152話 世話焼ける竜
フローリアが仲間に加わり行動を共にすること事に。そしてフレイヤの体が完全に回復するまでの間、私達は暫く里に滞在して以前教えてもらった秘湯に通って満喫させてもらった。そこにも当然フローリアはついてくる
「こらっ!こんな場所で泳ぐんじゃない!」
「堅いことを言うな。こんなに広いのだから少し位いいだろう」
「そもそもここは赤竜族と許された一部の者の使用を許可されている場所で青竜であるお前が入っていいような場所ではないのだぞ!せめて静かに入れ!」
フローリアとフレイヤの言い合いにも慣れてきて最早お馴染みと化していた。というか氷を扱う青竜だからてっきり熱いお風呂とか苦手なのかと思っていたけどそうでもないんだな
そう考えている間にも2人の言い合いは続く。このようにフレイヤがいくら言っても聞かない場合は私が介入して代わりに注意する
「フローリア、お風呂では大人しくしてようね」
「うっ・・・!わ、分かったのだ主よ」
「ふふふ。エレナさんの言うことすっかり聞くようになりましたねぇ」
「まぁあれだけやられればそうなるよねぇ」
私達と暮らす事が決まった翌日にフローリアは私に勝負を仕掛けてきた
フレイヤの主である私の実力を確かめたいという事でしつこく迫ってきたから仕方なく相手をしてあげた
流石に竜族相手に倒れるまでやるのは骨が折れるので先に一撃を入れた方の勝ちというルールに
勝負は一瞬で決着がついた。フレイヤとの戦いの時に戦闘スタイルを見せてもらったというのもあるが、フローリアの動きは読みやすくどこから攻撃をしてくるか分かる為、簡単に避ける事ができるしそこからカウンターを入れる事等造作もない
私が勝ったことで少しは大人しくなってくれるかと思ったがフローリアにはむしろ逆効果だったようで、しつこく挑んでくるようになり私も仕方なくそれに付き合った
フローリアが挑んできた勝負全てに勝利し文句なしで実力を分からせる事はできたが、結局100回近く挑まれたので普通に戦っているのと変わらずフローリアの体はボロボロになり治りかけのフレイヤより酷い状態にさせてしまった
それだけやってようやく私が自分より格上と思い知ったフローリアはなんと今度は他の者と戦いを挑んだ。魔法に長けているフィオナならまだしもなまじ戦闘技術を身につけたばかりのシエルやラミアス達にまで無理矢理戦いを挑もうとしていたので、これ以上は看過できないと例のチョーカーの効果を使わせてもらった
チョーカーの効果を発動させるとフローリアは耐え難い苦痛を体験したようで暴れ回った
この主従の首輪は内側から痛みを与えていくアイテムなのでいかに丈夫な体に鍛え上げようとも関係ない。同じ経験をしたことがあるフレイヤはそれを見てやられた記憶を思い出したのか苦い顔で転げ回っているフローリアを見つめていた
内側から攻撃されることが初めてだったフローリアにはそれはかなり効果的だったようでそれ以降は大人しくなったから他人に無闇に勝負を仕掛けないよう釘を刺す。フローリアはそこから私の事を名前ではなく主と呼ぶようになった
「それにしても最初の頃に比べて人の体が馴染んできたみたいだね」
「私は器用だからな!もうこの姿でいてもなんの違和感もないぞ!」
レジティアにいる時にいきなり竜の姿に戻られては大騒ぎになってしまうので馴染むよう人の姿に変身したままでいてもらっている。そのお陰で前までは体に鱗が残っている状態だったがそれも完全に消え、尻尾と角だけが残っている状態となった
たった数日で人型でもある程度戦えるようになったようだし本人の言う通り以外と器用なのかもしれない
そして今は人間の言語も勉強してもらっている。いきなりペラペラ喋るのは無理だろうけど最低限の挨拶位は覚えてもらわなくてはな
そんな生活を1週間程過ごしてようやくフレイヤが完全に回復し本調子に戻ったので私達は街へ帰ることに
お世話になったイグニスさんやルべリアさんら赤竜族の方達とも仲良くなることもできたし貴重な体験だったな。友好の証としてイグニスさんから借りていた指輪も頂いてしまったし温泉も気持ちよかったからまた皆で来るとしよう
転移門を開きレジティアへ帰ろうとした際、フレイヤと決勝で戦った黒竜のシヴァさんも挨拶をしにわざわざやって来た。人の姿で現れた時は最初誰かと思ったが黒髪に目の傷で誰だかすぐ理解した。女性だったという事実には驚かされたが
フレイヤに傷つけられた体もすっかり元に戻っていて次の竜王祭で再び戦おうとそれだけ言うと黒竜の里へと帰って行った
次の竜王祭では更に力をつけているだろうから勝ったからといってうかうかはしていられないな
「ここが人間の街か。こんなにたくさんの人間を見るのはいつぶりだろうか」
レジティアへと帰って来るとフローリアは物珍しさからか街をキョロキョロと見渡していた
街にやって来る前、街の人にも無闇に喧嘩を売らないよう注意をしておいた
「心配するな主よ、私も流石に学んでいる。あちらから喧嘩を吹っかけて来ない限りは手を出さないぞ」
と言っていたがかなり不安だ・・・・
そんな懸念を抱きつつ街中を歩いているとギルドマスターと遭遇。こちらに気がつくと近寄ってきた
「おぉ、エレナ。暫く見かけないと思っていたが出掛けていたんだな。ん?その小さい嬢ちゃんは見ない顔・・・がはっ!」
話し終える前にフローリアがギルドマスターの顎に見事な一撃をお見舞いした
宙に飛ばされたギルドマスターは地面に叩きつけられた後気絶。1発ノックアウトである
「フローリア・・・?」
「ま、待ってくれ主よ!今のは私の事をちっこい等と馬鹿にしたこやつが悪いのだ!」
やった後にしまったと慌てるフローリアは必死に弁明してくる
被害を受けたのがそれなりに頑丈なギルドマスターだったのが救いか。目覚めたらなんて説明しよう・・・・
街に着いて早々これでは先が思いやられるな。フローリアにはもう一度しっかりと教え込まなければ
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