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150話 竜王は・・・

ダメージを負いながらもフレイヤは奮闘した。しかし試合は黒竜が優勢に運んでいき劣勢が続いた。なんとか持ち堪えてはいるもののこのまま打開する手段がなければ負けを待つ他ないが・・・・フレイヤの様子に先程から違和感を感じるのは気の所為だろうか?

私の勘でしかないがただ攻撃に耐えているだけでなく何かを待っているようなそんな感じに見えた。必死に黒竜の攻撃に耐えながらフレイヤは何かを呟いている




「外れろ・・・外れろ!」




どういう意味なのかは分からないが何かを待っているようだ

発動条件があるのか自分の意思で発動することができないのか、いずれにせよそれが発動しなかったらフレイヤの負けが濃厚という状況なのは間違いない




「何を企んでいるのか分からないが・・・その前に終わらせてやろう」




同じく何かを感じ取った黒竜はそうはさせまいと今まで以上に激化していった

先のフレイヤとフローリアの試合で使われた竜魔法"ドラゴンドライブ"を黒竜が使用してくる

体からはどす黒いオーラが湧き上がっていて戦闘能力が跳ね上がっている。黒竜も遂に本気を出してきたようだ

迫って来る黒竜に反撃するもフレイヤが攻撃したのは黒竜の分身である影。実体はその分身の背後に身を潜めていて攻撃を仕掛けてくる

避けることができないと悟ったフレイヤはあえて突進することで黒竜の攻撃が振り下ろされる前に受けてダメージを半減させた。しかしそれでも結構なダメージなようで遂に膝を地につけてしまう

既に黒竜の次の手が迫ってきている。最早ここまでかと誰もが思っただろう

けどフレイヤの顔は周りの反応とは正反対で笑っていた




「きた!ここまできたら一か八かやるしかない!」




土壇場で発動の準備が整ったのか、フレイヤは一度距離を取ろうと炎の壁を自分と黒竜の間に発動させた。十分な距離を確保すると目を閉じ集中し始めた

しかしそれをみすみすと見逃すはずがない黒竜がブレスを放ちフレイヤに止めをさそうとする

目の前にブレスが迫って来ていても微動だにしないフレイヤ。どうするのかと思って見ているとなんとそのまま飲み込まれてしまった

直撃した、そう思ったがブレスが放たれた場所にはフレイヤの姿はなかった。まさか本当にブレスに飲み込まれた?

けどフレイヤの反応は残っている。戦闘区域から出ることは許されないのでその範囲を見渡すとフレイヤは突如として黒竜の背後に現れた

一体何が起こったのか初見では分からないが、先程までのフレイヤとは様子が違うのは一目瞭然だった。フレイヤの体は異常なまでに熱を帯びておりそれによって蒸気が発生していた。蒸気は会場全体の気温を上昇させていき、まるで蒸されているかのような感覚で汗が溢れ出し息苦しくなってくる

フレイヤが狙っていたのはあれか。フローリア戦で使っていたドラゴンドライブと違って炎を纏ってないようだしまた異なる技のようだが・・・・




制限解放(オーバーリミット)


