草。その中にいかにもな雰囲気を醸し出している廃墟と化している屋敷が建っていた
空地になっている場所は最低限の手入れをするようになっているはずだが、この場所は暫く人が入った形跡がない
「まるでお化け屋敷みたいな家だな」
「これだけ老朽化してるとなると修繕や改築じゃなくて取り壊しになりますよね。壊さないんですか?」
「以前から何度も取り壊そうという試みはしていたんですが従業員が怪我をしたり突然体調不良を起こしたりと何度も作業が中止になってしまって。それにその・・・この屋敷には出るらしいんです」
「で、出るってもしかして・・・・幽霊ですか?」
フィオナが問うと従業員は頷く。本当にお化け屋敷だったようだ
なんでもこの屋敷は巷では幽霊屋敷と言われているようで、昔ここに住んでいた貴族がとある商人に商売を持ちかけられたそうだがそれが悪徳なものだったらしく、まんまと騙さたれた貴族は多額の借金を背負った。返済できるアテもなかった貴族は血迷った末に家族を道ずれ、一家心中をしたらしい
以前その話を聞いた若者達が遊び半分で肝試しをしに屋敷の中に入ったところ、なんとその貴族の幽霊を見たそうだ。その時は逃げる事ができて何事もなかったが、それから毎日悪夢に襲われるようになってしまい、その結果次第におかしくなっていき最終的には精神が病んでしまったとか
その話が広まったことで屋敷の買い手がつかなくなり壊そうとしても先程言っていた現象が起きて阻まれてしまい、結果放置という状況だそうだ
「で、でも土地だけ見たら素晴らしくないですか?草でよく見えないですけど綺麗に刈ったらかなり広いと思いますし」
「確かにねぇ。ここ以上にいい場所なんてなさそうだし問題があるのはあの屋敷だけだからねぇ」
「あっそうだ!エレナさんでしたらこの屋敷に住み着いている幽霊を祓うことってできませんか!もし幽霊を退治することが出来たら土地の値段を今の価格から3割・・・いや5割引きさせて頂きます!」
5割引き!?ただでさえ格安なのにそこから更に半額・・・そんなに値引きしたらお店の利益は殆ど無くなってしまうだろうに。けど今後所有してても悪い噂のせいで持ち主は見つからないだろうし少しでも利益になるうちにさっさとこの面倒な物件を手放したいのかな
まぁ幽霊退治なら白蓮の時に似たような経験があるし半額にしてもらえるのなら喜んで受けるとするか
「分かりました。その条件でいきましょう」
「ありがとうございます!では今屋敷の鍵お渡ししますね。この鍵で全ての部屋が開けられるようになってますので。まぁどの道壊す建物なの開かなったら壊しちゃっても構いませんけどね」
従業員から鍵を渡されて中へと入り幽霊退治をすることに。中に入るのは私とフィオナ、フレイヤ、フローリアの4人に決まった
フィオナは幽霊と聞いてから屋敷の中に入るのに抵抗がある様子だったが、私以外に浄化の魔法を使えるのはフィオナしかいない為一緒に来てもらうことに。大丈夫だとは思うが幽霊が何体いるか分からないし貴族の幽霊がどれほどのものかなど一切情報がないので念には念をだ
私達は屋敷に沿って伸びきった草を刈っていき屋敷を目指した
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