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134話 再始動

「うわぁ・・・・凄い人が集まってますねぇ」




ソウカさんたっての願いにより、私達はコンサートが開かれている会場へとやって来た

会場には大きなステージと今日出演する吟遊詩人達の歌を聴きに来た多くの観客で溢れ返っている

ざっと見て1万人近くはいるだろうか。これだけの人数を一箇所に纏められる様用意出来たのも流石だが、それでもそのスペースに観客は続々と入っていって全員入るか分からない盛況ぶりを見せていた


当然いい場所は既に取られていて、遅れてやって来た私達に与えられた場所は音は聴こえるが奏者が豆粒位でしか見えない後方の席。仕方がないのでそこでひっそりと観覧しようと思っていると、ここは私の出番ですとセフィリアが名乗りを上げた

関係者以外立ち入り禁止のステージ裏に堂々と入っていって始めは係の者に止められていたが、セフィリアと面識がある責任者の様な人がセフィリアの存在に気づくと飛んでやってきた

ある程度の変装をしていても分かる人には分かってしまうんだな。数分程責任者と話をして戻ってきたセフィリアは手で丸を作ってこちらに合図を送ってきた。どうやら特別に人数分特等席を用意してもらえることができたそうだ

責任者に連れられてやってきたのは奏者達がよく見える最前列のど真ん中。相手の演奏している様子がしっかりと見る事ができるこの場所は確かに特等席だ




「こんな良いところに後から来ちゃってなんか悪いなぁ」


「でもこれでしっかりと見ることが出来ますね」


「は、はひっ・・・!」




並んで前の席を取った人に申し訳ない思いを抱きつつ、席に着いたところで入場する時渡された今回参加される吟遊詩人の名前が書かれた紙を見る。今回参加するのは合計で10組。名前を見てもよく分からないがその界隈では実力のある人達なのだろう

会場の席が埋まり観客全員が始まるのを今か今かと待ち続けていると、会場周辺の照明が一斉に消えた。突然の出来事に会場の観客がざわざわとしているとステージの一点にスポットが当たり、そこへ女性が現れ観客に向けて喋り始めた




「さぁ皆さん長らくお待たせしました!これより各地の腕のある吟遊詩人達によるコンサートが始まりますよぉー!。今宵は思う存分楽しんでいって下さい!」




どこかで見たことある顔だなと思ったら以前剣舞祭で実況を務めていた女性か。今回はここの進行を任せられたのか

女性が話し終えてお辞儀をすると再びステージが暗くなる。明かりが消えると周りの観客はいよいよ始まるんだと一斉に静まり返る

そして明かりが点いたと同時に1組目の吟遊詩人が登場。遂にコンサートが始まった

静まり返っていた観客は1組目が出てくるなり割れんばかりの歓声を上げ大盛り上がり

てっきり皆ソロで活動してるのかと思ったけど今はグループで活動してたりする吟遊詩人もいるんだなぁ

そうこうしているうちに1組目の演奏が終わり、観客の熱が冷めやらぬ間に2組目へと移行した


2組目は1組目が弾いていた明るい感じとは真逆の荒く激しい曲で観客はそれによって更にヒートアップしていった

1組に与えられた時間はおおよそ10分から15分で2、3曲程度歌い次の組へ交代していく

確かにジャンルが違っていて皆それぞれの味があって楽しい。けどあのグループも・・・・このグループも。当然全員凄く上手いし観客も大いに喜んでいる

けど何故だろう・・・あの時ソウカさんの曲を初めて聴いた時程の衝撃というか感動がやってこない

横にいるソウカさんは周りが盛り上がっている中、真剣な眼差しでステージで行われている光景を焼き付けていた

コンサートは順調に行われていきあっという間に最後の組の番が回ってきた


最後の人はソウカさんと同じ女性ソロ。けどソウカさんと決定的に違うのは自信に満ち溢れた顔をしていてそれが音楽を通して伝わってくる。流石締めを任されているだけはある

観客も最高潮の盛り上がりを見せている。その女性が弾き終え舞台袖に消えていくと、このコンサート初めてのアンコールが会場中で行われた

そのアンコールに応えて先程の女性が元気よく戻ってきて追加でもう1曲弾くこととなったが、終始楽しそうに引く姿はこちらも楽しい気分にさせてくれた

曲が終わると最後は参加した人達全員がステージから出てきて、それぞれ観客に挨拶をしていって締めとなった




「これにれ本日のコンサートは以上になります。皆さんご来場頂きありがとうございましたー!」




進行役の女性がそう伝えると観客は皆感想を言い合いながら会場をあとにした

今回あそこで弾いていた人達はこれによって更に人気が上がることだろう

初の試みであったコンサートは観客全員を満足させることができ、大成功という形で幕を閉じた


夕方辺りから開催された為辺りはすっかり暗くなっていて皆お腹を空かせていたので、近くの食堂で夕食を食べようということになりそこへ向かっている途中、ソウカさんが立ち止まり何かを口にしようとしていたので歩みを止め耳を傾ける




「あっあの。わ、私・・・きき昨日はあんな事言ってしまいましたが、や、やっぱり・・・・やっぱり歌うのやめたくありません!」




ソウカさんは自分の想いを私達に正直にぶつけてきた

ステージに上がって演奏している人達を見て自分もという想いが再燃したのか。荒療治かと思ったが結果見に行って良かったな




「良かったです。ここまできたら乗りかかった船ですし私も出来る事があればお手伝いしますから頑張りましょう」


「あ、ああありがとうございます。活動を再開する為にはま、まずお金を貯めないといけないので働き口を探そうと思います」


「でもお前を雇ってくれるところなんてあるか?」


「ゔっ!そ、それは・・・・な、なんとか頑張ってさ、探します・・・・」




やる気になっているところに水を差していくフレイヤ。まぁでも言わんとすることは分かる

決して要領がいいわけでもなく打たれ弱い。ほっとくとまたポキッと折れてしまいそうだ

なので私はソウカさんにある提案を持ちかけた




「でしたら私達の家で働いてみますか?」


「えっ?え、エレナさんのご自宅で・・・・ですか?」


「えぇ、家の周りや中の清掃、食事の支度等々。住み込みで三食食事付き。お給料は王都のお店程出せませんけどどうでしょうか?勿論空いた時間は練習に充ててもらって構わないので」




昨日の今日で知り合ったばかりの者同士でも初対面よりは遥かにマシなはず

それに家事を任せていたシエルも最近は銃の訓練も加えて行っているから負担を軽減するには丁度いいだろう

私の提示した条件にソウカさんは二つ返事で呑んでくれた




「わ、私なんかで良ければ是非ややや雇って下さい。よ、よよよよろしくお願いします!ご迷惑をかけないよう頑張ります・・・・!」




こうしてソウカさんは活動再開を目標に私の家で家政婦として働くこととなった

家事の腕前は分からないがまぁ人並み程度にこなしてもらえれば十分だろう



読んでいただきありがとうございました!

「よかった」「続きが気になる」など思っていただけたら幸いです

少しでも気に入ってくれた方ブクマ、評価、感想等々頂けると大変励みになります

次話投稿時間はTwitterの方で告知させて頂きます。よろしくお願いします!

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