「なんだその技は・・・ぬぉっ!?」




黒竜が言い切る前にはフレイヤは既に黒竜の真上に移動し終えていて黒竜の頭部へ尻尾を振り下ろし始めていた

今まで余裕を持って躱していた黒竜だったが、避け切ることができず顔に傷を負う。初めて見せる動揺の表情

それも僅かな間ですかさず反撃を仕掛けてくる。黒竜がブレスを放ち再度フレイヤを捉えたかに思えたがまたもや姿を消してブレスは空を切った




陽炎(かげろう)。お前の技を真似させてもらったぞ」


「ははは・・・いいぞ!面白い!そう来なくてはな!」




あの陽炎とかいうのは体から発せられてる蒸気の熱を利用して生み出した幻か

傷を負った黒竜は臆するどころか笑いながら立ち向かっていく。それを真っ向から受けるフレイヤ

見た感じあの技を使ってからの魔力消費は感じられない。その代わりかは不明だがフレイヤの体から何かが切れるような嫌な音がしている




「ぐっ!」


「フレイヤ!」




フレイヤが攻撃を受けてもいないのに突然その場でよろける。蓄積されたダメージによるものでもない・・・どうやらあの技は肉体への負担がかなり大きいみたいだ

体から聞こえていたのは筋繊維が切れる音。人は無意識のうちに自己防衛として力を制御しているというのを聞いたことがあるが、フレイヤの技はそれを意図的に解除したもので当然肉体は悲鳴を上げる

ドラゴンドライブよりも効果は上だが超短期戦で決めないとフレイヤの体も危険な状態になってしまう

フレイヤ本人がそれを1番よく理解していようで息つく暇もない程に攻撃を浴びせていく

たまらず黒竜が地面へと沈み立て直しを図ろうとするも、その隙さえも与えず沈もうとする黒竜を引きずり出して地面に叩きつける


攻撃を次々と与えていくフレイヤ。先程とは打って変わって形勢は逆転

しかし刻一刻とタイムリミットは近づいてきている。明らかに消費が激しい・・・勝負は黒竜を倒すのが先か力尽きてフレイヤが自滅するのが先かという2択に




「ははは!まだまだぁ!」


「なら・・・これはどうだ!」




フレイヤは残された魔力全てを使ったブレスを放とうという態勢に。ここに来て隙が生まれる大技

ここで(から)め手でも使えばきっと流れは黒竜の方に傾いただろう。だが黒竜はあえてそれをせず、対抗する形で大技の態勢に入った。お互いこれで決めるつもりなのだろう、渾身の一撃を相手に入れる為に長い溜めの時間が生まれる




「ボルカニック・ノヴァ!」


暗黒星雲ダーク・ネビュラ!」




まさかこんな所でまた見ることになろうとは。黒竜が放った技はかつて私が魔王に放たれた一撃

あの時の記憶が一瞬駆け巡ったがフレイヤのブレスがそれを掻き消した。フレイヤが放ったブレス今まで見たどのブレスよりも強烈なものだった

直線状に放たれたブレスが通過した周囲は高熱によって溶かされマグマのようになっていた。それは黒竜の暗黒星雲を真っ向から玉砕して黒竜に直撃

黒竜の周囲が煙に包まれて確認できないが流石の黒竜もあれを食らったら立ってはいられないはず・・・・




「ふっ・・・はははっ」




煙が晴れるのと同時に笑い声が聞こえてくる。なんと黒竜はあの攻撃を食らって立っていた

体はボロボロに焼けただれていて直前でブレスを受け止めた腕はもう上がる様子は無い。それでも一歩、また一歩とフレイヤに距離を詰めていく

すかさず立ち上がり動こうとするフレイヤ。しかしもう既に魔力も空っぽで肉体も限界をとうに迎えている為最早一歩も動くことができない




「ぐ、ぐぅ・・・・う、ごけぇ・・・」




近づいてくる黒竜にどうにかして反撃を試みようとするもやはりなにもできない。やがて黒竜は攻撃が届く距離に辿り着いた

攻撃がくる。そう思ったが何故かいつまで経っても黒竜は攻撃せずにフレイヤの目の前に立っているだけ

これはおかしいと思った審判員が駆けつける。暫しの間確認が行われた後、審判員の手が挙がり会場中に告げられた




「黒竜シヴァが気絶により戦闘続行不可能。よって勝者は赤竜族のフレイヤ!」




読んでいただきありがとうございました!

「よかった」「続きが気になる」など思っていただけたら幸いです

少しでも気に入ってくれた方ブクマ、評価、感想等々頂けると大変励みになります

次話投稿時間はTwitterの方で告知させて頂きます。よろしくお願いします!

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