153話 お引越し
フローリアが街にやってきて1か月が経とうとしていた。来て早々にギルドマスターを殴り飛ばしてちょっとした騒ぎになってしまったが、貸し1つということでなんとか丸く収まった
始めこそ失敗をしてしまったがそれ以降のフローリアはしっかりと言うことを聞いて生活をしている。少し高飛車なところもあるが一緒に過ごしていればそれも愛嬌の様に見えてきた
ギルドで冒険者登録を済ませるとたまにフレイヤに同行して依頼に行ってたりもする。魔物の討伐数で競ったり等して切磋琢磨しているようだ
なんだかんだ言い合っていても昔からの付き合いだけあってお互いの性格も把握できているし刺激し合えているのならいい事だろう
人の言語はまだ簡単なものしか話せないが、人見知りしない性格だからか周りに馴染むのも早く特段問題は起こることなく日常が過ぎていく・・・・かに思われたが、新たな問題が発生した
「あたっ」
「おっとすまんな主よ」
「すみませんちょっと後ろ通りますね」
「こら待つんだキューちゃん!部屋の中を走り回るんじゃない!」
フローリアが家に住むようになって今や7人と1匹。人数が増えて今の家は少々手狭となっていた。元々大人数で暮らすように作ってなかったし前からやや窮屈だな思っていた事ではあったので近いうちにと検討していたが、フローリアが加わりこれから長く生活を共にするわけだし今がいい機会なのかもしれない
私は皆を集めて話し合い、今より広い土地に引っ越しをすること提案した。やはり皆も少し窮屈だと思っていたようで私の提案に賛成してくれた
「というわけで家を引っ越すことにしたわけだけど、引っ越すにあたって改めて皆の希望を聞いていきたいからこの紙に自分の希望を何でもいいから書いていって」
「なぁエレナ、この家は手放すのか?そうなるとちょっと寂しいんだが」
「この家は新しい土地に持っていくつもりだから安心して。まだ建てたばかりなのに手放すのは勿体ないからね」
「そうか!それなら安心だな!」
まだ建てて1年位しか経ってない新築同然の家だし短い付き合いではあるものの思い出もある。手放すのではなく土地が決まったらこの家をベースに増築していけばいいだろう
皆に紙を配っていき各々の希望を書き出していってもらう。私はというと狭さ以外今の環境自体には特に不満はなく大した希望はないので皆の希望に沿える土地を探していこうと考えている。数分程して皆の希望が書かれた紙を回収していく
「じゃあ皆の希望を纏めていくね。えっとなになに・・・全力で走り回れる場所が欲しい。この字はラミアスかな?」
「うむ!キューちゃんが元の大きさになっても大丈夫で思いっきり走り回れる位の広さが欲しいのだ!今は街の外で魔物を倒しに行く時以外元気を持て余していて可哀想だからな」
「キュー!」
キューちゃんの大きさで走り回れる位広い庭か。現状でも問題ない広さかと思っていたがキューちゃんが走り回れる程の広さかと言われるとそうではないな
十分な広さを確保をするにはそれなりに広い土地を購入しないといけなくなるけどこの街でならそれ位の条件何とか見つけられるだろう
「分かった、それは条件としてしっかり入れておくね。えっと次は・・・この達筆な字はシエルだね。ふむふむ、今よりも広々としたキッチンが欲しいと」
「はい、今はフィオナ様と共同で利用させて頂いていて調理器具やお皿を収納している家具の配置の関係からすれ違う事が多いのですが少し窮屈に感じてまして。なので今よりもっと広々とした空間を設けて頂けると助かります」
「そうですね。あと人も増えて作る量も増えたのでコンロも増やしてくれた方がいいかもしれませんね」
なるほど、料理については2人それぞれのやり方があるだろうからキッチン周りは2人の要望を全面的に取り入れて改めて作り直すことにしよう
フィオナは他にガーデニングが出来るスペースが欲しいとの事だった。家庭菜園しか経験がないから花の知識は無いに等しいが家を綺麗な花で彩るのはいいかもしれないな
続いてはセレーネの要望。セレーネの要望は以外にも書斎を作って欲しいというものだった
「こう見えてボクは読書家でね。図書館に通うのも面倒になってきたし家でじっくりと本を読める場所が欲しかったんだよね」
初耳だ・・・というか普段の言動から絶対そんなキャラじゃないと思い込んでた。家で読んでる姿を見た事ないのは図書館に通っていたからなのか
まぁ家は活発な子達が多いから集中して本を読めるような環境がないのは確かだな。あって困るものでもないし私も利用するかもしれないからこれも取り入れるとしよう
フレイヤは前回と同じく私の隣部屋希望でそれ以外はお任せ。フローリアは屋内でも鍛えられる場所を作って欲しいというものだった
他にも追加で挙げられた皆の希望を書き出していき、纏められた紙を改めて見返しみる。ここに書かれた内容全て取り入れた家を想像すると凄い家になりそうだな・・・・そこらの小貴族が暮らせる位の大きさになりそうだけど、まぁ何とかなるか
「よし、こんなもんかな。じゃあ早速土地探しにかかろう」
「いい場所が見つかるといいですね」
一通り皆の案が纏まったところで土地を扱っているお店へ行くことに。皆が気に入る土地が見つかるといいな
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